![Img_0352 Img_0352](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/ea/302f4ebc2cce7dd676611e64fbf810e5.jpg)
All Photos by Chishima, J.(
シロハラトウゾクカモメの幼鳥 以下すべて 2013年8月 北海道厚岸郡浜中町)
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NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第8号(2014年3月発行)掲載の「2013年度霧多布沖合調査(その2)」を分割して掲載、写真を追加 一部を加筆・訂正)
ここ数年の調査で、夏の霧多布沖に多くのカンムリウミスズメのいることがわかってきたため、同種の保全に取り組む日本野鳥の会の職員2名が同乗され、共に沖を目指しました。相変わらずの曇天は後半、青空が覗くまでに回復したものの、秋風の吹き始めた海上は舳先が時折波を被るほどでした。肝心のカンムリウミスズメは6羽と例年より少なめでした。波浪で小型の海鳥が見えづらかったせいもありますが、この夏は海鳥の分布がいつもと異なり、アホウドリ類が例年になく多い一方、ウミスズメ類は少なめでした。
大黒島を望む西側の海域は漁場を目指すサンマ船団と、それに付き従うアホウドリ類で賑わっていました。トウゾクカモメ類が多かったのも季節の移ろった証でしょう。その大半はトウゾクカモメでしたが、船の脇を飛び去って行った写真の鳥。現場では観察時間も短く「トウゾクカモメの一種」としましたが、写真を検討した結果、体や嘴が細くて華奢、嘴の前半が黒い、初列風切の白い羽軸が2~3本などの特徴からシロハラトウゾクカモメ幼鳥と同定できました。本調査では初の出現種です。トウゾクカモメ類は尾羽に特徴のある成鳥夏羽での識別は容易ですが、幼鳥や若鳥の識別は難しく、謎な部分も多くあります。調査でも何割かは「トウゾクカモメの一種」と記録せざるを得ません。手軽に多数の画像の撮影が可能になったデジタル時代だからこそ多くの写真を残し、比較や議論を重ねれば新たな発見に繋がるはずです。デジカメの普及によって海鳥業界(んなモノあるのか?)は新たな局面を迎えました。
この日撮影された2羽のカラーリング付きクロアシアホウドリを山階鳥類研究所に照会してもらったところ、小笠原諸島の聟島、母島の各列島でヒナの時に放鳥されたことが判明しました。
カラーリングの付いた小笠原諸島生まれのクロアシアホウドリ
水平線に浮かぶ大黒島
厚岸沖にある、
ゼニガタアザラシや
コシジロウミツバメの重要な繁殖地。10年ほど前までは漁師の夫婦が住んでいた。
(2014年3月 千嶋 淳)
*本調査は地球環境基金の助成を得て、
NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの