![1 1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/e2/35beee155d0dd8fb8e70e8f6dba7ddc2.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(以下脚の参考画像を除きすべて
ハシブトウミガラス 2011年1月23日 北海道十勝郡浦幌町)
本種の冬羽タイプの顔は、全体が黒っぽく喉から前頚にかけて淡色なものと、頭頂から目の付近にかけてキャップ状に黒く、そこから下が白いツートンカラーのもの、ならびにその中間的なものとに大別できるが、画像の個体は2番目のタイプに近い。ただ、典型的な個体とは若干の違和感を覚え、それは主に本種としては短くて湾曲の乏しい嘴、白色であるはずの上嘴基部の線が黄色みを帯びること、顔の黒色もやや褐色みを帯びることからもたらされると思われる。確固たる証拠は無いが若い個体なのかもしれない。北米のモノグラフによれば本種の第1回冬羽は、「頭部の側面が換羽中で、高齢クラスの個体より小さい嘴を持つ」とのことであり、本個体の小さな嘴はやはり若齢個体を示唆している可能性がある。
斜め後方からだと顔の黒色部はより広く見え、上記1番目のタイプに近い印象を受ける。ウミガラスは頭頂周辺、目後方の細い線、後頚の中央以外は白く、全体的に白っぽい印象を与える。また、後頚中央の暗色が分断する白色部は、真後ろからは2つの白斑のようにも見える(
「ウミガラス(その1)」の記事を参照)。白黒のコントラストは、本種の方がより強く感じられる。
顔を水面下に入れ、水中を覗き込むこの行動は、本種やウミバト属、パフィン類といったウミスズメ科鳥類だけでなく、アビ類や大型カイツブリ類、ウミアイサ等魚食性の海鳥に広く見られる。
潜水の瞬間。開かれた翼は水面下でそのまま推進力となり、ウミスズメ科が水中を「飛ぶ」と呼ばれる所以である。潜水性海鳥の潜り方は3通りに大別でき(詳細は
「潜り方」の記事を参照)、ウミスズメ科は翼を開くこの方法を取る。尾羽は著しく短い。
上の画像の直後。一本の脚の蹼以外は水面下に没している。蹼部分を中心にオレンジ色みを帯びている。
(参考画像)2009年1月に羅臼町の海上で拾得した本種死体の脚。一般に本種の脚は黒いとされ、この死体の画像も全体的に黒っぽいが、上の画像のように潜水直前の蹼は黄色からオレンジ色みを帯びて見えることがある。参考画像でもふしょの前縁や蹼の付け根付近はやや赤みを帯びている。個体あるいは光線等観察条件によっては、この特徴が顕著に現れるのかもしれない。
(2012年2月13日 千嶋 淳)
*一連の写真は、
日本財団の助成による十勝沖海鳥調査での撮影。