日本に普及している福寿草には現在のところ、次の4種類があります。
いずれの種にしても、日本の福寿草の花には黄色があります。
例えば、純粋の赤色、白色、緑色と言える花の品種は存在しません。
ただし、緑の花弁を持つ品種の中には緑以外の花色因子を持たないように見えるのもあります。
三段咲きの緑弁は、そのまま最後まで緑弁です。
小菊は外側黄色中心近くは緑弁で咲きますが、緑が黄色に変わっていき最後に花弁の先端に
少しの緑が残る程度まで変化します。
他に緑の花弁を持つ緑峰・天緑・佐渡の幻とよばれる福寿草もありますが、変形花弁の奇花です。
佐渡の幻には、そこに至るまでに出てきた白花・黄花の変種もあるようです。
~緑の本種と白色は昨年入手し、黄色は今年入手しました。どれも今は蕾で咲くのが楽しみ。
日本以外の地の福寿草の仲間には、純粋の白色花、赤色花のものがあるのですが、
現在の所、日本種との交配は成功していません。
バイオ技術で混雑種が作れるはずですが、市場が小さすぎるのと、実生やメリクロンでも
花が咲くまで6年は必須であるという事実が参入を妨げているようです。
なお、メリクロンでは親と同じ花が咲くことが保証されていますから花が咲くような株に
成長したら市販できます。欧州では三段咲きをメリクロンで栽培拡大したそうで、日本の
三段咲きは絶滅して欧州から逆輸入されての現在の三段咲きがあるそうです。
一方の実生は、花が咲いても、それは常に、一重の黄花程度からです。最初の花は実生3年でも
見られることもありますが、その花の直径は1cmもありません。
これを見て、極姫性福寿草と勘違いされる方も多いです。
実際買ってみても、当年も翌年も花は、ほぼ間違いなく、より大きな花を咲かせます。
初花から、本芸と呼ばれる花が咲くまでさらに数年が必要です。
ところで、野生種の秩父紅の実生花は、親と同じ大きさの見た目同じ初花を咲かせます。
野生の秩父紅群生地を見ても違う花が混じっていませんから、これは事実です。
日本国外にも福寿草の仲間は存在しますが、園芸対象になったのは日本だけです。
~海外にも輸出された後、日本で絶滅?したので逆輸入された「三段咲き」があります。
1:DNAが4倍体の福寿草で、ラモサ種とも呼ばれるもので、日本全土および世界に
野生種が存在しているようです。日本だけには、品種がかなり多くあります。
勿論、そんじょそこらには存在しません。今は生存箇所は保護地になっているはずです。
大きな柱頭を持ち、タネは全部付きます。茎は中実で、1茎に2つ以上の花が咲きます。
秩父草、秩父紅、秩父白と呼ばれるものが野生種が元の商品種の代表です。
2:DNAが2倍体で、今はキタミフクジュソウと呼ばれる、一種一品種です。
北海道北見地方の自生種で、ヨローッパ、アジアに広く存在している福寿草です。
積雪地域の産であるためか、積雪の無い寒地での越冬は、結構困難です。
また、夏の高温にも弱いようです。
1茎に1花、赤茎、ツボミまで赤茶色、17枚弁ほどの重ね咲きの黄花です。
商品化されている福寿草のDNAには全く寄与していません。
3:DNAが2倍体で、シコクフクジュソウと呼ばれる、一種一品種です。
四国と九州の一部に自生しているようで、日本だけに存在します。
花弁には少しからかなりの緑色を帯びるようですが、品種として分けるほどではないようです。
1茎に多花です。
4:DNAが2倍体で、ミチノクフクジュソウと呼ばれるモノで、多くの品種があります。
福寿草は山草系のようでドイツ流の、ムレチフローラと発音します。
園芸系は、イギリス流で、マルチフローラと発音し、いくつかの花の名前にも反映されています。
意味は、「花が多い」ですが、これ、キタミ以外の共通の性質です。
本州から九州まで野生種があるとされています。
北海道の存在だけが認められていませんけど・・・
1のラモサに比べると小さく弱々しく感じます。
柱頭も小さいです。でも、花の大きさは負けません。
注:陸奥福寿草(ミチノクフクジュソウ)と名乗るラモサ種で北海道産の福寿草があります。
