光明岩を後にして、奥の院まで下りてきました。
ここでゆっくりと建物を観察。
後で調べたところ、この奥の院が本来の本堂で、ここにあった大師堂をふもとに下ろし、本堂も新たに建てたのが今の世田薬師、(正式には栴檀寺と言います)だそうです。この古い本堂には左甚五郎作と伝えられる胴切りの竜の彫刻があるということです。そんなこと知らずに行ったものだから3人はこの彫刻を見上げてしばらくああだこうだと言っていました。
獅子? いやキツネに見える。犬かも。 今みてもこれが竜とは思えません。
反対側も同じ?
これは鳳凰でしょう。竜はどこにあったのでしょう。 これだけしか写真を撮ってないので、確かめるにはもう一度登らなければ・・・・・まあ、そのうちにね。
この本堂の近くに立て札がありました。ありふれた山火事防止の看板ですが、
ちょっと雰囲気が違いました。「おたばこ」「×ですよ」多分この柔らかな言葉遣いが優しく諭しているような雰囲気を醸し出しているのでしょう。さすが、お寺さんの立てた看板だねえと思いました。
そしてわたしたちは、工事中の不動明王の所まで下りてきました。
「あっ、来てる。」
この石仏を彫り続けているおじいさんが、すわってお弁当を食べているところでした。
「こんにちは。毎日来てるんですか。」
「お天気がよかったけんなあ。」
「今何を?」
「弁当を食べよるんよ。」
お弁当は、自分で炊いたご飯と、買ったお総菜だそうです。一人暮らしのおじいさん、車を運転してスーパーまで行かれるそうです。
「道を直しもって来たけん昼になった。けど、ちいとは歩きようなったじゃろ。」
ああ~ 来るとき段差を縮めるために置いていた土嚢、あれはこの人が置いてくれてたのか。石仏を彫るだけでなく、道の整備もやってくれていたとはー90歳に近い独居老人。毎日ここまで登ってくるのでも大変なのに、荷物を運びながら、作業をしながらだったのです。
帰り道には新しい土嚢が準備されていました。
なるほど、土を詰めるのは現地でするんですね。そして必要なところに置いておくらしいです。
おちばだらけの階段
これはまだいい方で、竹藪のそばに来ると笹の葉が積もるほど落ちています。竹の葉って滑りやすいんですよね。来るときには落ち葉がいっぱいだった道を、葉っぱを中央に掃き寄せて、左右を歩きやすいようにしてくれていました。ちなみにこの道、案内板に寄れば登山道ではなくてハイキングコースだそうです。
横峰寺でも、毎日登山道を掃除しているというおじいさんに会いましたが、ここにもいたのですねえ。
目に見えない心遣いを目の当たりにしたことで、本当にありがたいことだと感謝しながら歩きました。どうかあのおじいさん、元気で長生きされますように。
そしてわたしたちは無事下山。思いがけない出会いと、次は笠松山へと言う目標ができて、今回もいい山登りでした。