先の週末のことだが、「Hilary Hahn A Portrait」というDVDが届いた。このディスクはヒラリー・ハーンの音楽活動を文字通りポートレイト的に追っていくというものなのだが、ボーナストラック的にケント・ナガノ指揮のベルリン・ドイツ交響楽団を従えたコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲が全曲収録されているということで購入したものだ。なにしろ、ハーンの弾いた同曲は、未だにCDがないし、かの曲の復興の一翼を担ったとされる彼女の演奏が映像付きで鑑賞できるとなればなおさらである。
演奏はすばらしいの一語に尽きる。ケント・ナガノとベルリン・ドイツのモダンなテンポ感覚に裏打ちされた適度にシャープで重厚なサウンドに、ハーンのクリーンですっきりとしたフレージングが絶妙にマッチして、この曲の甘美さ、旋律美を裏切ることなく流れるような名演になっていたと思う。これを聴いてしまうと、シャハムとプレヴィンの名演すら、やや時代がかった大仰さを感じてしまうほどだ。また、映像付きで聴くと、この曲がいかにも「難しい曲」であるかが良く分かる。甘くとろけそうな旋律の合間に、オーケストラとの掛け合いや、さりげないフックに、素人目も難技巧な部分が満載である。ハーンはこうした部分をほとんどこともなげに、時に微笑みすら浮かべて颯爽と弾ききっていて、こうした難技巧が連打する第3楽章でも全く危なげないのは驚異ですらある。
それにしても、ハーンという人のテクニック至上主義ぶりというか、完璧なる演奏を目指してやまない完璧主義ぶりみたいなところは、映像付きでみるとその精緻さかいっそう鮮やかである。弓の動きにせよ、指使いにしたところで、とにかく機械の如き正確さである(そう見える)。また細かいフレーズだのヴィブラートなどを聴くにつけ、この人は音楽を演奏する時の分解能が非常に高いんじゃないだろうかと思うことが多々ある。分解能などというとまるでシーケンサーみたいだが、分解能というのは、例えば4分音符を何等分くらいに分割して表現できるかということで、この人の場合、その能力が異常に高そうな気がするのだ。ある意味、普通の人より音楽がゆっくり聴こえているのではないかということで、とにかく細かいところ、早いところでリズムが極めて正確、縦割りでまず崩れないという精緻さに感心してしまう。
ついでに書くと、本編の方だが、この人オフの映像では典型的なアメリカのフランクな女のコというイメージなんだけど、演奏シーンになるとみるからにスター的なオーラが出ていて、ああこのコはスターなんだなぁと思わせる(まぁ、そういう影像なのだから当たり前か)。ちなみに、途中「自分の演奏が、誰かの人生を変えたり、この曲の印象を一変させることができるとは思わない。ただ、作品を聴くきっかけになればいい(要旨)」としゃべるところあるけれど、20台半ばでここまでいえれば、建前にしたって立派なものである。まさに絵に描いたような優等生で、また、それが妙にサマになっちゃうのも、またスターたる所以だろう。はい、私もすっかりファンになってしまいました。
演奏はすばらしいの一語に尽きる。ケント・ナガノとベルリン・ドイツのモダンなテンポ感覚に裏打ちされた適度にシャープで重厚なサウンドに、ハーンのクリーンですっきりとしたフレージングが絶妙にマッチして、この曲の甘美さ、旋律美を裏切ることなく流れるような名演になっていたと思う。これを聴いてしまうと、シャハムとプレヴィンの名演すら、やや時代がかった大仰さを感じてしまうほどだ。また、映像付きで聴くと、この曲がいかにも「難しい曲」であるかが良く分かる。甘くとろけそうな旋律の合間に、オーケストラとの掛け合いや、さりげないフックに、素人目も難技巧な部分が満載である。ハーンはこうした部分をほとんどこともなげに、時に微笑みすら浮かべて颯爽と弾ききっていて、こうした難技巧が連打する第3楽章でも全く危なげないのは驚異ですらある。
それにしても、ハーンという人のテクニック至上主義ぶりというか、完璧なる演奏を目指してやまない完璧主義ぶりみたいなところは、映像付きでみるとその精緻さかいっそう鮮やかである。弓の動きにせよ、指使いにしたところで、とにかく機械の如き正確さである(そう見える)。また細かいフレーズだのヴィブラートなどを聴くにつけ、この人は音楽を演奏する時の分解能が非常に高いんじゃないだろうかと思うことが多々ある。分解能などというとまるでシーケンサーみたいだが、分解能というのは、例えば4分音符を何等分くらいに分割して表現できるかということで、この人の場合、その能力が異常に高そうな気がするのだ。ある意味、普通の人より音楽がゆっくり聴こえているのではないかということで、とにかく細かいところ、早いところでリズムが極めて正確、縦割りでまず崩れないという精緻さに感心してしまう。
ついでに書くと、本編の方だが、この人オフの映像では典型的なアメリカのフランクな女のコというイメージなんだけど、演奏シーンになるとみるからにスター的なオーラが出ていて、ああこのコはスターなんだなぁと思わせる(まぁ、そういう影像なのだから当たり前か)。ちなみに、途中「自分の演奏が、誰かの人生を変えたり、この曲の印象を一変させることができるとは思わない。ただ、作品を聴くきっかけになればいい(要旨)」としゃべるところあるけれど、20台半ばでここまでいえれば、建前にしたって立派なものである。まさに絵に描いたような優等生で、また、それが妙にサマになっちゃうのも、またスターたる所以だろう。はい、私もすっかりファンになってしまいました。