鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」発行のお知らせ

2014-11-30 15:48:00 | お知らせ
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 この度、NPO法人日本野鳥の会十勝支部より「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」を発行いたしました。


千嶋淳 著 鈴木瑞穂 イラスト NPO法人日本野鳥の会十勝支部(2013年発行) B5判 56ページ ISBN978-4-990741-10-5 定価1,050円(本体1,000円+税)

 太平洋、日本海、オホーツク海と性質の異なる3つの海を持つ北海道近海には、四季を通じて様々な海鳥が飛来しますが、それらの生態や識別について参照できる本は多くありません。「北海道の海鳥」シリーズでは豊富な写真と文章でそれらを紹介します。本書では、前半の総論でウミスズメ類全般について進化や形態、生態、人間との関係、季節ごとの見どころなど、後半の各論ではハシブトウミガラス、ウミガラス、ウミバト、ケイマフリ、マダラウミスズメ、ウミスズメ、カンムリウミスズメ、ヒメウミスズメ、ハジロウミバト、コバシウミスズメの10種を扱っています(残りの種は続刊で扱う予定)。最後の3種は参考種のためイラスト込み1ページですが、それ以外は7~15枚の写真と2~3ページの解説を種ごとに割き、写真は夏羽、冬羽にくわえ若鳥や飛翔、群れ、他種と一緒など多様なカットで実際の識別や観察に役立つようになっています。ウミスズメのヒナやカンムリウミスズメ、ウミバトの様々な羽衣などは、載っている図鑑も少ない貴重なものです。解説では各羽衣や類似種との識別、ロシアを含めた北海道周辺での分布や現状などを、最新の知見も交えて盛り込みました。
 購入はHobby's World日本野鳥の会インターネットショップNPO法人日本野鳥の会十勝支部Internet shopで可能なほか、野鳥の会十勝支部などのイベントでも販売予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

(ページ見本)
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(2013年11月25日   千嶋 淳)




「十勝の海の動物たち」発行のお知らせ

2014-11-29 23:06:00 | お知らせ
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 帯広百年記念館ロビー展「十勝沖・海の動物たち」に合わせて、「十勝の海の動物たち」を漂着アザラシの会より発行いたしました。20ページの小冊子ながら、オールカラーで十勝で確実な記録のある海鳥58種、海獣8種を80点以上の写真を用いて紹介しています。ミズナギドリ類やウミスズメ類等、通常の図鑑類にはあまり掲載されていない種類も多く扱い、十勝・道東の海で見られる鳥・獣を幅広く俯瞰できるのが特徴です。500円(+直接お届けできない方は送料80円)で販売いたしますので、購入を希望される方は、メール(pvstejnegeri_yoidore@dance.ocn.ne.jp)またはコメント(記入の際入力したアドレスは、web上では表示されません)にて連絡いただけたら幸いです。(本冊子の作成には日本財団の助成を受けました)

2013年11月25日追記:NPO法人日本野鳥の会十勝支部Internet Shopでもお求めいただけるようになりました。新刊の「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」ともども、引き続きよろしくお願いいたします。

(2012年5月23日   千嶋 淳)


141126 十勝川ワシ観察クルーズ

2014-11-28 17:06:36 | 鳥・秋

All Photos by Chishima, J.
オジロワシ成鳥 以下すべて 2014年11月 北海道十勝川中流域)


 今シーズン2回目となる本日は、奈良からのご夫婦と帯広からの方に乗船いただきました。まずは出艇地点近くでオオワシ観察。道路を挟んだ斜面の木に成鳥2羽が止まっており、望遠鏡で精悍な顔つきや頑強な嘴をじっくり観察できました。オオワシは、クルーズではオジロワシより少なく、警戒心も強めなので、ここでしっかり見られると一安心です。シマエナガの群れが道路端に現れ、何羽かはすぐ近くまで飛んで来てくれました。私はここぞとばかりにシマエナガ、特にその正面顔の可愛さを力説しましたが、その意図はヒミツです(笑)。
 川面に漕ぎ出ると麗らかな秋晴れで風も弱く、着込んだ防寒着が暑いくらいでした。ボートが川岸を離れるか離れないかのタイミングでオジロワシ幼鳥が飛翔。幸先の良いスタートです。陽光に誘われてか、セグロセキレイがいつになく活発に囀っていました。水面のカモ類(厳冬期と比べてコガモが多く感じました)やオオハクチョウなどを観察しながら下って中盤、オジロワシ成鳥が近くを飛び過ぎたのを皮切りにワシ祭りが始まりました。オジロワシ成鳥、幼鳥が河畔林に上空に次々出現し、ついにオオワシ成鳥も現れ、旋回しながらボートの真上も飛んでくれました。青空を背に見るオオワシの翼前縁や尾羽の白、嘴の橙黄色は本当に美しいものです。オジロワシの中にはボートが真下を通っても飛ばない個体もいて、圧倒的な迫力と存在感にお客さんもスタッフもただただ感動の一幕でした。
 その後も川原で日向ぼっこを楽しむキタキツネや、浅瀬でサケを食べるオオセグロカモメとハシボソガラスなど見所は尽きず、下船直前には目の前の林からオオタカが飛び出し、下船後にもオジロワシが青空を悠然と舞っていました。


