シネ・マレーシア2013でマレーシア映画を観てきました

こんばんは。

2013年5月末に、渋谷にてマレーシア映画を上映するイベントが8日間開催されました。
シネ・マレーシア2013と銘打たれたこのイベント、長編、短編などのさまざまな映画が上映されました。
そういえばペナンで映画館を見かけたことがありましたが、マレーシア映画ってどういうものだろう?と思い、ヨメさまと前売り券(3枚綴り)を購入して行ってきました。



会場のオーディトリウム渋谷は、O-EASTなどのライブハウスやラブホテルのあるエリアとBunkamuraの間にあり、映画館とカフェが一緒に入っています。
以前行ったことがある、theater 6 cafeがリニューアルしたものです。
theater 6 cafe閉店が2006年末でしたから、もう6年以上昔の話ですか。
本当に時が経つのは早いものです。

さて、今回ヨメさまと一緒に観た映画はいわゆるラブコメの「イスタンブールに来ちゃったの(99分)」です。
デートムービーとしては、上映作品の中でも一番安心かなという感じです。
マレーシア映画といっても、ロケ地はマレーシアではなく、全編トルコのイスタンブールでした。
登場人物たちはマレー人で、マレー人同士だとマレー語、トルコ人に対しては英語で会話していました。

トルコだからマレーシアの要素が皆無ということはなく、マレーシア料理を作るシーンがあったり、「マレーシアでしか買えない、マギーのアッサムラクサ」が出てきたりで、マレーシア好きとしてはニヤリとするシーンが多かったです。
観るまでは舞台がマレーシアじゃないなら他の映画の方がいいかな?と思ったりもしたのですが、観終わったらしっかりマレーシアの雰囲気は実感できました。
考えてみたら、邦画だって全編海外でロケしたものはありますよね。

イスタンブールの美しい街で若い男女が繰り広げる話ですが、素敵な衣装やMacbook AirやiPhoneが出てきたり、とてもオシャレでした。
映像も電話やメールのときにポップなフキダシなどが出てきたりで、想像していたよりも洗練されていました。
マレーシアの映画ってどんなものなのかと思っていて、インドの映画みたいに必ずといっていいほど唄や踊りのシーンが入ったりするような、特徴的なものがあるのかと思いましたが、あまりそういうものはありませんでした。
ただ、映画内にマレー語が一定の割合で使われていることが条件で、それにより国内で一定期間上映される権利が得られるそうです。

マレー語を細々と勉強していますが、さすがに字幕がないとマレー語のセリフの意味はよく分かりません。
ですが「awak」(あなた)が登場人物の男女が呼び合うのに使っていたりで、その言葉の意味をあとで解説で見たら「あまり親しくない間柄で相手を呼ぶ時に使う」とありました。
そういえばマレーシア航空の機内アナウンスでは「awak」ではなく「anda」でした。
どちらも同じ「あなた」ですが、より親しみを込めたのが「anda」のようです。
マレーシアで会話をするとき「awak」と「anda」を意味までは考えずに使っていました。
映画の字幕では「ねぇ」と訳されていたりで、翻訳家のお仕事ってすごいなぁと思ったり、マレー語の勉強に、マレーシアの映画を観るのもいいかもしれないなぁと思いました。

そして前売り券3枚の残り1枚を使って、私だけで後日もう1本観てきました。
もう1本は短編映画「Girl in the Water(19分)」「誰にでも言い分はある(30分)」2本がセットになっている、お得な回でした。
中でも「誰にでも言い分はある」が特に印象に残りました。
インドネシアの政治集団BENDERAがマレーシア粉砕を掲げて運動していて、そのリーダーへのインタビューを中心として作られたドキュメンタリー映画です。
インドネシアとマレーシアは言葉が似ていて、料理もナシゴレンなど近いものがあります。
マレーシアが好きなこともあり勝手に親近感を覚えていて、両国の関係も普通か良好だと勝手に思っていました。
「日本ではインドネシアフェスティバルが毎年開催されているけど、マレーシアフェスティバルは開催されません。
ベトナムフェスティバルにタイ料理店が一緒に出てるんだから、インドネシアとマレーシアが合同で開催したらいいのに」
と思ったこともありました。
しかし映画の中で両国の歴史的背景について説明がありました。

