Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

梁静茹(フィッシュ・リョン)/崇拝

2007年12月12日 23時35分18秒 | 台湾のあれこれ
 梁静茹(フィッシュ・リョン)は以前から名前だけは聞いたことがあった人なのだが、アルバムを購入したのは多分これが初めてである。彼女は数々のアーティストをスターにした李宗盛の秘蔵っ子として、1999年にデビューしたらしく、いつのまにか滾石唱片の中堅スターとなってしまった感があるが、このアルバムは新作らしく台北のショップではけっこう派手目にディプレイされているところが多かったので(赤を基調としたジャケ写真は日本のカメラマン、蜷川実花撮影だとのことだ)、試しに購入してみた。ジャケットはDVDサイズで、歌詞カードが紙のケースにプラスされた特殊ケースに、けっこう厚手のフォトノート(写真集+パステルカラーのノート)が同梱されている。「こんなノートもったいなくて使えないぜ」とかいってはいけない(笑)、この無駄なゴージャスさが台湾なのである。これに更にDVDが付いた豪華版もあるらしい。うーむ、そっちにすればよかったかな。

 さて、内容だがこれは一聴して魅了された。なにしろタイトル曲の「崇拝」が素晴らしい。アカペラで歌い始める厳かな開幕からピアノが絡み始め、心の琴線に触れまくりの旋律が歌われるあたり、「今時めずらしいくらいに正統派台湾ポップス」という感じだし、ストリングスやコーラスが重なってドラマチックに盛り上がるあたりの展開も素晴らしく、なんか久々に台湾ポップスの神髄を聴いたという気にさせてくれたのだ。彼女のヴォーカルは、女性としてはちょい低めのアルトくらいの音域で、声質もちょいとかすれ気味で、私の好みからすると、それほどど真ん中にヒットしているタイプでもはないのだが、抜群の歌唱力、人柄が伝わってきそうな誠実な歌い振りなど、とにかく説得力抜群だ。2曲目「セラヴィ」も理知的な面とほどよくコントロールされた情感とか絶妙にバランスしていて歌の職人を感じさせやけに心地よい。

 さて、この正統派王道台湾ポップスからはじまるアルバムだが、5曲目あたりから昨今のモダンな台湾ポップスの音にも目配せしているようで、ガレージ風なギター・サウンドやサイケなサウンドなども顔を出すが、彼女のヴォーカルはウェットなところと乾いたところが妙に交錯するところがあって、こういうサウンドだとそのドライさがうまくのって違和感を感じさせないところがいい。坂本風なく・ストリングスとエレトリックなサウンドをバックに配した6曲目などもおもしろく聴けるし、7曲目の楊乃文みたいなロック・サウンドもなかなかだ。ところでこの梁静茹だが、実はマレーシア人で台湾の人ではない。台湾のポップスのど真ん中にいながら、どこか自分はそれに客観視いているような微妙な距離感のようなものはひょっとすると、こうした出自によるものかもしれないな。
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臺灣之歌

2007年12月12日 00時37分40秒 | 台湾のあれこれ
 今回の訪台で驚いたのは、以前ならそこらに掃いて捨てるほどあったCD/VCDショップが激減していたことだった。なにしろカセットテープやVCDが駆逐されたというのは分かるが、CDやDVDなどは商品メディアとしてはまだまだ商品になるだろうに、どうしたことだろうか。やはりこれは台北で海賊盤を一切見かけなくなったことと無縁ではないような気もする。そのあたりの業者はその手の商品は、もはや国内は諦めて海賊盤天国中国本土に出荷しはじめたというところなのかもしれない。とはいえ、海賊盤といっても、当時から本国や欧米のアーティストのそれはほとんどみかけたことはなく、もっぱら日本のアーティストに限られていたのだが....。

 さて、このアルバム(VCD)は士林夜市の裏通りにあるエロDVDなどが置いている極めて怪しげな店で購入してきたものである。とはいえ、多分これは海賊盤ではない。HYSというマイナー・レーベルからでている代物で、タイトルから分かるとおり台湾演歌のスタンダード(50~80年代)を集めたアルバムである。ご覧の通りの戦前の台湾を撮影したとおぼしきノスタルジックなジャケに惹かれて、まとめて6枚ほど購入してみた。こちらの期待としては50年代頃の台湾の街角に鳴ってたであろう、いにしえの台湾演歌の音と映像が拝めたらうれしいな....というものだった。が、なにしろ、一枚20元、日本円にして80円というタダみたいな値段だから、過剰な期待は禁物である(なにしろプラケースなし、二つ折りのジャケ写真に無造作にCDがはいっているというお寒いパッケージなのだから推して知るべしである-笑)。

 さて、これらのアルバム帰国して、早速DVDプレイヤーでかけてみたのだが、やはり内容は予想とおりのものだった。外国の小綺麗なリゾート地だの街の風景をバックにいささか露出過剰な水着を着たモデルさんからうろうろしているを撮りっぱなした映像にカラオケ用の歌詞字幕がつくというものだった。もちろん音楽もいささかチープな打ち込み主体のオケをバック、名も知れない歌手がスタンダードをカバーするというスタイルで、映像、音楽のアレンジともノスタルジーのノの字もない代物であった。そういえば、7年前に訪台した時もVCDではないが、この手のCDを購入してきて、ちょいと聴きかじってそのまま放置してある気がするし、ひょっとしたらその前はその手のカセットテープなんかも購入しているかもしれない。懲りないヤツである。
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呉楚楚、潘越雲、李麗芬/3人展

2007年12月11日 23時45分30秒 | 台湾のあれこれ
 今回の訪台で購入してきたものの1枚。今では台湾のメジャー・レーベルとなった滾石唱片の第1作であり、おそらく潘越雲のデビュー作となる作品の復刻ということになるらしい。潘越雲が滾石に残した作品は、最近リマスターされ順次復刻されているようだけれど、この作品は潘越雲の単独作品ではないので、ひょっとするとそれとは別の流れで復刻されたのかはよくわからない。ともあれ、この作品では、呉楚楚、潘越雲、そして李麗芬という3人のシンガーがそれぞれ曲を歌い分けている。これが当時潘越雲が所属していたレギュラー・グループだったか、それとも一種のコンピレーションだったのかはよくわからないが、ジャケ写真を見るとステージで3人揃っているところなどもあり、多分後者だったのだろう(それにしてはジャケにグループ名が一切ないのはちと不思議だが)。

 収録された音楽は、まるで時代の彼方から聴こえてるような牧歌的でアコスティックなフォーク・ミュージックである。クレジットでは81年とあるが、日本なら71年といっても通用しそうな私小説的、四畳半的なムードが濃厚で、聴いていてなにやら既視感を誘うような音楽になっている。前述のとおりリード・ヴォーカルは曲毎に呉楚楚、潘越雲、そして李麗芬が歌い分けているが、潘越雲以外は当然のことながら初めて聴く人である。男性シンガーの呉楚楚はちょっと甲高く細身のあるヴォーカルが独特のひなびた風情を感じさせ、李麗芬は澄んだ伸びやかな声質が印象的という具合に、両者の歌はそれなりに個性も趣もあるのだが、やはり潘越雲の歌と比べてしまうといささか弱い。その後の彼女を知っているからかもしれないが、彼女のヴォーカルが登場するだけで、既にこの時代から独特の存在感と風格があたりに漂いはじめてしまうからさすがだ。

 サウンドはほぼアコスティック・フォークをベースにしているものの、うっすらドラムやベースも入るし、ストリングスやフルートなどが絡む曲もあるが、このスカスカな感じはやはり70年代フォークとしかいいようがない。その後、台湾ポップスの王道路線となるメロディックなAOR風なところは、この時点では全くない。潘越雲が名作「情字這條路」を発表するのは88年だから、この作品はそれからたかだか7年前の作品でしかないのだが、ぱっと聴くとまる20年くらいの距離を感じさせる。ひょっとすると80年代の台湾ポップスというのは、むしろここで聴けるようなフォーク風な作品が主流で、そこに「情字這條路」みたいな作品が出てきたから斬新だったということなのかもしれないが。
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BlogOut in 台北 @CityCafe

2007年12月10日 21時38分56秒 | 台湾のあれこれ

 3日目は帰るだけである。8時半出発、途中免税店に寄って成田に着いてみたら17時を過ぎていたという感じで、ほとんど書くことはなにもない。なので。この3日間の落ち穂拾いのようなことを書いておこう。 この三日間、食べたものはほとんど屋台のものばかりである。1日目はそぼろごはん、牡蛎のオムレツ、大きめのイカだの野菜が入った八宝菜風のスープ、腸詰め、牛肉乾、台湾ビール、2日の基隆ではそぼろごはん、細長い湯葉を揚げたようなもの、排骨、頂呱呱(台湾のファーストチェーン、フライドポテトがさつまいもなのだ)のフライドチキン、といったものである。コーヒーショップではドトールコーヒー(日本と全く同じ、そういえば珈琲舘は激減していたな)の他、台北駅の近くにある怡客(イカリ)咖啡というのも入ってみた。この店、日本のチェーンだとばかり思っていたら、どうも台湾資本らしい。モダンな内装で一見高級そうなのだが、値段もそう高い訳ではなくて(メニューはまるで日本風なのだが)、ソファーなどゆったりしていて2日の深夜、歩き疲れをいやすには格好の場所だった。またいってみたい。

