高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、45年の歴史をもつ共同購入の会です。

『土と文明』。

2012-10-26 07:20:10 | 読んでみたら・・・
さきに『脱牛肉文明への挑戦』こちら)を紹介したさいに
農地における表土流出の問題にふれました

実は
表土流出の問題は
現代だけのことではないようです

V・G・カーター、T・デール
『土と文明』(家の光協会)

を読みました

第1章から。

「最初の文明が3つの地域、すなわちナイル川流域、・メソポタミア・インガス川流域に発達したというのは、多くの歴史家たちの一致した見解である。

これらの地域はいずれも、次の3つの要素を享有していた。

すなわち、�地味が肥えていたこと。�灌漑を用いたことから水利が豊富であったこと、�土地が比較的平坦で降雨量が少なかったことから土壌が流亡しなかったこと。

こっらの三条件はいずれも重要であったが、そのうち第三の要素が最も重要であった」(19-20ページ)


「文明は灌漑流域から他の地帯に広がった。

多くの場合、これらの地帯はナイル川流域・メソポタミア・インダス川流域を安定させていたような諸条件を欠いていた。

地味は肥沃であったが、多くの土地は傾斜だったし、作物への給水は雨水によるものであった。

雨が降ると、斜面の穀物畑、伐採された川腹や、家畜によって食い荒らされた草地から肥沃な表土が流亡した。

しばしば土地は2~3紀のうちに耕作できないようになった。

そういう事態が起こると、ひとは新しい土地へ移動するか、やせこけた土地で辛うじて生きていかねばならなかった。

こういう文明は、みずからが建設した土地を枯渇しつくしてしまうと、数世紀のうちに衰えて没落した」(20-21ページ)

そうした歴史を
人類がどこで
どのようにくりかえしてきたかが
書かれてゆきます

たとえば
シリアとかパレスチナとかギリシア

山にあまり木が生えていませんが
昔はそうではありませんでした

ゆたかに木が茂っていたのです

畑とされたり放牧地にされたりするうちに
表土が流出して
木も生えない山となったのです

そうした歴史を
現代のアメリカも
くりかえそうとしているのではないか
と著者は心配します

訳文が少したどたどしいことと
古書でしか買えないところが
ちょっと残念な本です
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする