![027 027](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/de/de0f546dbd477bcfa73746c23f5d6af5.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(トドの集団上陸地 2000年7月 南千島エトロフ島)
今夏の道東は、例年以上の霧の日々に見舞われている。先週も海岸での調査が、海岸までは出向いたもののまったく視界が効かず、数日遅れでかろうじて実施できた。その後に控えていた海上での調査も、天気予報では濃霧にくわえて波も高くなるということで、ほとんど諦めざるを得ない状況だった。ところが当日は、霧はあるものの何とか視界は取れ、場所によっては水平線まで見通せるという奇跡のような海況で、収穫も大きかった。前泊したバンガローで軒先に、当日港に停めた車に吊るした「てるてる坊主」の効果だと、僕は勝手に思っている。
フルマカモメとコアホウドリ
2010年6月 北海道十勝沖
![Img_5604 Img_5604](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/57/d81f5be6b41dc25316ef880cdd0b6d0c.jpg)
てるてる坊主の力を思い知らされたのは今から10年前、2000年7月の南千島はエトロフ島でのことだった。10日間の日程で訪れた憧れの南千島(北方四島)。鰭脚班の最大の目的の一つに、エトロフ島南端にあるトドの集団上陸地での個体数調査があった。しかし、憧れの島々は来る日も来る日も深い霧に閉ざされ、三度あったはずの調査機会のうち、二回はあっさり中止になってしまった。ラストチャンスの前日、エトロフ近海はやはり濃霧と若干の波の中にあった。とりあえずそこで待機して、翌朝の状況次第で上陸場に接近するということになったが、予報はこのまま推移することを伝え、我々の中にも一種の絶望感が漂い始めていたのは否めない。そんな状況の中、鰭脚班長の発案でてるてる坊主を作り、祈りを捧げた後デッキに吊るした。翌朝、我々が目にしたのは快晴の島影だった。波も収まり、無事トドの調査を遂行できたのは言うまでもない(この時の祈りを捧げる様は、大泰司紀之・本間浩昭著「知床・北方四島」(岩波新書)の170ページに写真で見ることができる)。
明日からしばらく道東の海辺を行脚する日々が続く。海の調査は、天候に一喜一憂する日々でもある。先週限りと思っていた今回のてるてるだが、しばらく付き合ってもらうことにして、先程車に積み込んだ。どうぞよろしくお願いします!
車に吊るしたてるてる坊主
![Img_5895 Img_5895](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/f1/8b106cb71fa5aeceb18bc8e8e9174bab.jpg)
(2010年6月17日 千嶋 淳)