「ザ・森高(`91)」は絶頂期の森高のベスト盤である。曲目は前述の「森高ランド」との重複は最小限に留めているし、ヴァージョン違い、ロング・ヴァージョン等がオリジナル版の価値を台なしにしてしまう作品が多数収録されている点でも、これまたキワモノぶりが満喫できる作品である。
注目されるヴァージョンは数々あれど、ここではアルバム未収録のシングル「8月の恋」に注目したい。森高は「17歳」でキワモノと変身したワケだが、この曲はその「17歳」を作った筒美恭平を招いた、あまりと云えばあまり切ない優雅さに溢れた作品で、森高としては異色なくらいストレートな情感とマトモなアイドル歌謡路線を打ち出した仕上がりになっているのだ。これをキワモノの終結宣言とみるか、キワモノが正統派を演じることで逆にキワモノになる絡め手を狙ったのか、正直なところ今でもよくわからないのだが、そろそろキワモノぶりに陰りが見えはじるこの時期の彼女の「揺らぎ」を感じさせる趣があった作品ではあった。
注目されるヴァージョンは数々あれど、ここではアルバム未収録のシングル「8月の恋」に注目したい。森高は「17歳」でキワモノと変身したワケだが、この曲はその「17歳」を作った筒美恭平を招いた、あまりと云えばあまり切ない優雅さに溢れた作品で、森高としては異色なくらいストレートな情感とマトモなアイドル歌謡路線を打ち出した仕上がりになっているのだ。これをキワモノの終結宣言とみるか、キワモノが正統派を演じることで逆にキワモノになる絡め手を狙ったのか、正直なところ今でもよくわからないのだが、そろそろキワモノぶりに陰りが見えはじるこの時期の彼女の「揺らぎ」を感じさせる趣があった作品ではあった。