ミチノクフクジュソウをDNAの系統名として発表する前に販売されていたのを
学者様が見逃した結果でこうなったのでありました。
北海道産福寿草を名乗る前に、エゾ福寿草と名乗る花があり、無茶振りで陸奥を
名乗ったと思われます。
残念ながらエゾ福寿草も陸奥福寿草も、名前を名乗るほどの特異性も優位性も無いです。
寒い地域では1茎1花の傾向がありますが、暖房下に置くと1茎多花になります。
青梅草は、この系統です。
茎が中空に見えるので他の1~3とは区別出来ます。
5:DNAが3倍体でラモサ種とミチノクフクジュソウとの交配種です。
柱頭は大きいのですが、3倍体故に結実しにくいのです。
結実しても数粒です(粒=タネは、2倍体・3倍体・4倍体のどれかです)。
結実しない分、タネに力を回さない分、株の生存力が強いとされます。
もちろん、「花が多い程生存力が弱い」です。
品種名は、多くのモノがあります。
注:茎に中空のモノと中実のモノが現れますが、他には見分けが付かないものが出ます。
私の購入した範囲では、福寿海と白宝にそれがありました。
これは、交配して花を見て選別したら、半々の確率でこうなるのです。
福寿草は、かなり弱い植物です。発芽しなかった場合や、事故で芽が損傷すると、ほぼ全部が枯死します。
根刺しを不可能とは言わないようですが、毎年数株を試していますが全部枯死しています。
株分けも3芽以上付けるように推奨されています。
これには、芽を多くすること=株を小さくしすぎない=株に力をできる限り残すという意味もあります。
福寿草は、株分割だけでも株が弱り、本芸をせず、咲いても最悪では一重花かつ黄花になってしまうのです。
こうなると復活するまで数年は掛かります。
株に力が合っても、1番花に力を使い果たし、2番花以降は一重や重ね咲きの黄色の並花になる品種も多いです。
全く違う花としか見えないのが一つの鉢や株に一緒に咲いている実物や映像が多いことから理解できると思います。
我が家は、日本海からの男体山・女峰山越えの西風と、東北からは北原山越の北風が直接吹き付けてくる
土地にあります。60年以上昔は、積雪が緩和してくれていましたが、雪は直に消えます。
20年程前に、紅花種・白花種が、庭放置だと黄花でしか咲かず、開花中の一時だけ黄花に混じって紅花・白花が
咲くのですが、更に暖かくなると全部黄花に戻ることに気がついたので寒冷紗で保護することを試したら、
最初から紅花・白花で咲き始めました。暖かくなったら黄花になるけど、これは仕方ないのです。
で、寒冷紗の掛け外しが面倒でなんとか放置できないかと試したのが、ビニールハウスの天井部のみ網戸用の
網掛けに代えたものでした。夏期は放置できました。
当初、全株を鉢植えにして始めたのですが、寒季の朝には鉢内に霜柱が立ちまくり株が浮き上がるのでした。
これにビビって、暖房まで入れて現在に至ります。(このため寒季は天井も塞ぐこととなりました。)
つまり寒季は手抜きができない状態です。
次は、全株を庭植えにして、なんとか放置できる方向を探ることとします。
諦めて、黄花を眺めることにするのは最終手段です。
おまけ:三段咲きは、黄色弁と緑弁が輪状になって、二段以上になって咲きますが、どんなに寒くても三段咲きです。
ただし、咲き方のバリエーションは乏しくなり、黄ー緑の二段か黄ー緑ー黄の三段だけになります。
タイトル通りの内容になるのはかなり先です。すみません。
追記:福寿草を育ててみようという方へ
福寿草は、山野草の中でも特に水のやり過ぎには弱いです。
葉や花がある時期は、最短で3日に1回、湿る程度が推奨されています。
これだと週日が限定できませんから、私は日・水の週2回です。
~これでも毎年3~4株は枯死しますが、病気ではありません。
現在の株数は庭放置とビニールハウス内の鉢数とで100に近いです。
入手株数は120を超えました。
入手先は山野草専門店か生産者の特売(福寿草展示会を含む)に限定した方が良いです。
~普通の園芸店は、毎日散水します。これやられると必ず株は根腐りします。
地域にある園芸センターも間違いなく危険です。