 ついでに写真のCityCafeだが、実はこれはセブンイレブンの中にある店?で、最後に寄った免税店の近くにあったものである。レジで注文するとテイクアウト用のレギュラー・コーヒーを入れてくれて、3人くらいしか座れないカウンターみたいなところで飲むというスタイルだった。1000店突破とか偉そうに書いてあるが、セブンイレブンの一角におくだけなら1000店だってそう難しいもんでもないだろう....などと思ったりしたが、どこのコンビニにもあったという訳でもない。ちなみに見えにくいが、看板の下でにっこり笑っている優香と堀北真希を合わせたようなコは、王心凌(シンディー・ワン)で、一日目の写真としてアップロードした台北ウォーカーの表紙を飾っていたのも彼女である。どうも台湾のトップ・アイドルらしく、このツアーでポスターだのTVだので一番見かけた人という気がする。

 という訳で短い台湾ツアーもこれでおしまい。よーやく台湾にいけたので、次回は最低でも3泊4日、拠点もいつもの台北ではなく、今度は基隆とか高雄といったところに移して台湾を楽しんでみたいものだ。 だって、どうせ外国に泊まるならまるで東京のようなところより、下の写真みたいなノスタルジックのとこの方が気分でるでしょ、もっとも下の写真は基隆の駅前にあった多分お役所でホテルではないが。

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BlogOut in 基隆

2007年12月09日 21時37分54秒 | 台湾のあれこれ

 2日は午前中に台北の原宿?西門町の探索からスタート。まだ若者が大挙して繰り出す前の閑散とした西門町をぶらぶらと歩きながら、そのまま台北駅方向に歩き、台北三越の裏にある光南大批發というCDショップへと向かう。この店は私が台湾に赴くと必ず大量にCDを買い込む店なのだが、同じ目的でかつてよく通った士林夜市の烏龍院(昨夜いったら店が廃墟のようになっていたのが悲しかったな)や西門町のタワーレコードが既にない現在、最後の頼りともいえるショップである。7年振りに行く同店だったが、雰囲気はほとんど変わらないものの、かつてずらりと並んでいた日本アーティストの海賊盤(ベスト盤の類)は跡形もなく一掃されていたのは驚いた。映画の海賊CDも同様である。前からそういう話しは聞いていたが、本当に全くない。日本の人気アーティストに一銭もギャランティの入らない海賊盤がところ狭しと並んでいるのにかつて苦々しく思ったかと思えば、全くなければないでちょっと寂しいと思うのだから、人間とは勝手なものである。

  さて、午後は今回の台湾ツアーの個人的には目玉というか、ハイライトと勝手に決めていた基隆へと向かう。基隆は日本的でいったら小田原と横須賀が一緒になったような、比較的大きめの街なのだが、私はかつてここに一度だけ来たことがあり(確か最初に訪台した時だったと思う)、メインストリートにずらりと密集する屋台街の壮観ともいえる風景に圧倒されたことがあったのだが、以来、いつかこの屋台街が本格的に賑わう夜に訪れてみたいと思っていたのだった。それが今回、私のリクエストで実現したという訳だった。 基隆へ台北から電車で4,50分くらいにあるが、近代的でモダンな台北駅に対して、基隆駅はいかにも日本統治時代の古き良き駅舎の雰囲気を残していて(まぁ、台中駅ほどそのまんまという風情ではないのだが)、降り立つだけで懐かしい雰囲気になるし、駅を降りたらすぐに海があって潮の香りがするのも雰囲気がいい。駅を降りたら海があって潮の香りがするなら淡水はもっとロマンチックで観光地っぽい雰囲気もあるが、こちらは横須賀的なハードボイルドさがいいとでもいったらいいか。

 ともあれ、すでに夕刻も近く海沿い歩道を歩いていく、見覚えのあるマックが見えてきた。記憶によればあの巨大な屋台街をその奥なはずだ。これまでのろのろ歩いてきた歩調がいきなり早くなった自分でもわかった(笑)。はたしてそこは昔みたとおりの巨大な屋台街だった。記憶によればもうすこし壮大な屋台街だったようが、きっと年月の流れが記憶をデフォルメしていたのだろう。それにしたって、やはりこれは凄い。とくに提灯がずらりと並ぶメインの飲食店街は私がきた時のままで、ここの名物だったはずの天ぷら(薩摩揚げ)やカレーライスも私の記憶通りの場所にあったのはうれしくなってしまった(ちなみに海賊盤CDはこの屋台街にもなかった....というかCDやDVDショップそのものが昔に比べるとない)。規模でいったら当然士林夜市の方が凄いだろうけれど、個人的にはこちらに方が正統派、というか昔ながら屋台街という気がしてしまう。ここをぶらぶらとど真ん中にある神社の前で夕食をぱくつきながら、今度はぜひここに一泊してこのあたりを思う存分に歩きたいと思ったほどだ。

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BlogOut in 台北

2007年12月08日 21時37分18秒 | 台湾のあれこれ

 前回台湾に赴いた時、ふざけて「20世紀最後の台湾ツアー」と呼んだりしていたくらいだから、実に7年振りの訪台である(それにしても私が台湾に行く時って、どうしてこうも12月上旬が多いのだろうか?)。二泊三日、初日、成田発が15時過ぎで台北に到着するのは21時近く、3日目は朝から帰途につくという、実質フリータイムは2日目のみという簡素きわまりないツアーであったけれど(おまけに旅行費用が35,000円という質素さである-笑)、なんとなくもう億劫になって二度と行かないのでは?....とすら思いかけていたところでもあり、実現しただけでも物ぐさな私にとっては快挙である、めでたい。

  という訳で、1日の本日は予定通り台北到着が21時過ぎ、普通ならホテルで寝てしまうところなのだろうが、なにしろ時間に余裕がないツアーホテルに荷物を置いたら即MRTという台湾の地下鉄にのって夜の台北に繰り出す趣向である。宿泊したホテルは台北駅の北にある山水閣という安ホテルで、台北駅から淡水に向かって2つ目の駅である民權西路站の近くにあったため、ここから士林夜市へと向かう。士林夜市には何度も行ってはいるし、「あそこの何があるんだ、何がそんなにいいんだ?」ときかれても、「そうですなぁ、屋台と人混みをうんざりするほど体験できます」としかいいようがないのだが(笑)、それでも行きたくなってしまうのが、台湾好きたる所以だろう。  さて、7年振りの士林夜市だが、かつての御徒町のリニューアルのようなことになっているのかと思ったら、意外にもそうでもなかった。確かに中央部にあった飲食エリアはまるごと何百メートルから離れた場所に大挙して移動してしまっているため、もとの場所は立ち入り禁止になってバリケードが立っているか、まるで廃墟のような風景が見れるかのどちらかだが、他は全くといってほほど変わっていなかった。あの「このあたり今夜はお祭りですか?」と聞きたくなるような人混みとその熱気、どうみて上品とはいえないな屋台の商品の数々に、あざとそうな店主、物乞い、異臭....などなど醸し出すあの雰囲気は十分に健在である。おまけに別エリアに大挙して移動した飲食店群も、入り口の小綺麗な雰囲気に惑わされていけない(笑)。中に入ってみれば、かつて中央部にあったカオスのような飲食店街とほとんどメニューも店も同じだ。かつてステーキを食ったあの店も、牡蛎のオムレツを丸い鉄板で焼いている店も、そのまま再現しているくらいだから、本当に店を移動させただけなんだろう。

  さて、屋台の雰囲気は7年前とほとんど変わらないが、さすがに7年間で変わったのは台北市内の雰囲気だ。7年前はまだ台北市内の随所に残っていた戦前の残滓のような朽ちかけた建物はかなり消えていて、その分小綺麗なビルが一層林立して街中はより明るくクリーンになった。また、そこを歩く女性ときたら、ほとんど東京化しているとでもいおうか、髪型にしろ、ファッションにしろ、ほとんど日本人的なチャーミングさを競っているような人が激増したように感じた....というか、日本人の女の子と台湾のそれはもうほとんど区別がつかないくらいになっていると思う(さらっさらっのストレートヘアーにジーンズのミススカにブーツとかね-笑)。昔はもうすこし素朴なチャーミングさがあったし、メガネかけてるコなんかも多かったと思うのだが、やっぱ日本の女性みたいにコンタクトレンズにしちゃってるコが多いのかとも思うんだけどな。

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高勝美/為什麼我的真換來我的疼

2007年12月07日 23時29分51秒 | 台湾のあれこれ
 ちょいと前にオークションで見かけ、格安で購入した作品。あらためて手にとってみると93年の作品とある。となると、しばらく前にレビューした「蝶兒蝶兒滿天飛」が94年の作品だから、たぶんあれの前作くらいの作品になる計算になる。「蝶兒蝶兒滿天飛」は王道台湾ポップスというか、日本のニュー・ミュージックにかなり近い内容だったけれど、こちらはジャケの雰囲気からもわかるとおり、かなり演歌寄りの内容で、アップ・テンポでダンサンブルな曲はほぼ皆無、しっとりしたバラード風な曲な曲ばかりを歌っている(10曲目に突然シューベルトの「未完成」のモチーフを使ったヴォーカリーゼみたいな作品が出てくるのは驚くけれど)。この頃の台湾ポップスは演歌と台湾ポップスとがまだけっこう未分化だったようで、高勝美のような歌の職人さんの場合、どちらも器用にこなしていたのだろうと思う。

 ただ、アルバム全体としての印象はいまひとつ。どうもこれだっていう曲がないような気もする。全体に夜っぽいムードが強いのはいいのだが、それぞれの曲が地味でどうもインパクトに欠けるのだ。大分前にレビュウした台湾スタンダードを歌ったアルバムのようなド演歌ならそれはそれで良いし、「蝶兒蝶兒滿天飛」のようなカラフルなポップを指向するならするでこの人はけっこう様になってしまうのだが、どうもこの作品はちと淡々としすぎていて、台湾ポップらしい琴線に触れずにはおかない人なつこいメロディーとか、初めて聞くのになぜか懐かしくなってしまうあの雰囲気がいまひとつなのである(まぁ、5曲目あたりがそれに近いかな)。とはいえ、しばらく前に購入したDVDなど観るに、多分、この作品で聴ける高勝美のイメージが本国では正統派高勝美路線ということになるのかもしれないけれど。
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舞曲 古典賎喋 -Classic e 2000-

2007年11月08日 21時25分15秒 | 台湾のあれこれ
 1999年に台湾は空前のハウス&テクノ・ブームを向かえていた。台北のいたるところ聴こえてきたのありがちなバラードではなく、チャカポコしたテクノのリズムに塗りつぶされたいたのだ。このアルバムは多分その時に購入してきたものだと思う。本人は購入したことすら完全に忘れていたのだが(笑)、先ほど、ふとしたきけっかけでこれを発見したもんで、「そうだ、こんなの買ってたよねー」と思いながら、久しぶりに聴いてみたというところである。クラシックの名曲を時の流行音楽のスタイルで編曲する....という試みは、ベンチャーズはおろか、ジャズも仲間に入れれば1940年代から行われているのだけれど、このアルバムはクラシックの有名曲をハウス&テクノ化したものである。ありがちな企画であるが(笑)、台湾産というのが珍しいといえは珍しいかもしれない。

 曲はバッハの「トッカータとフーガ」、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、フォーレの「パヴァーヌ」、ベートーベンの「月光」、ドビュッシーの「月の光」、ヴィバルディの「四季」といった有名どころばかりで、これを例のリズムにのっけてやっている訳だけれど、1990年代の「素材の解体が目的化したテクノ&ハウス」の系列の音楽だからして、曲の冒頭で申し訳程度にサンプリングされた原曲を聴かせているのを除けば、素材といってもほとんど有名なワンフレーズを延々と繰り返しているだけである。ついで書けば、特に目立つようなアイデアや冴えたアレンジの冴えといったものもなく、まさにテクノ&ハウスの匿名性に塗りつぶされているような音楽といってもいい。このアルバムにはアーティスト名がクレジットされていないが、さもありなんである。

 おもしろかったのは、ブラームスの交響曲第3番の第3楽章が取り上げられていることで、大昔は映画の主題曲として日本でも有名だったこともあるようだが、台湾では未だにそのレベルで人気曲なんだろうか?。それともバラード王国の嗜好が出ているのだろうか、興味深いところだ。あとバーバーのもの悲しい「アダージョ」をアンビエント・ハウス風に料理しているのはおもしろかった。ラストはR.シュトラウスの「ツァラトゥストラ」だが、これはシャープに決めていてなかなかおもしろかった。
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始動! 7年振りの訪台計画

