山の稜線に豊作願う火
雪に浮かぶ幻想的な炎の祭典「百八灯」湯の里雪まつりが3月1日、折立温泉で行われ、天候にも恵まれてにぎわいをみせた。
百八灯祭りは折立温泉で江戸時代初期、寛永年間の初めから行われているという伝統ある行事。山の麓にある小さな稲荷様の社から山頂に向けて、農家から集められたワラを置き、夜を待ってそれに点火、暗い夜空に無数の火を浮び上がらせる。
この日は穏やか天候となり、マレットゴルフ場のおまつり広場では観光客や近隣の人たちが大勢訪れ、名物の6人搗きの餅つきや地元の芸能などを楽しみながら甘酒、豚汁などの無料サービスの夜店の味に舌鼓を打った。
午後7時半、メインイベントの百八灯に点火されると、無数の火により暗い夜空に山の稜線がくっきりと浮かび上がった。会場では「百八灯、百八灯、百の米が一斗五升、十文酒が十六ぱい、十六ぱい」と囃子が歌われ、今年の豊作が願われ、夜空に大輪の花を咲かせる冬の花火が奇祭のクライマックスを彩った。