売り出して直ぐなら生き残りますが、この時期の見極めは難儀です。
~三段咲き、金鵄の1回目は遅かったせいかもで腐食死しました。
長寿海は、その名前が無かった60年前のは生産者持ち込み販売を買ったので
生き残っていますが、その後のは何度も失敗しています。
後に買った長寿海の花が同じだったので昔のこいつ、長寿海だったんだと
気付いた次第。花は同じでも茎の中身は違ったんですけど。
群馬の福寿草の有名なセンターに質問して得たのが、福寿海の茎には、
中空なのと、中実なのとの2種類がありますが、外見は区別が付きませんという回答でした。
白寿の失敗は4回以上を数えます。
~長寿海と呼ばれる3倍体の福寿草は、江戸時代からあったようですが、品種名は無かったそうで、
昭和福寿草の会の中で、この名前にしようかで広がったという昭和46年の記事があります。
有名な注文園芸店でも、2つ以上を注文すると纏まってから納入する方針のために、水腐れの危険が増します。
~幸いなことに、結構流通している品種しか扱わないために品種を絶やすことになってはいないのが幸いです。
ポット植えで販売されている福寿草のほとんどは、すさまじい程の根切りを受けています。
買った年の花は見ることが出来るかもですが、問題は、生き残れるかで、翌年の花は期待してはいけません。
~販売店では、花が咲く前に枯れるのが多いかもで、綺麗に開花したポットが並んでいる記憶がありません。
その販売店、売れ残りの投げ売りもあるのですが、その中に福寿草が有ったという記憶もありません。
乾きすぎは論外ですが、葉が無い時期は、乾燥しきらない程度が理想です。
屋外の日陰になる樹木下や雨が届く程度の軒下に置くか植えるのが理想です。
赤土、鹿沼土の半々(少しの砂利・小石を混ぜて固形化を避けるのも良い)にマグアンプを少し混ぜた土に植え付けます。
2~3年で、土を換えるのが安全です。10年は放置できましたが、品種によっては無理かもです。
10年超えると確実に芽数が減り始めます。古い根と株が腐植せずに残り続け新しい根と芽の伸長を妨げるためです。
~福寿草は、根を伸ばして広がるタイプでは無く、広がっていけるのは年にせいぜい1cm程度なのです。
栽培販売者が株分けして売り出す頻度から、3年に1回、1株(1芽~2芽)が限界のようです。
この頻度で株分けされると、売った株も残した株も、本芸を表わすことができない品種もあるようです。
~添付される見本写真が、本芸に届かないことで、これがわかります。
3年経っても、つまり4年経過の花のどれもが、本芸の花に届かないことも結構あるのです。
そして残念なことに、最初の芽数が少ない=株が小さいことで、株が枯死してしまう事例も多いのです。
妹の所は、我が家から東に数kmで、西と北に丘と檜林があり、寒風が少し凌げる土地です。
分けた福寿草は、小屋の南側軒下や庭木の南側の下の年来の土(黒土)にそのまま植えています。
~消えたら、いくらでも補給するから、細かい制限は付けない、自然に育てろです
福寿海、三段咲きは勿論、秩父紅、白宝、爪折笠も、その本来の色で咲いています。
土地条件が羨ましいです・・・
南に数kmで大沢地区なのですが、そこは、節分草が庭放置で生き続けます。
我が家と妹の処では、どこに植えようが庭放置では生き残りません・・・
節分草は、花後に置く環境を見いだせず、毎年買うハメになっているのでした。
フキタンポポは、春に庭に移すと広く増えますが、寒くなってきたなと感じた時には絶滅決定なのでした。
ところで
福寿草は江戸時代から栽培が行われていた植物で、江戸時代にすでに100種を超える品種が高値で取引されていました。
戦中・戦後の混乱で、かなりの品種が絶滅したと思われています。
水色花の福寿草もあったようで、平成初期頃には、水色の花も再現出来たようなのですが、毎年の再現性に乏しく、
商品化に至らなかったようです。
また、ツボミの色=ガク裏の色が紫の品種は今もあります(昼夜牡丹など)が、これを花弁の表面の色にした品種も
できたようなのですが、これも毎年の再現性に難があって商品化に至らなかったようです。