2007年10月20日 19時29分37秒 | 台湾のあれこれ
 前回台湾に行ったのは2000年のことだったことは、既に何度書いているけれど、再来月あたり、よーやく7年振りの訪台が実現しそうである。私はどういう訳か、12月前半あたりに台湾にいくことが多いのだけれど、今年もやはりそのくらいになりそうである。なにしろ、7年も行っていないので、パスポートも切れてしまっていて、昨日は所用を済ませた後、そそくさと市役所にいって戸籍謄本をとり寄せてきた。来週にはパスポートの申請もしなければいけないが、それさえ済んでしまえば、あとは行くだけだ。現地の台湾料理店や屋台の食い物など食したり、あのちと猥雑な雰囲気を味わうのが楽しみである。

 食い物といえば、これも台湾行きの時になぜかカブるパターンが多いのだが、4月から始めたダイエットも現在なんとか進行中である。約半年が経過して約12kgの減量に成功したところだが、なにしろ以前の状態が88kgという自己最高状態(笑)だったため、12kg程度やったところで、まだ76kgもある訳で、油物を徹底的に駆逐した食事というのも半年くらい続けるとそろそろ限界だが(継続最長記録を更新中である)、とりあえず12月に台湾に行く日を解禁日ということで、それまではもりそばだのおにぎり、納豆ご飯等、例の食生活で餓えをしのごうかと思う。その時に75kg以下になっていたらしめたものたが、もう無理かな。
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蘇慧倫(ターシー・スー)/満足

2007年10月07日 23時43分57秒 | 台湾のあれこれ
 蘇慧倫の1995年の作品です。個人的には彼女の最高傑作だと思っている「就要愛了[口馬]」に続く作品となりますが、フュージョン的なサウンドにのってすこし大人びた音楽を展開した「就要愛了[口馬]」に対して、こちらはがらりとムードを替えてシンガー・ソングライター風というか、フォーク風なナチュラルな作品を集めているのが特徴でしょうか。歌手のとしての蘇慧倫は90年代前半は日本的なアイドル路線にほぼ塗りつぶされた音楽をやっていて、それが一皮むけたのがそだったとすると、本作はさらに歌手のとしてのレンジを広げた作品ということができると思います。

 1曲目は秋の高い空を見るようなパースペクティブを持ったバラード風な作品で、彼女のやや生真面目で誠実ななキャラがストレートに出て、その澄んだ歌声共々「少し大人になった蘇慧倫」の魅力がいかんなく発揮されています。4曲目はそれに輪をかけて素晴らしいバラードで、切ない感情の高まりを切々と歌う様は、調度アイドル路線とシンガーの中間くらいの微妙なバランスを感じさせて、その脱皮しかけなところが初々しくてこれまたグー。ラスト・チューンはほぼ1曲目に呼応するようなアコスティックなサウンドにのって歌われますが、これまた蘇慧倫のナチュラルな魅力炸裂といったところでしょうか。ともあれこの3曲は多分彼女の数ある作品の中でも、蘇慧倫が一番蘇慧倫らしかった作品として印象深いです。

 ちなみに彼女はこの作品の後、またまた路線を変更し、髪を切っておかっぱ頭でちょっと素っ頓狂なお姉さん的なキャラに変貌する訳ですが、それを思うと「就要愛了[口馬]」と本作は、彼女が大人になるプロセスで一瞬見せた「まじめで誠実そうなお嬢さん」的なキャラをストレートに記録した数少ない作品という気もします。実際、この時期の彼女はヴィデオなどみても絵に描いたように「きれいないい女」しているんですよね。その後の3枚目的なキャラも好きだけど、個人的にはもう少しこの路線を続けて、夢を見させてもらいたかった....という想いもあったせいか(笑)、この2作は余計記憶に残っているのかもしれません。
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李心潔(リー・シンチエ)/ 愛像大海[Disc2]