終戦後に独立した両国の協力関係が続いていましたが、マレーシアがボルネオの約半分をインドネシアから奪ってしまったそうです。
ボルネオの島がインドネシアと二分されているのは、そういう訳があったんですね。
現在インドネシアからマレーシアへの出稼ぎ労働者は約220万人ほどいるそうですが、彼らが正当な扱いを受けているとは言い難いことも合わせて、インドネシア国民のマレーシアに対する感情は決して良くはないようです。
ジャカルタの一般市民へのインタビューもありましたが、皆さんさまざまな感情をお持ちでした。
「すぐにでもマレーシアに攻め込むべき」という意見もあれば「マレーシアに攻めるより、インドネシア経済の立て直しや政治腐敗などの問題を解決することが先決だ」というような意見もありました。
マレーシア好きな一般的な観光客の日本人が観たら、インドネシア人への不当な扱いに目を背けたくなるような表現もありましたが、これもマレーシアの一面であり、決して何もかもが素晴らしいということではないのでしょう。

観ながら思ったことは、日本でも中国・韓国・ロシアなどの周辺諸国との外交問題がよくニュースで出てきます。
隣国との問題は日本だけでなく、中東やエジプトなどでもよく起こっていますが、マレーシアも決して例外ではないんだなと思いました。
日本と韓国の外交問題の言い分をあてはめて観ると、とてもしっくりくる感じのする映画でした。
すごく勉強になり、色々と考えされられる映画ではありましたが、ホー・ユーハン監督にはインドネシア側だけの言い分だけではなく、マレーシアの方にもインタビューして欲しかったかなとは思いました。
ただ、最後の「私は今後もこの不寛容で差別的で時代遅れなこの国に住み続ける」というメッセージから、マレーシア人としてこれからもこの国で清濁併せのみ生きて行くという、監督の決意を感じました。

また、この映画の後に立教大学・桝谷教授の30分ほどのトークイベントもあり、この映画と合わせてマレーシアの歴史や文化などをより深く知ることができ、とても有意義でした。
「長らくボルネオの領有権などで争いが続いていたこと」
「先の総選挙で初の政権交代が起こるのではないかと言われるように、マレー人優遇の政策に他民族からは不満があがっている」
「多民族国家として一見成功しているように見えるが、民族融和ではなく、相互不干渉であり必ずしも成功とはいえないこと」
「芸術、とりわけ文学は日本のような文芸誌が毎月発行されるような土壌がなく、マレーシアでは物書きがそれだけで生計を立てていくことは難しいこと」
このようなことが話にあがりました。

初めて観たマレーシア映画は、硬軟どちらもとても観応えがありました。
今度現地で映画のDVDなどを探して買ってみたいと思います。
シネ・マレーシアは、ぜひとも来年以降も継続して続けていただきたいと思います!

映画と合わせて、オーディトリウム渋谷のカフェでマレーシア料理を提供していたのですが、長くなったので次の記事にしたいと思います。
それでは、失礼します。
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コメント
 
 
 
Unknown (saya)
2013-06-13 10:57:41
ワタシは、いつもマレーシア語で観てる映画を日本語字幕でみて新鮮でした!

anda・・・ですが、
「親しみ」より「より丁寧」と言った感じかと。
ワタシ自身、しゃべる時は使いませんが会社のスピーチでは使用します。
スタッフと喧嘩する時は、Hang(笑)。
ちなみにナジブさんが総選挙の際、田舎へ遊説にいったりした時、親近感を出すためでしょうか、たまに「Kamu」を使っていました。
「あなた」でも使い分けるあたり面白いですよね♪
 
 
 
>sayaさんへ (USHIZO)
2013-06-15 01:08:15
こんばんは。いらっしゃいませ!

そうですよね。マレー語でご覧になってる映画が日本語字幕って、不思議な感じだったことでしょう。
andaの使いかた、勉強になりますです。
「あなた」でもそれだけ使い分けてるんですか。
日本語でいうと「あなた」「君」「お前」「上様(ぉぃ)」って感じですかね。
王様に対してのIstana Bahasaってのだとまた違うんでしょうね。

うーん、奥が深いです。
それでは、失礼します。
 
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