鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

150426 森の生き物講座(鳥編)

2015-05-13 12:00:25 | 鳥・春

Photo by Chishima, J.
ベニアジサシ 2014年6月 沖縄県)


 帯広の森・はぐくーむで行われた「森の生き物講座(鳥編)」で、僭越ながら講師を務めさせていただきました。ポカポカ陽気の中、カラ類やアオジ、キジバトなどの囀りを聞きながら野外を歩いた後、北海道の鳥類相や季節ごとの鳥の楽しみ方を室内でお話し、その後は野鳥の会十勝支部で所蔵する鳥類標本を手に取ってもらい、鳥の魅力を紹介させていただきました。


(2015年4月27日   千嶋 淳)


150425 マガン一斉調査(池田町)

2015-05-13 11:49:17 | 鳥・春

Photo by Chishima, J.
オシドリのつがい 2015年4月 北海道中川郡池田町)


 全道一斉のマガン個体数調査で、私は池田町、本別町の広域と足寄町仙美里ダムを担当しました。せっかくの機会なので、十勝ではマガン以外のガン類とハクチョウ類も対象としていますが、私の区域で確認できたのはオオハクチョウ25羽のみでした。このところの暖かさもあり、渡りが加速度的に進んでいるのかもしれません。カモ類も、この時期としては非常に少数でした。

 ニュウナイスズメやアリスイ、ウグイスなど新たな夏鳥も確認し、いよいよ本格的な夏鳥シーズンが目前に迫っていることを意識させられました。自宅近くでは珍しくシメが囀っていました。抱卵中のタンチョウの巣もいくつか見られました。早ければ連休前後にはヒナが出ていることでしょう。

 調査中に確認できた鳥は、以下の45種でした。

確認種:オオハクチョウ オシドリ ヒドリガモ アメリカヒドリ マガモ カルガモ コガモ キンクロハジロ スズガモ ホオジロガモ ミコアイサ カワアイサ アカエリカイツブリ ドバト キジバト アオサギ タンチョウ コチドリ イソシギ トビ オジロワシ アリスイ アカゲラ ハシボソガラス ハシブトガラス ハシブトガラ シジュウカラ ヒバリ ヒヨドリ ウグイス エナガ ゴジュウカラ キバシリ ツグミ ノビタキ ニュウナイスズメ スズメ ハクセキレイ セグロセキレイ カワラヒワ ベニマシコ シメ ホオジロ アオジ オオジュリン


(2015年4月25日   千嶋 淳)

十勝の自然10 エゾアカガエル

2015-05-12 16:20:01 | 自然(全般・鳥、海獣以外)

Photo by Chishima, J.
エゾアカガエルと卵塊 2009年4月 北海道十勝郡浦幌町)


(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)


 この時期、太陽の暖かさに誘われて散歩していると、水辺から「キャララ、キャララ…」と甲高い声が合唱のように聞こえてくることがあります。長い冬眠から覚めたエゾアカガエルが、産卵のため水辺に集まってきたのです。
エゾアカガエルは5~7cmほどの土色のカエルで池や沼、湿地などの水の中に卵を産み、山の方では雪どけでできた水たまりを利用することもあります。適切な環境があれば緑ヶ丘公園や農業高校の林など、帯広市街地周辺でも生息しています。
 昼夜問わずの大合唱に近付いてゆくと、カエルは鳴き止んで水に潜ってしまい、今までの大騒ぎが嘘のように静かになります。でも、しばらくじっと待っていれば一頭また一頭と顔を現し、大合唱が再開されることでしょう。数百から1000以上の卵が球状の塊となって産まれた卵塊(らんかい)や、もう少し遅い時期には小さなオタマジャクシも見られるかもしれません。
 エゾアカガエルは、学名をラナ・ピリカといいます。後半のピリカは、「美しい、きれい」を意味するアイヌ語から付けられました。昔はヨーロッパや朝鮮半島のアカガエルと同じ種類と考えられていたのですが、1991年に別種であることがわかり、新たに命名されました。早春を告げるこの身近なカエルは、世界でも北海道と北方四島、サハリンだけに分布する貴重な動物なのです。


(2015年4月13日   千嶋 淳)

十勝の自然9 アオジ

2015-05-12 16:01:39 | 鳥・春

Photo by Chishima, J.
囀るアオジのオス 2011年5月 北海道中川郡池田町)


(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)


 4月15日前後に、冬を過ごしていた本州などから十勝へ帰ってくる、スズメ大の、お腹の黄色い小鳥です。アオジの「アオ」はブルーではなく、昔の言葉で緑色のことを青と呼んだことに由来するもので、頭から背中にかけては、灰色みを帯びた緑色をしています。「ジ」も昔の言葉で、小鳥のことを指しますが、意味はよくわかっていません。
 平地から低い山の明るい林を好み、農耕地内の防風林や河原の林にもたくさん住んでいます。夏の十勝平野では、一番数の多い小鳥かもしれません。私が在学していた頃の帯広畜産大学では、あまりにも数が多いので、学生からは「畜大スズメ」などと呼ばれ、からかわれていました。
 しかし、その歌声は美しく、オスは木の梢などに止まって、「チョッピー チョ チッ チョリー…」と音楽的な節回しでさえずります。鳥のさえずりを、人間の言葉に当てはめて覚えやすくしたものを「聞きなし」といいますが、アオジのさえずりを「千代ちゃん、ちょっと、ビール飲みたいナ」と聞きなすことがあります。


(2015年4月14日   千嶋 淳)


十勝の自然8 エゾエンゴサク

2015-05-12 15:46:32 | 自然(全般・鳥、海獣以外)

Photo by Chishima, J.
エゾエンゴサク 2008年4月 北海道十勝郡浦幌町)


(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)


 雪こそ消えたものの、まだ草枯れ木色の4月の林に足を踏み入れると、地面に色とりどりの花が咲いて、まるでお花畑のようになっていることがあります。アズマイチゲの白、キバナノアマナの黄色などにくわえ、ひときわ目を引くのが紫色や青色の、筒みたいな花を、茎の上の方にいくつも咲かせるエゾエンゴサクです。
 これらは、日当たりの良い早春の林の下で一斉に花を咲かせ、夏には葉や茎といった地上部分を枯らして、地中で休眠状態に入る「春植物」といわれる植物たちです。春の一時期のみ姿を現すことから、英語で「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」とも呼ばれます。
 エゾエンゴサクの花粉を運ぶのは主に昆虫。マルハナバチの仲間をはじめ、多くの虫が花を訪れます。
 毒のあるケシの仲間には珍しく食用となり、花付きでサッと茹でて、おひたしやゴマ和え、酢の物などにします。


(2015年4月14日   千嶋 淳)