2007年09月18日 23時33分53秒 | 台湾のあれこれ
 一昨日、レビュウした李心潔の「愛像大海」のボーナス・ディスクである。収録曲は3曲で、うち1曲はタイトル曲のリミックスで、残り2曲は一応本編未収録の曲ということになる(おそらく旧作のリミックスだとだろう)。このくらいの量ならDisc.1の方に余裕で収録できるとは思うのだが、あえて別ディスクにして、その間に見開きのミニ写真集はさみこみ、更にはCDジャケとは別のカバーにくるんで、やたらと分厚いパッケージとして豪華な佇まいで売るというのが台湾流なのだろう。前にも書いたけれど、このあたりの初版限定豪華ヴァージョンというのは本当に楽しいし、ちょっぴりうれしい。もちろん日本にもこの手の限定パッケージはないでもないが、ミニ写真集はボーナス・ディスクはいわずもがな、シャンプーをつけたり、トランクにしてしまったり、システム手帳付きとかショップで観ているだけでもわくわくしたものだ。

 さて、アルバム「愛像大海」の本編は、台湾ニュー・ウィブ以降のテクノ&ギター・サウンドをベースにしつつも、バラードあり、アコスティック・サウンドありで、とてもポップでカラフルな仕上がりだったけれども、こちらのボーナス・ディスクはうって変わって全編ダークでモノトーンなデトロイト・テクノ風なサウンドで、李心潔自身のボーカルはもうほとんど素材に遠景に追いやられているという感じである。前回ちょっと引き合いだした中谷美紀も2枚目のアルバムのボーナスディスクでは、中谷美紀のナの字もでてこない鬱蒼としたアンビエント・テクノだったけれど、あれほどではないにしても(一応、原曲のリミックスという体裁は保っている)、ここでも坂本プロデュースのアイデアを借りたのかもしれない。ともあれ、モノクロで顔を隠したジャケが素直に納得できる仕上がりであり、台湾ニューウェイブの後の2000年頃、突如勃興した台湾テクノのすごさを改めて思いださせたりもする内容でもある。
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李心潔(リー・シンチエ)/ 愛像大海

2007年09月14日 22時21分10秒 | 台湾のあれこれ
 李心潔(リー・シンチエ)は、マレーシア出身だが、台湾でシャンプーのCMだかなにかでデビュー。その後同じく台湾のアイドルグループ、キラキラ美少女(少女標本)のメンバーとして活躍したりしているから、私的にはこの人「台湾のシンガー」である。本作は彼女が2000年に出した、おそらくソロ第2作である。彼女は1976年の生まれだから、本作がリリースされた時、既に23,4才だった訳だが、ジャケの写真を見ても、やっている音楽を聴いても、ほとんど10代後半というイメージである。それも正統派のアイドル路線という訳ではなくて、そこはかとなく「アーティスティックなシンガー的な雰囲気のアイドル」という感じなのがおもしろい。日本でいったらデビューしたての頃の中谷美紀みたいな感じ。もっとも李心潔の方がもっとはつらつとしたイメージだけど。

 1曲目は懐かしい風情すら漂うウェストコースト風なアコスティック・バラード。彼女の声は明るく澄んでいて、テクニック的には稚拙だけれど、想いが伝わってくるような情感があって、まずはこの曲でぐっと引きこまれる。2曲目のタイトル・チューンは一転してテクノ風なポップ・チューンで、アコスティック・ギターとアコピのアルペジオ、飛び散るシーケンス・パターン、それにストリングスが奏でるチャイナ風なエキゾシズムをスパイスに、最高にキャッチーに仕上がりを見せる。このアレンジ、おそらく坂本龍一をお手本にしているのだろうが、本家顔負けのハイブリッドなセンスと李心潔のはつらつとした、瑞々しいボーカルのおかげで、単なるエピゴーネン以上の仕上がりとなっているのはさすがだ....と、まぁ、こんな感じで、それ以降の曲も正統派バラード、ニュー・ウェイブ風なリズミックな曲と、このアルバム全体も非常に素晴らしい出来。どうして、他のアルバムをフォロウしなかったのか、今聴いても不思議になってしまう。

 ちなみにこの人、今は女優さんとして大成功しているようで(台湾のシンガー、ターシー・スーに限らずこのパターン多いような)、ベルリン国際映画祭で最優秀新人女優賞とか、香港台湾の映画賞を総なめにしているらしい。ネットで最近のお姿を拝見したら、はつらつとしたカワイコちゃんから、ぞくっとするような美人さんになっていた。
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台湾の夜市は今....[2]

2007年09月05日 17時01分02秒 | 台湾のあれこれ
 先月ちらっと話題に出たこの一年で2回も訪台した、職場の同僚から送ってもらった写真である(無断転載してしまおう-笑)。くわしいことはわからないが、看板の文字からすると士林夜市らしい、先般の話だと、士林の夜市はどまんなかにあった飲食店が、駅近くのビルに移動したみたいなことを聞いたのだが、この写真を見てようやくイメージがつかめた。予想としては、その昔リニューアルした日本の御徒町みたいなもんかと思っていたのだが、どちらかといえばビルの空き倉庫をそのまま屋台街にしたみたいな雰囲気感じで、なるほど台湾だとこうなるかという感じだ。さすがに、施設は小綺麗になり、闊歩する人たちも昔に比べてオシャレになっているような気もするのだが(笑)、けっこう士林の雰囲気は残っている。うむ、安心した。
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台湾の夜市は今....

