![1 1](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/ee/94b36d042d50cb374b93ce37085c69d6.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(以下すべて ヒメウ 2011年2月3日 北海道根室市)
ウ類は全身黒っぽい外見のせいかバートウオッチャーの間でも人気が低いように思う。しかし本種は顔裸出部の赤色が派手な成鳥夏羽だけでなく、成鳥冬羽でも光線次第では十分美しい鳥である。成鳥冬羽の飛び立ち。全身の羽毛は構造色の部分が多く、曇天や逆光では黒いだけだが晴天の順光下では緑色の金属光沢を帯び、頸周辺は紫色を呈す。虹彩はラムネのビー玉のようなエメラルドグリーン。
![2 2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/f9/24dcb5102da0ebed25f0a81727560b04.jpg)
![3 3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/5d/ccd473a2965d27df60207aaf25f9e61f.jpg)
上とは別個体の成鳥冬羽の飛び立ちと飛翔。ウ類は全般に流線型の体と長い首、アイサ類と似た(魚類の捕食に特化した収斂進化の例としてよく引き合いに出される)鉤型の嘴が作り出す細長いシルエットを持つが、本種は首と嘴が細く一段とスリムな印象を受ける。距離や光線次第ではアビ類や大型カイツブリ類と似て見えるかもしれない。ウ類はそれらに比べて翼が体のずっと後半に位置し(アビ類の飛翔型は「十字架」のよう)、その割に尾羽は長く、安定した飛翔状態で脚は目立たない。また、翌先の尖るアビ類とは丸みを帯びる点でも異なる。アイサ類は外観は似るが小さく、翼の拍動はずっと早い。体色が観察できれば、上下面とも黒っぽくて細長い海鳥はウ類くらいのもの。ウミウ成鳥とは大きさや首の太さ、顔の裸出部の有無等から識別可能。冬のチシマウガラスとは少々厄介なものの、同種の上面、特に翼上面は本種ほど緑色光沢は帯びないと思う。
![4 4](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/42/8c4558d64d0ead04ef4788b66c22fe12.jpg)
![5 5](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/bc/04ed2eab31b2e08a534511cdb4be1303.jpg)
若鳥は全身が褐色みを帯び、このような順光下ではかなり明るい色に見える。ただし、成鳥のような金属光沢はない。翼上面は初列風切、初列雨覆、小雨覆の前縁で褐色みが強く、次列風切や中、大雨覆は黒っぽい。スリムで腹部はやや膨らみを帯びるシルエットは成鳥と一緒。本種は海面近くと高くの双方を飛び、総じて一定以上の距離を飛ぶ時は高いことが多い。同時期のチシマウガラス若鳥は頭部から頸部にかけてより黒っぽく、太い嘴や目周辺の淡色が目立つ。
![6 6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/eb/725814e229597caab8d5f0cc2d5543e0.jpg)
海上の成鳥冬羽2羽。手前は2、3枚目と同一個体。奥の個体では頸部の紫色光沢が顕著。尾脂腺が未発達なウ類は羽毛の親水性が高く、長時間潜水を繰り返していると体が沈んでしまう。そのような時の本種は、細い嘴や首のせいもあって海上からヘビが突き出しているような印象を与える。
(2012年2月4日 千嶋 淳)