栽培者の高年化と福寿草がウィルス等で全滅する危険性も高く、後を継がない家が増えているようです。
旧品種の再発見や新品種の発見となると、高額で販売できます。
最近の新品種では、彩佳が昨年度1芽30万円、今年度18万円の値を付けています。
(芽数の分だけ金額は跳ね上がります:30万が58万、86万といった感じ。)
~彩佳は良心的で結構格安の値付けです。栽培者同じかもの山野草店では倍額以上のケースも多いです。
お宅の実家などの庭に福寿草が生き延びていないか探してみるのもお薦めです。
ミョウガ畑の藪の中にひっそり生きていた例もありますから、2月から4月に掛けて
雑草が枯れていて早春花が咲く時期に、敷地を散策すると、見つかるかもです。
植物は弱いので、丁寧に掘り上げてください。株芽の倍増には3~4年掛かりますが、小遣い稼ぎもいいかもです。
なお、無名・無銘売るより品種名が確定した方が高額です。無銘では、1株2万も付けば御の字です。
鑑定は、彩佳の田島寛氏にお願いすると確実かもです。
~興味ある方は、ヤフオクを「植物・花」のカテゴリーで「福寿草」で探してみてください。
ただし、カタクリは、かなり深く潜っていて、移植できるほどの高さ=深さの鉢を見つけるのが大変ですから、
手出ししないでください。欲しい場合は、地上部が枯れている時期に掘って深めの鉢に植えてください。
葉は地表上にベタに出ますから鉢上面まで土を盛ります。
どんな鉢に植えようが、毎年潜っていきますから毎年植え直すことを忘れないように。
追記2
福寿草を観賞用の花として育成・改良したのは、日本だけのようです。
世界の福寿草で、日本に無かったDNAのものは、世界では、只の野草の扱いであったのですが、日本から
見ると、違いが認められるからと、品種として認められて流通しているモノがあります。
A:夏咲き福寿草:4倍体で、一年草の純粋な赤花です。(日本の福寿草は全てに黄色素を必ず含んでいます)
同じ遺伝子数なのですが、通常での交配は不可能なようです。
普通に毎年種が売られています。春先に播いて夏に開花し、秋には種を落として一生を終えます。
当地ではタネの落下放置では、翌年は生えないようです。タネを採集して翌年春に播く必要があるようです。
この品種だけは、秋に根を出し、春に芽を出すという習性がありません。普通の1年草と同等に扱えます。
ついでの知識:日本の福寿草のタネは初夏には熟して落下します。このタネが発根するのは秋で、発芽は翌春です。
つまり、タネを保存して翌年播くのは福寿草の生活には合わないのです。タネを乾かしてはいけない・
直ぐに土に埋めても良くないという話しもあり、集めたタネは鉢に播いてワラ掛けして、少しの雨が
かかる場所に放置し、晩秋にワラを除去して少しの土を被せるのが良いかと。
2月現時点でも、タネをオークションに出している方がいますが、福寿草は、根を出し終えて今や
芽を出し始めるはずの季節なのですから、今植えても成功率はかなり低いでしょう。
B:中国産白花福寿草:遺伝子数は不明ですが、完全な白花です。高山植物の範疇のせいか、一般には難しいのか
ここ3年以上、売りに出す人がいません。
C:韓国の福寿草には、3種あるとされます。ラモサとミチノクフクジュソウとコハクジュソウです。
すべてが自然の野生種です。
日本の福寿草と少し見かけが違うということで、ローカルに流通しているようです。
美しさは、日本種が上です。韓国産の花の見かけ~日本産の名無しのが絶対に上だみたいなのがあります。
名前を得ているからの値付けと言えるかも。
D:植物学の学者先生方が、交流で、日本種の持ち出しと、海外種の持ち込みをしたようです。
海外種は、日本の江戸時代からの品種・改良に太刀打ちできるわけも無く、学外に広がることは少なかったようです。
ただし、劣った品種でも、その名前に意味があるわけで、結構な困ったチャンの世界でもあります。
洋種福寿草という種の画像がありますが、花の価値は無いです。
交配できても、日本に今ある福寿草を超えることは不可能なのですから。
