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ザ・キワモノの軌跡~キワモノ宣言 (`89-`91) #1

2007年01月27日 18時18分12秒 | JAPANESE POP
 前作をステップにして、森高は「非実力派宣言」で突如、キャラを変身させる。森高千里から「森高」の誕生であった。続く旧作の録り直しベスト「森高ランド」では、早くもあやつり人形時代の自らの跡形もなく痕跡を消し去り、たたみかけるようにリリースされた「古今東西」では、遂にキワモノとしての森高の頂点を極めることになるのである。おっと、興奮して話を先に進めすぎてしまった。

 とりあえず、「非実力派宣言(`88)」に話を戻す。このアルバムでは南沙織の「17才」を額縁にして、「これっきりバイバイ」「だいて」「非実力派宣言」「今度私をどこかに連れってくださいよ」「はだかにはならない」「しりたがり」「私はおんち」といったタイトルの曲が並ぶ。これはもうタイトルを見ただけで一目瞭然であって、つまりはロック風なニュー・ミュージックでもアイドル歌謡でもない、要するに「おもしろい」が全てのキーワードとなったキワモノなのであった。音楽的に見ても、プリンス風なロックがかったファンク・ビート、60年代、70年代ロック・サウンド、加山雄三風な夏歌謡的情緒を曲毎に割り振り、はなから一貫性など無視した脱線ぶりであったし、それらのサウンドをバックに森高が音楽をナメきった様なノーテンキ調で歌うというのは、具体的には誰がみつけたのか知らないが、まさに「森高の売り方を見つけた!」といったところだったろう。実際、当時の歌謡曲(いや、ロックにおいても)にあって、これくらいブチ切れている音楽もなかった。音楽に対するワビもサビもなく、おもしろいをキーワードになんでも引っ張り込むという今でも立派に通用する方法論をこのくらい意図的かつ強引にやったという意味だけでも、この時期の森高は評価できようというものだ。もちろん、森高のバブル絶頂期のギャル達の心象風景をうまく切り取った歌詞というのも、どの程度意識的だったかは知らないが、キワモノというコンセプトには最適であった。
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