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バレエ「火の鳥」/マリインスキー劇場バレエ団

2009年04月12日 23時19分15秒 | クラシック(20世紀~)
 2月に録画してあった、ハイビジョン・ウイークエンドシアター「サンクトペテルブルク白夜祭2008」を観てみた。内容はマリインスキー劇場バレエ団でストラヴィンスキーの「火の鳥」「春の祭典」「結婚」の三つ、演奏は同劇場オケで指揮はワレリー・ゲルギエフという豪華な布陣である。私はバレエについてはオペラ以上に興味薄に分野なので、あれこれと語るほど作品も観ていないし、知識もほとんどないのだが、マリインスキー劇場バレエ団が旧キーロフバレエで、ロシアのバレエ団としてはボリショイと並ぶ存在....くらいのことは知っていたし、作品がストラヴィンスキーの有名作で、しかも指揮がゲルギエフとなれば(私もしばらく前に彼の指揮なる「春の祭典」にショックを受けたクチである)、もっぱら音楽面の興味だけでもイケそうだと録画してみた訳である。

 とりあえず、今夜は「火の鳥」を観てみた。私はフランスのベジャールとか、ああいうモダン・バレエは、私のようなガサツな人間には高級過ぎるのか、ついぞおもしろいと思ったことためしがないので(ホント、私ってフランス物がだめなんだよなぁ-笑)、これもけっこう退屈するのでは....と、多少懸念しつつ観始めたのだが、いやぁ、これが実に素晴らしいものだった。ストーリーは子供でも知っている有名なお伽噺、バレエそのものも動きの抽象度が高くなく、何を表現しているるのか、解釈に困るような代物でないから(今回の演出がフォーキン作で、これは初演時にものらしいから、さもありなん)、とて分かりやすかったのがよかった。主な登場人物の3人はどれも古典的な美男美女、火の鳥の凛々しい美しさ、王女(マリアンナ・パブロワ)など、まるで50年前にタイムスリップしたんじゃないかと思うような絶世の美人ぶりで、ガチでストレートな良さにオジサンは思わず見とれてしまった。また、舞台や衣装の眩いばかりの色彩感なども素晴らしく、存分に古典的ファンタジーの世界を味わせてもらったというところだろうか。

 ちなみに「火の鳥」の全曲版は音楽だけ聴いていると、情景描写やアクションに傾き過ぎるところがあって、音楽だけ聴いているとやや弛緩してしまう瞬間もあるのだが、やはり本来の形であるパレエ随伴音楽として鑑賞すると、50分はあっという間で、むしろ短く感じたほどだ。そうか、この曲は本来こうやって楽しむもんだったんだねぇ....と、妙に納得してしまった(って、今頃気がついてどうする)。ゲルギエフ指揮による演奏も、例によって非常に「濃い」もので、後半のハイライトの「カスチェイ一党の凶悪な踊り」の煽るように突進する勢い、フィナーレの壮麗な高揚感などさすがのテンションを感じさせてスリリングであった。
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