川原でシロザケを食べるオオセグロカモメ成鳥とハシボソガラス



 今年は11月に入っても十勝川中流域のワシ類が増えず、初回のクルーズでも少なめでしたが、この10日間で着実に増えているのは間違いありません。サケの遡上数は多いので、これから増えてくることが期待されます。川面という非日常空間から雄大なワシ類はじめ水鳥や小鳥、その時々の気象や川の条件が織り成す景観を楽しむことのできる十勝川ワシ観察クルーズに、是非お越し下さい。ただし、ワシ類への過度の負荷を避けるため、水、土、日の週3日の運航としておりますのでご理解・ご協力をお願いいたします。十勝川ワシ観察クルーズの詳細については、十勝ネイチャーセンターのHPを参照下さい。


振り返っても十勝川



(2014年11月26日   千嶋 淳)


141116 十勝川ワシ観察クルーズ

2014-11-28 16:39:13 | 鳥・秋

All Photos by Chishima, J.
川原のキタキツネハシボソガラス 以下すべて 2014年11月 北海道十勝川中流域)


 十勝川ワシ観察クルーズ、今シーズンも開幕です。初日の今日は野鳥の会十勝支部による貸し切りのため、私も一般客として参加させていただきました。まずは陸上からオジロワシ成・幼鳥とオオワシ幼鳥を観察。面白かったのは、少なくとも40羽以上のトビが旋回・上昇後に西方へ滑空していったことです。渡りだったのかもしれません。
 皆でパドルを漕いでの出艇後は時折陽の差す薄曇りで、風も穏やかな気持ちの良いクルーズでした。ワシ類は少なく、かつ遠かったものの、ハクセキレイやセグロセキレイの飛び交う河原ではオオセグロカモメ、カラス類、キタキツネなどがサケの死体を貪り、横枝に覆われた河岸をミソサザイが軽快に闊歩し、水面にはマガモやホオジロガモの群れ…、そんな晩秋の十勝川の風景を楽しみながらの、あっという間の一時間でした。真冬と違って肌を刺すような寒さが無いのも、この時期ならではと言えましょう(厳冬の寒さやそれが作り出す景観もまた魅力ではありますが)。


ゴムボートからの野鳥観察



 帰りに立ち寄ったワシ観察地では、到着と同時にオオワシ成鳥が真上を舞ってくれ、青空を背にした白い尾羽や翼前縁の美しさと眩しさに、一同見入りました。河原にワシ類の姿はありませんでしたが、サケ目当てに集まった多数のオオセグロカモメに混じるシロカモメやセグロカモメも観察でき、満ち足りた気分で終了できました。
 現時点ではワシ類が少ない今年ですが、サケの遡上量はかなり多いため、今後ワシ類も増えて来ることが予想されます。川面という非日常空間から雄大なワシ類をはじめ水鳥や小鳥、その時々の気象や川の条件が織り成す景観を楽しむことのできる十勝川ワシ観察クルーズに、是非お越し下さい。十勝の方にとっても、地元の川の魅力を再発見できる機会となることは請け合いです。ただし、ワシ類への過度の負荷を避けるため、水、土、日の週3日の運航としておりますのでご理解・ご協力をお願いいたします。十勝川ワシ観察クルーズの詳細については、十勝ネイチャーセンターのHPを参照下さい。今シーズンもよろしくお願いいたします。


十勝川



(2014年11月16日   千嶋 淳)