鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

さぼり

2005-12-14 07:18:30 | 日記・エッセイ・コラム
 すいません、更新さぼってました。
いつのまにか広尾水族館から1ヶ月も経ってしまいました(^^;)

 先日投稿した論文が一区切りし、気分すっきり♪
論文が進まずブログを更新する気分になれなかったのです。
ちっしーが書いた記事もすでに2ヶ月前・・・秋の話なのにもう冬だし・・・
とりあえず、気分はさわやか!
そしてたまっているお仕事に取り組みます!
ではみなさん、お風邪などひきませぬよう・・・

akizora
(Photo by Natsuko. 10月10日 日勝峠)

12月14日なつこ
(クリスマスイブまで後10日♪)


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一期一会

2005-12-14 06:59:33 | 猛禽類
Pic
Photo by Chishima,J. 
(ノスリ 2005年10月 北海道中川郡豊頃町)

 秋の鳥見の、楽しみの一つにタカの渡りの観察がある。夏期日本で繁殖したサシバやハチクマが、あるいはこれらの種ほど長距離ではないが季節移動を行なうハイタカやノスリが集団で南方への渡りを行なうのだ。危険の多い海上を最短距離で渡ることのできる岬や上昇気流の発生しやすい峠などでは、タカ類が通常にも増して集結して渡ってゆくことが知られており、愛知県の伊良湖岬や長野県の白樺峠などはこの時期、タカの渡りを見に全国から集まったバードウオッチャーである種のお祭りのような状態になる。尾根筋から飛び出したサシバなどが、1羽また1羽と鷹柱を作りながら旋回、上昇して、流れるように滑空してゆくその姿は壮観の一言に尽きる。
鷹柱の一部
2005年9月 長野県南安曇郡奈川村
サシバとハチクマが悠然と青空を上昇して、渡ってゆく。
Pic
Photo by Chishima,J. 

 群れで渡るタカの代表格であるサシバは北海道には分布しないし、ハチクマも道央・道南では普通ながら道東ではほとんど見られないので、私の住む十勝地方では伊良湖岬のような勇壮な渡りは望むべくもない。
 それでも最近、近所で小規模ながらタカの渡りを観察できる場所を見つけた。そこは岬や峠など特殊な地形ではなく、ただ北から続いてきた丘陵地帯が南の平野部に向かって大きく突き出しているために上昇気流は発生しやすいようである。
 小規模というのは決して誇張ではなく、半日ほど空を見上げていても渡ってゆくタカの総数は10羽にも満たない。鷹柱などとは程遠い、それはささやかな渡りである。とは言え、これまで数回の観察で、居付いているトビやオジロワシも含めて、9種類の猛禽類を確認しており、油断ならない場所でもある。つい先日には、おそらく渡りというよりは分散なのだろうがクマタカの若鳥まで出現し、度肝を抜かれた。

トビ
2005年10月 北海道網走市
Pic
Photo by Chishima,J. 

オジロワシ(成鳥)
2005年5月 北海道十勝川流域
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Photo by Chishima,J. 

クマタカ(若鳥)
2005年10月 北海道十勝管内
周囲を飛んでいるのはトビ。
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Photo by Chishima,J. 

 それに次から次にタカが渡る有名観察地では得がたい緩やかな時間の流れも、考えようによっては贅沢なものだ。朝観察地に到着すると、まずは椅子を広げてどかぁと座りこむ。夜明けには刺すような冷たさだった空気も、秋の陽を受けて心地よく暖められている。向かいの丘では上昇気流が発生し始めたらしく、既に数羽のトビが輪を描いている。こんな時は缶ビールのプルタブを引こう。朝酒が五臓六腑に染み渡る。付近のヤナギ林ではメジロの小群が賑やかだ。10年前には比較的稀だったこの鳥も、いつの間にか普通種になった。鳥類の分布は固定的であると同時に、流動的な側面も持つのだ。そんなことを考えていると、丘陵のすぐ上を1羽のノスリが旋回し始めた。5分以上もかけてゆっくり上昇したノスリは、方角を定めると一気に滑空してゆく。いざ、南へ…。2缶目も半ばにさしかかり、背後のオオイタドリ群落を出入りしているベニマシコも見飽きた頃、今度はオオタカか。ノスリ同様、高度を稼いでから流れ出すが、滑空だけでは十分な推進力が得られないのか羽ばたきも頻繁にまじえる。3缶目、さすがに酩酊を意識し始めているとチゴハヤブサが颯爽と登場。悠然と上昇しながら、時々ぱっと身を翻すような仕草を示す。南への旅路を急ぎながらも、好物であるトンボを狩った、あるいは狩ろうとしていたのではないだろうか。
 
オオタカ(成鳥)
2005年7月 北海道十勝川流域
Pic
Photo by Chishima,J. 

チゴハヤブサ(幼鳥)
2005年9月 北海道中川郡幕別町
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Photo by Chishima,J. 

 元来自然の中でぼおーっとすることを好む私にとって、このようにタカを待つのは苦にならないばかりか、むしろ楽しくすらある。そして、何よりも感慨深いのは、こうして空を見上げていなかったら決して出会うことのない、1人と1羽、点と点の出会い。別にこちらが観察していなくても鳥たちは勝手に渡ってゆくのだが、その一瞬に立ち会えた喜び。これこそが渡り観察の醍醐味であり、人類が太古の昔から鳥類の渡りに言い知れぬ魅力を感じてきた所以ではないだろうか。
 さて、今日もタカたちとの「一期一会」を味わいに出かけようか。

ミサゴ
2005年10月 北海道勇払郡鵡川町
ほかのタカ類ほど渡りは目立たないが、秋になると湖沼や河口などの水辺で見かける機会が多くなる。
Pic
Photo by Chishima,J. 

(2005年10月12日 千嶋 淳)


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