いずれの種にしても、日本の福寿草の花には黄色があります。
例えば、純粋の赤色、白色、緑色と言える花の品種は存在しません。
ただし、緑の花弁を持つ品種の中には緑以外の花色因子を持たないように見えるのもあります。
三段咲きの緑弁は、そのまま最後まで緑弁です。
小菊は外側黄色中心近くは緑弁で咲きますが、緑が黄色に変わっていき最後に花弁の先端に
少しの緑が残る程度まで変化します。
他に緑の花弁を持つ緑峰・天緑・佐渡の幻とよばれる福寿草もありますが、変形花弁の奇花です。
佐渡の幻には、そこに至るまでに出てきた白花・黄花の変種もあるようです。
~緑の本種と白色は昨年入手し、黄色は今年入手しました。どれも今は蕾で咲くのが楽しみ。
日本以外の地の福寿草の仲間には、純粋の白色花、赤色花のものがあるのですが、
現在の所、日本種との交配は成功していません。
バイオ技術で混雑種が作れるはずですが、市場が小さすぎるのと、実生やメリクロンでも
花が咲くまで6年は必須であるという事実が参入を妨げているようです。
なお、メリクロンでは親と同じ花が咲くことが保証されていますから花が咲くような株に
成長したら市販できます。欧州では三段咲きをメリクロンで栽培拡大したそうで、日本の
三段咲きは絶滅して欧州から逆輸入されての現在の三段咲きがあるそうです。
一方の実生は、花が咲いても、それは常に、一重の黄花程度からです。最初の花は実生3年でも
見られることもありますが、その花の直径は1cmもありません。
これを見て、極姫性福寿草と勘違いされる方も多いです。
実際買ってみても、当年も翌年も花は、ほぼ間違いなく、より大きな花を咲かせます。
初花から、本芸と呼ばれる花が咲くまでさらに数年が必要です。
ところで、野生種の秩父紅の実生花は、親と同じ大きさの見た目同じ初花を咲かせます。
野生の秩父紅群生地を見ても違う花が混じっていませんから、これは事実です。
日本国外にも福寿草の仲間は存在しますが、園芸対象になったのは日本だけです。
~海外にも輸出された後、日本で絶滅?したので逆輸入された「三段咲き」があります。
1:DNAが4倍体の福寿草で、ラモサ種とも呼ばれるもので、日本全土および世界に
野生種が存在しているようです。日本だけには、品種がかなり多くあります。
勿論、そんじょそこらには存在しません。今は生存箇所は保護地になっているはずです。
大きな柱頭を持ち、タネは全部付きます。茎は中実で、1茎に2つ以上の花が咲きます。
秩父草、秩父紅、秩父白と呼ばれるものが野生種が元の商品種の代表です。
2:DNAが2倍体で、今はキタミフクジュソウと呼ばれる、一種一品種です。
北海道北見地方の自生種で、ヨローッパ、アジアに広く存在している福寿草です。
積雪地域の産であるためか、積雪の無い寒地での越冬は、結構困難です。
また、夏の高温にも弱いようです。
1茎に1花、赤茎、ツボミまで赤茶色、17枚弁ほどの重ね咲きの黄花です。
商品化されている福寿草のDNAには全く寄与していません。
3:DNAが2倍体で、シコクフクジュソウと呼ばれる、一種一品種です。
四国と九州の一部に自生しているようで、日本だけに存在します。
花弁には少しからかなりの緑色を帯びるようですが、品種として分けるほどではないようです。
1茎に多花です。
4:DNAが2倍体で、ミチノクフクジュソウと呼ばれるモノで、多くの品種があります。
福寿草は山草系のようでドイツ流の、ムレチフローラと発音します。
園芸系は、イギリス流で、マルチフローラと発音し、いくつかの花の名前にも反映されています。
意味は、「花が多い」ですが、これ、キタミ以外の共通の性質です。
本州から九州まで野生種があるとされています。
北海道の存在だけが認められていませんけど・・・
1のラモサに比べると小さく弱々しく感じます。
柱頭も小さいです。でも、花の大きさは負けません。
注:陸奥福寿草(ミチノクフクジュソウ)と名乗るラモサ種で北海道産の福寿草があります。
ミチノクフクジュソウをDNAの系統名として発表する前に販売されていたのを
学者様が見逃した結果でこうなったのでありました。
