
Photo by Chishima, J.
(トドマツに付けられたヒグマの爪痕 2008年6月 北海道幌泉郡えりも町)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)
先日、帯広郊外の防風林で自然観察をしていて、春の草花や、以前にこのコーナーでもご紹介したクジャクチョウなどに目を奪われているうちに、地面に張り出した横枝に足を取られて、派手に転んでしまいました。痛む腰をさすりながら顔を上げると、目の前にはまだ湿ったヒグマの糞がありました。山に近いエリアとはいえ、畑の中の小さな林だったので、驚きました。
冬眠明けのクマは、雪解けの早い場所を探しながら、フキやイラクサ、ザゼンソウ、ウドなどの植物を主に食べます。人間もそれら「山菜」を求めて、山野に繰り出し、ヒグマとの思わぬ出会いや事故が発生しやすい時期でもあります。人もクマも山菜に夢中になって周りが見えず、あるいは沢音などにかき消されて、お互い気付かないまま鉢合わせしてしまうケースが多く、山菜採りでの事故は、ヒグマの人身事故の実に2割を占めます。
野山に入る時は熊撃退スプレー(アウトドアショップで購入できます)やナタを携行する、鈴やラジオなどで音を出す、クマの活動が活発な早朝や夕方を避ける、なるべく単独で行動しないなどを心がけ、クマにとっても人にとっても不幸な事故を起こさずに、アウトドア活動を楽しみましょう。
(2015年4月21日 千嶋 淳)