2007年08月21日 23時17分47秒 | 台湾のあれこれ
 本日は先々週に続いて職場に泊まりがけで仕事だったのだが、これまで何度か台湾に同行していた職場の同僚さんと一緒になったので、空き時間に世間話ついでに台湾の話題になった。ここで何度も書いているように私は21世紀になってから訪台をしたことがないのだが、彼はここ1年で2回も赴いていることがわかった。当然のことながら、かの地に訪問した数は私を超えてしまっており、もう立派な「台湾フリーク」であるのだが(笑)、その彼に最近の台湾について聞いてところ、地下鉄その他が整備され、もろもろ小綺麗にはなったけれど、全体としてはあまり変わっていないらしい。夜市なども健在だそうな。

 俗に「台湾の四大夜市」と呼ばれている士林夜市、臨江街観光夜市、饒河街夜市、華西街夜市などは、一種観光客向の泥臭いアミャーズメントパークみたいな性格もあるので、一部士林のようの御徒町化し始めているところもあるようだが、そう簡単に廃れることもないだろう。しかし、遼夏路夜市とか街遼寧夜市、あと迪化街みたいなほとんど観光とは無縁なところはどうなっているんだろうか?。あと名前は忘れてしまったが、迪化街の近くにあった夜市なんて(初めて牛肉麺を食べて場所でもある)、昔はすごく大規模なものだったらしいのだが、私か赴いた90年代の時点で既に昔の面影もないほど廃れてしまっていたから、ひょっとしたらもう跡形もなく違う区画になってしまっているのかな....など、話をしながら考えてしまった。
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宝覚寺 @台中

2007年07月26日 08時53分59秒 | 台湾のあれこれ
 1999年に台湾に訪れた際に、いつもの台北だけでなく、自強号とかいう特急にのって、台中に行った....という話は前にも書いたようんな気がするが、台中というところはそれほど賑やかなところではないし、有名な観光スポットがある訳でもないが(もっとも住むには気候的にも快適らしい)、唯一、有名というか、観光スポットらしきものがあるとすれば、たぶん宝覚寺である。ここには金色に光る高さ30mもある大仏があり、博物館のようなものあるから、一応観光スポットの体裁はととのっている。

 私達が訪れたのは、ちょうど台湾の震災があった翌年だったせいなのか、それとも他の理由だかはよその者知る由もないが、とにかく敷地内を大改装していて、観光地というには妙に荒涼とした工事現場のどまんなか大仏が鎮座しているという感じだったし、訪れたのも午前中だったので、我々以外の他の観光客など人もほとんどみかけず、妙に閑散した記憶ばかりが残っている。
 ちなみにこの大仏様はなんとも弥勒菩薩である。56億7千万年後に現世に降りたって、人々を救うとかいうアレである(SFファンならこの話を「百億の昼と千億の夜」で知ったはず-笑)。日本で弥勒菩薩というと、東大寺にあるちょいと頭傾けて、なにやら高邁なことを思案しているかのような、あの静的でストイックなイメージが強いが、これも同じ弥勒なのだそうだ。しかも金ぴかで、満面の笑顔....すごすぎである。

 もっとも、この台中の大仏、他のところにある写真は文字通り黄金色なのだが、私がいった時はもう少しくすんだ色だった記憶があり、そのくすんだ色とこの笑顔が妙に合っていなかったような気もする....。
 あと、もののついでに書いておくと、プロ野球のジャイアンツが冬場にハワイでキャンプするよるまでは、この台中でキャンプしていたことを覚えている人はもうあまりいないだろう。二軍のテスト生として巨人軍に入団した星飛雄馬が、速球投手として限界を感じつつ参加して、最終的に「オレは速球投手としていける」と勘違いしてしまう、あのキャンプが台中だったはず。その野球場って台中のどこにあったのだろう?。
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