北海道産福寿草を名乗る前に、エゾ福寿草と名乗る花があり、無茶振りで陸奥を
名乗ったと思われます。
残念ながらエゾ福寿草も陸奥福寿草も、名前を名乗るほどの特異性も優位性も無いです。
寒い地域では1茎1花の傾向がありますが、暖房下に置くと1茎多花になります。
青梅草は、この系統です。
茎が中空に見えるので他の1~3とは区別出来ます。
5:DNAが3倍体でラモサ種とミチノクフクジュソウとの交配種です。
柱頭は大きいのですが、3倍体故に結実しにくいのです。
結実しても数粒です(粒=タネは、2倍体・3倍体・4倍体のどれかです)。
結実しない分、タネに力を回さない分、株の生存力が強いとされます。
もちろん、「花が多い程生存力が弱い」です。
品種名は、多くのモノがあります。
注:茎に中空のモノと中実のモノが現れますが、他には見分けが付かないものが出ます。
私の購入した範囲では、福寿海と白宝にそれがありました。
これは、交配して花を見て選別したら、半々の確率でこうなるのです。
福寿草は、かなり弱い植物です。発芽しなかった場合や、事故で芽が損傷すると、ほぼ全部が枯死します。
根刺しを不可能とは言わないようですが、毎年数株を試していますが全部枯死しています。
株分けも3芽以上付けるように推奨されています。
これには、芽を多くすること=株を小さくしすぎない=株に力をできる限り残すという意味もあります。
福寿草は、株分割だけでも株が弱り、本芸をせず、咲いても最悪では一重花かつ黄花になってしまうのです。
こうなると復活するまで数年は掛かります。
株に力が合っても、1番花に力を使い果たし、2番花以降は一重や重ね咲きの黄色の並花になる品種も多いです。
全く違う花としか見えないのが一つの鉢や株に一緒に咲いている実物や映像が多いことから理解できると思います。
我が家は、日本海からの男体山・女峰山越えの西風と、東北からは北原山越の北風が直接吹き付けてくる
土地にあります。60年以上昔は、積雪が緩和してくれていましたが、雪は直に消えます。
20年程前に、紅花種・白花種が、庭放置だと黄花でしか咲かず、開花中の一時だけ黄花に混じって紅花・白花が
咲くのですが、更に暖かくなると全部黄花に戻ることに気がついたので寒冷紗で保護することを試したら、
最初から紅花・白花で咲き始めました。暖かくなったら黄花になるけど、これは仕方ないのです。
で、寒冷紗の掛け外しが面倒でなんとか放置できないかと試したのが、ビニールハウスの天井部のみ網戸用の
網掛けに代えたものでした。夏期は放置できました。
当初、全株を鉢植えにして始めたのですが、寒季の朝には鉢内に霜柱が立ちまくり株が浮き上がるのでした。
これにビビって、暖房まで入れて現在に至ります。(このため寒季は天井も塞ぐこととなりました。)
つまり寒季は手抜きができない状態です。
次は、全株を庭植えにして、なんとか放置できる方向を探ることとします。
諦めて、黄花を眺めることにするのは最終手段です。
おまけ:三段咲きは、黄色弁と緑弁が輪状になって、二段以上になって咲きますが、どんなに寒くても三段咲きです。
ただし、咲き方のバリエーションは乏しくなり、黄ー緑の二段か黄ー緑ー黄の三段だけになります。
タイトル通りの内容になるのはかなり先です。すみません。
追記:福寿草を育ててみようという方へ
福寿草は、山野草の中でも特に水のやり過ぎには弱いです。
葉や花がある時期は、最短で3日に1回、湿る程度が推奨されています。
これだと週日が限定できませんから、私は日・水の週2回です。
~これでも毎年3~4株は枯死しますが、病気ではありません。
現在の株数は庭放置とビニールハウス内の鉢数とで100に近いです。
入手株数は120を超えました。
入手先は山野草専門店か生産者の特売(福寿草展示会を含む)に限定した方が良いです。
~普通の園芸店は、毎日散水します。これやられると必ず株は根腐りします。
地域にある園芸センターも間違いなく危険です。
売り出して直ぐなら生き残りますが、この時期の見極めは難儀です。
~三段咲き、金鵄の1回目は遅かったせいかもで腐食死しました。
