
Photo by Chishima, J.
(集団ねぐらへ入る直前のカラス類 2012年8月 北海道中川郡池田町)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年8月10日放送)
繁殖期が終わり、なわばりが解消されると、鳥たちの中には夜、集団でねぐらを作る種類があります。集団ねぐらを作る鳥たちの中で、特に目立つのがカラスです。十勝で普通に見られるカラスは、ハシボソガラスとハシブトガラスの2種で、一般にハシボソは農耕地などの開けた環境、ハシブトは市街地や森林に多いと言われますが、適度な都会の帯広近郊では一緒に見られることも珍しくありません。
カラスがねぐらを取るのは主に公園や郊外の林。場所によっては数千羽が夕方と早朝に群れ飛ぶ光景は、ヒッチコック監督の映画「鳥」を連想させ、人によっては不気味ささえ覚えるかもしれません。
カラスはなぜ集団で眠るのでしょう?様々な仮説が出されているものの、実はよくわかっておらず、仮説の一つに自らを守るためというのがあります。確かに、目が増えればタカなど天敵の接近をいち早く察知でき、自身が襲われる確率も低くなります。一方で、大集団ゆえ、かえって目立ってしまうのではとの反論もあります。
別の仮説が「情報センター」としての役割です。昼間、広範囲に散らばっていたカラスの中には、餌をたくさん食べられたものも、そうでないものもいるのでしょう。餌を十分に食べられなかったカラスは翌朝、満腹そうなカラスの行く先に付いてゆくことで餌にありつけるというのがこの説です。携帯電話もインターネットも持たないカラスが、効率良く情報を得るには、仲間同士で集まる必要があるのでしょうか。
数千羽が毎夕毎朝に乱舞し、地上には糞を撒き散らすため、とかく嫌われがちなカラスの集団ねぐら。ただ、彼らもきっとワケがあって集まっているのでしょうから、住宅地内で衛生面に問題がある場合などを除いては追い払わず、温かく見守ってあげませんか。
(2015年8月3日 千嶋 淳)
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