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with the BEATLES

2010年02月16日 23時32分58秒 | Beatles
 ビートルズの新リマスター盤発売は、昨年後半の音楽シーンにとって特筆すべき大きなイベントといえた。存続していないバンドの既発アルバムを新装発売するだけで、あれだけの騒ぎになってしまうのはさすがビートルズというべきだが、私もその時、ステレオとモノ・ボックスを勇躍して購入し、その時の興奮状態から(笑)、かろうじて「プリーズ・ブリーズ・ミー」だけは、レビューすることができたものの、それからあっという間に五ヶ月が経ってしまった。部屋に鎮座しているどでかいふたつ箱を見て、いつも「あぁ、これも聴かなくちゃな....」とは思っていたのだが、今夜、あることがきっかけで(※)、急にその気になったものだから、今夜は「プリーズ・ブリーズ・ミー」に続く「ウィズ・ザ・ビートルズ」を聴いてみた。

 さて、まずモノラル・ヴァージョンの方である。前回も書いたとおり、ビートルズのCDといえば、従来盤は第4作目まではモノラルで発売されていたのであり、まずは、音質比較という点からすれば、新装盤もモノラルから聴くのが筋というものだろう。今回はスタックスのヘッドフォンでもって、まずは従来盤、そしてこのモノラル・リマスター盤と、じっくりと聴いてみたが、一聴して感じたことは、「プリーズ・プリーズ・ミー」同様、従来盤に比べ音が非常に落ち着いているということだ。これを聴いて改めて従来盤を聴くと、やや音がざらつき気味で、若干浮ついた印象を感じるほどで、とにかくこちらは中域から低域にかけての音がふっくらゆったりとして、高域が滑らかになっているのが特徴といえるだろう。私の好きな「ナット・ア・セカンドタイム」のピアノなど、ぐっと実在感を増している。ただし、例えば「ロール・オーバー・ベートーベン」のような曲だと、従来の冴え冴えとしたクリアさが懐かしい気にもなる。要するに、分析的、生々しい音がハイファイ的と思うムキには(私もそのひとりだが)には、イマイチ有難味に欠ける部分もなくもないというところだ。

 次にステレオ・ヴァージョン。こちらも「プリーズ・プリーズ・ミー」同様に左にインスト、右にボーカルが泣き別れになった往年のステレオ・イメージをそのまま踏襲したバランスでマスタリングされている。このアルバムのステレオ・ヴァージョンの大半の曲は、実は既にキャピトル・シリーズで先行してCD体験してしまっている訳だけど、キャピトルのように音像を肥大化させず、ストイックかつストレートにステレオ化しているだけに逆に鮮度感が大きなアドヴァンテージになっている。もちろん、賛否は当然あるだろうが、個人的にはやはりボーカルとインストを切り離したが故に得た、分離の良さは捨てがたいものがある。「テル・ゼア・ウォズ・ユー」などは、アコースティックなアンサンブルで出来上がった曲なだけに、左右の泣き別れのバランスにもそれほど違和感がなく、アコギの音色のリアルさ、スタジオの残響、ボーカルの実在感などがダイレクトに伝わってくるし、「デヴィル・イン・ハー・ハート」の左チャンネルに聴こえるパーカスのくっきり感など、モノラルにはないハイファイ感がある。


※ ネット上の各種サイトで電撃的に広まった『アビーロード・スタジオ、売却へ 英EMI経営難で』という記事を感慨深く読んでいたことがきっかけ。
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