長寿海は、その名前が無かった60年前のは生産者持ち込み販売を買ったので
生き残っていますが、その後のは何度も失敗しています。
後に買った長寿海の花が同じだったので昔のこいつ、長寿海だったんだと
気付いた次第。花は同じでも茎の中身は違ったんですけど。
群馬の福寿草の有名なセンターに質問して得たのが、福寿海の茎には、
中空なのと、中実なのとの2種類がありますが、外見は区別が付きませんという回答でした。
白寿の失敗は4回以上を数えます。
~長寿海と呼ばれる3倍体の福寿草は、江戸時代からあったようですが、品種名は無かったそうで、
昭和福寿草の会の中で、この名前にしようかで広がったという昭和46年の記事があります。
有名な注文園芸店でも、2つ以上を注文すると纏まってから納入する方針のために、水腐れの危険が増します。
~幸いなことに、結構流通している品種しか扱わないために品種を絶やすことになってはいないのが幸いです。
ポット植えで販売されている福寿草のほとんどは、すさまじい程の根切りを受けています。
買った年の花は見ることが出来るかもですが、問題は、生き残れるかで、翌年の花は期待してはいけません。
~販売店では、花が咲く前に枯れるのが多いかもで、綺麗に開花したポットが並んでいる記憶がありません。
その販売店、売れ残りの投げ売りもあるのですが、その中に福寿草が有ったという記憶もありません。
乾きすぎは論外ですが、葉が無い時期は、乾燥しきらない程度が理想です。
屋外の日陰になる樹木下や雨が届く程度の軒下に置くか植えるのが理想です。
赤土、鹿沼土の半々(少しの砂利・小石を混ぜて固形化を避けるのも良い)にマグアンプを少し混ぜた土に植え付けます。
2~3年で、土を換えるのが安全です。10年は放置できましたが、品種によっては無理かもです。
10年超えると確実に芽数が減り始めます。古い根と株が腐植せずに残り続け新しい根と芽の伸長を妨げるためです。
~福寿草は、根を伸ばして広がるタイプでは無く、広がっていけるのは年にせいぜい1cm程度なのです。
栽培販売者が株分けして売り出す頻度から、3年に1回、1株(1芽~2芽)が限界のようです。
この頻度で株分けされると、売った株も残した株も、本芸を表わすことができない品種もあるようです。
~添付される見本写真が、本芸に届かないことで、これがわかります。
3年経っても、つまり4年経過の花のどれもが、本芸の花に届かないことも結構あるのです。
そして残念なことに、最初の芽数が少ない=株が小さいことで、株が枯死してしまう事例も多いのです。
妹の所は、我が家から東に数kmで、西と北に丘と檜林があり、寒風が少し凌げる土地です。
分けた福寿草は、小屋の南側軒下や庭木の南側の下の年来の土(黒土)にそのまま植えています。
~消えたら、いくらでも補給するから、細かい制限は付けない、自然に育てろです
福寿海、三段咲きは勿論、秩父紅、白宝、爪折笠も、その本来の色で咲いています。
土地条件が羨ましいです・・・
南に数kmで大沢地区なのですが、そこは、節分草が庭放置で生き続けます。
我が家と妹の処では、どこに植えようが庭放置では生き残りません・・・
節分草は、花後に置く環境を見いだせず、毎年買うハメになっているのでした。
フキタンポポは、春に庭に移すと広く増えますが、寒くなってきたなと感じた時には絶滅決定なのでした。
ところで
福寿草は江戸時代から栽培が行われていた植物で、江戸時代にすでに100種を超える品種が高値で取引されていました。
戦中・戦後の混乱で、かなりの品種が絶滅したと思われています。
水色花の福寿草もあったようで、平成初期頃には、水色の花も再現出来たようなのですが、毎年の再現性に乏しく、
商品化に至らなかったようです。
また、ツボミの色=ガク裏の色が紫の品種は今もあります(昼夜牡丹など)が、これを花弁の表面の色にした品種も
できたようなのですが、これも毎年の再現性に難があって商品化に至らなかったようです。
栽培者の高年化と福寿草がウィルス等で全滅する危険性も高く、後を継がない家が増えているようです。
