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エルガー 「エニグマ変奏曲」/バルビローリ&PO

2009年04月01日 23時25分53秒 | クラシック(20世紀~)
 今し方届いたばかりのバルビローリがエルガーの管弦楽作品を振った5枚組ボックス。エルガーはエルガーのスペシャリストとして知られていたので、まずはスタンダードなエルガー・アルバムといえるのではないだろうか。エルガーといえば、今の当方の気分なら、ヴァイオリン協奏曲ということになるが、残念ながらこのセットには収録されていないので、ここではまずは順当な線で「エニグマ変奏曲」を聴いているところだ。「エニグマ変奏曲」といえば、私はレコード時代にこのバルビローリ他にも、オーマンディ、あとストコフスキーの演奏などを聴いたりしたものだが、バルビローリの演奏は荘厳さ、メロディックな憂愁美みたいなところで、群を抜いた美しさがあったように記憶している。

 「エニグマ変奏曲」は、そのタイトル通り変奏曲であるが、同時期のラフマニノフが作った「パガニーニ狂詩曲」、あとレーガーの諸曲もそうだが、ロマン派の性格変奏曲が行き着いた果てというか、ひとつひとつの変奏の性格があまりに肥大化してしまい、ほとんど変奏曲というよりは、ラプソディックでスケールの大きな組曲のような様相を呈していると思う。「パガニーニ」の方もそうだが、メインの主題をさしおいて、途中に現れるひとつの変奏部分だけ、特別有名になるなどというのは(「エニグマ」なら当然第9変奏の「ニムロッド」だし、「パガニーニ」の方なら映画音楽にも使われたりもする第18変奏である)、そのあたりの事態をよく表した現象だとも思う。

 このバルビローリとフィルハーモニアによる演奏も、聴いていてほとんど変奏曲というテクニカルさは意識させず、むしろ19世紀末、そろそろ落日を迎える大英帝国の「威厳」と「過去の栄光」が交錯する30分の音楽パノラマみたいな色彩が強い。このあたりはオーマンディの演奏などはもうすこし性格変奏曲としてのメリハリがきっちりとつけていたような記憶があるのだが、バルビローリの方はダイナミックな部分ではちと押しが弱い分、この曲特有なノスタルジックな美しさを全面に出していて、その意味ではしみじみとした味わいがあって、まさに英国音楽を堪能させてくれるという感じだ。私も堪能させていただいた。

・交響曲第1番 Op.55
・序奏とアレグロ Op.47
・交響曲第2番 Op.63
・エレジー Op.58
・溜め息 Op.70
・ファルスタッフ Op.68
・コケイン Op.40
・フロワサール Op.19
・エニグマ変奏曲 Op.36
・『威風堂々』第1~5番 Op.39
・セレナード Op.20
・海の絵 Op.37
・チェロ協奏曲 Op.85
コメント
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