![Photo Photo](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/10/9309c85b5d34ee074bacfd729d527827.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(タンチョウ観察中の一行 以下すべて 2010年3~4月 北海道十勝川下流域)
(日本野鳥の会十勝ブログ4月20日より加筆・転載)
今春の十勝川下流バスツアーは、3月14日から4月11日までの毎週日曜日、計5回を企画しましたが、天候や参加人数の都合で3月14、28、4月4日の3回の催行となりました。各日の概要は以下の通りです。
3月14日:参加者5名(スタッフ込み・以下同じ)。人数が少なかったため、バスではなく車で回りました。例年だと雪解けも進んで、ガン類やタンチョウも集結して来る時期ですが、この冬の多雪は大地を白銀のまま残し、くわえて台風並みの爆風が吹き付け、屋外はまるで冬の嵐の厳しさでした。そんな中、ほぼ唯一の水域である旧河川にごっちゃり集まったヒシクイやオオハクチョウ、農家の庭先にある堆肥で餌を掘り起こすタンチョウの姿に、冬から早春へのバトンタッチの気配をいち早く感じることのできた一日でした。
僅かに解けた旧河川に集うヒシクイとオオハクチョウ
![Photo_2 Photo_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/12/6b305fe26ae37d03e3ba26edd81903fc.jpg)
3月28日:参加者8名。前回からの2週間で融雪が飛躍的に進み、原野は白と枯れ草色、それに褐色のモザイクでした。ちょうどタンチョウが繁殖地周辺に集まり始めたようで、2羽で行動するつがいを各地で見かけ、総数は20羽以上になりました。遅い春のせいかまだ去年の親子が一緒に行動している家族もあり、道路に出たタンチョウと車の超ニアミスというヒヤッとさせられる一幕もありました。ガン類も農耕地で見られる数が多くなり、30羽前後のハクガンを見ながらの昼食は贅沢なものでした。そして昼食後には珍鳥ヤツガシラとの至近遭遇という、誰も予期しなかったエピソードもありました(一番興奮していたのは、他ならぬ案内役の私だったようです)。
バス車内より観察中
![Photo_3 Photo_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/7e/afd25a3e9bcbd9cfbb7284462af2a095.jpg)
ヤツガシラ
![Photo_4 Photo_4](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/c4/888f1fd3365d26cfbbdfcd9eca8672b3.jpg)
4月4日:参加者9名。やや風が強かったですが、雪の概ね解けた景色は早春そのもの。青空からはヒバリの囀りも降り注ぎます。ある場所では一ヶ所で5羽ものタンチョウを観察でき、一部は一行の真上を飛ぶなどこの日のハイライトとなりました。ガン類の数もちょうどピークだったようで、特にマガンは各地で大きな群れと出会うことができました。オジロワシが氷の緩みかけた旧河川等に集まり始め、その勇ましい姿を間近に見られたのもこの日の収穫でした。
氷上のオジロワシ若鳥(手前)とタンチョウ
![Photo_5 Photo_5](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/9b/4dd54d6f7440dc4858481868fdd9f404.jpg)
このように雪や氷の解け具合と、それに合わせた鳥の行動の変化で出会いの中身がまったく異なってくるのが春の十勝川下流域の特徴です。オオワシやハクガンは出現しない日もありましたが、マガン、ヒシクイ、タンチョウ、オジロワシの天然記念物4種類とは毎回出会うことができ、この地域のポテンシャルを感じていただけたと思います。今年は事前の宣伝不足等により参加者が少なめでしたが、そのため一人一人の顔を見ながらお話しでき、スペースも十分にあったので全員でじっくり鳥を見ることができたのは良かったと思います。また、単に鳥を見るだけでなく、十勝川下流域の自然の歴史やここでいま鳥と人との間に生じている軋轢等についても、それなりに突っ込んでお話しできたと思います。
地域の自然の価値を見出し、人間との間に抱える問題解決の一助になればと実施してきたこのツアーは、今後も継続してゆくつもりです。興味を持たれた方は、是非参加してみて下さい。
3回のツアーで確認された鳥は、下記の45種でした。
カワウ アオサギ シジュウカラガン マガン ヒシクイ ハクガン オオハクチョウ コハクチョウ マガモ コガモ オカヨシガモ ヒドリガモ オナガガモ キンクロハジロ スズガモ クロガモ ホオジロガモ ミコアイサ ウミアイサ カワアイサ トビ オジロワシ オオワシ オオタカ ハイタカ タンチョウ オオセグロカモメ ワシカモメ シロカモメ カモメ ウミネコ ドバト キジバト ヤツガシラ ヒバリ ハクセキレイ ヒヨドリ ハシブトガラ シジュウカラ オオジュリン カワラヒワ スズメ ムクドリ ハシボソガラス ハシブトガラス (番外:ゼニガタアザラシ エゾアカガエル)
雪上に憩うハクガンの群れ
![Photo_6 Photo_6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/cf/5e158b50c125b1c90d3ac021d32d2fb7.jpg)
牧草地のタンチョウ(手前)とオオハクチョウ、マガン
![Photo_7 Photo_7](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/c5/e636f7feee97bda7d7999412e27af296.jpg)
(2010年4月20日 千嶋 淳)