旧品種の再発見や新品種の発見となると、高額で販売できます。
最近の新品種では、彩佳が昨年度1芽30万円、今年度18万円の値を付けています。
(芽数の分だけ金額は跳ね上がります:30万が58万、86万といった感じ。)
~彩佳は良心的で結構格安の値付けです。栽培者同じかもの山野草店では倍額以上のケースも多いです。
お宅の実家などの庭に福寿草が生き延びていないか探してみるのもお薦めです。
ミョウガ畑の藪の中にひっそり生きていた例もありますから、2月から4月に掛けて
雑草が枯れていて早春花が咲く時期に、敷地を散策すると、見つかるかもです。
植物は弱いので、丁寧に掘り上げてください。株芽の倍増には3~4年掛かりますが、小遣い稼ぎもいいかもです。
なお、無名・無銘売るより品種名が確定した方が高額です。無銘では、1株2万も付けば御の字です。
鑑定は、彩佳の田島寛氏にお願いすると確実かもです。
~興味ある方は、ヤフオクを「植物・花」のカテゴリーで「福寿草」で探してみてください。
ただし、カタクリは、かなり深く潜っていて、移植できるほどの高さ=深さの鉢を見つけるのが大変ですから、
手出ししないでください。欲しい場合は、地上部が枯れている時期に掘って深めの鉢に植えてください。
葉は地表上にベタに出ますから鉢上面まで土を盛ります。
どんな鉢に植えようが、毎年潜っていきますから毎年植え直すことを忘れないように。
追記2
福寿草を観賞用の花として育成・改良したのは、日本だけのようです。
世界の福寿草で、日本に無かったDNAのものは、世界では、只の野草の扱いであったのですが、日本から
見ると、違いが認められるからと、品種として認められて流通しているモノがあります。
A:夏咲き福寿草:4倍体で、一年草の純粋な赤花です。(日本の福寿草は全てに黄色素を必ず含んでいます)
同じ遺伝子数なのですが、通常での交配は不可能なようです。
普通に毎年種が売られています。春先に播いて夏に開花し、秋には種を落として一生を終えます。
当地ではタネの落下放置では、翌年は生えないようです。タネを採集して翌年春に播く必要があるようです。
この品種だけは、秋に根を出し、春に芽を出すという習性がありません。普通の1年草と同等に扱えます。
ついでの知識:日本の福寿草のタネは初夏には熟して落下します。このタネが発根するのは秋で、発芽は翌春です。
つまり、タネを保存して翌年播くのは福寿草の生活には合わないのです。タネを乾かしてはいけない・
直ぐに土に埋めても良くないという話しもあり、集めたタネは鉢に播いてワラ掛けして、少しの雨が
かかる場所に放置し、晩秋にワラを除去して少しの土を被せるのが良いかと。
2月現時点でも、タネをオークションに出している方がいますが、福寿草は、根を出し終えて今や
芽を出し始めるはずの季節なのですから、今植えても成功率はかなり低いでしょう。
B:中国産白花福寿草:遺伝子数は不明ですが、完全な白花です。高山植物の範疇のせいか、一般には難しいのか
ここ3年以上、売りに出す人がいません。
C:韓国の福寿草には、3種あるとされます。ラモサとミチノクフクジュソウとコハクジュソウです。
すべてが自然の野生種です。
日本の福寿草と少し見かけが違うということで、ローカルに流通しているようです。
美しさは、日本種が上です。韓国産の花の見かけ~日本産の名無しのが絶対に上だみたいなのがあります。
名前を得ているからの値付けと言えるかも。
D:植物学の学者先生方が、交流で、日本種の持ち出しと、海外種の持ち込みをしたようです。
海外種は、日本の江戸時代からの品種・改良に太刀打ちできるわけも無く、学外に広がることは少なかったようです。
ただし、劣った品種でも、その名前に意味があるわけで、結構な困ったチャンの世界でもあります。
洋種福寿草という種の画像がありますが、花の価値は無いです。
交配できても、日本に今ある福寿草を超えることは不可能なのですから。
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