![Photo Photo](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/74/ef90bafefcdf7351740f12310d9ae433.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(以下すべて トウゾクカモメ 2012年7月25日 北海道十勝沖)
属名は「糞に関係のあるもの」の意で、かつては他の鳥を襲って奪う餌が排泄物と思われていたことに因るものである。種小名は「覆いのある鼻の」の意で、夏羽のキャップ状の暗色部が鼻を覆っているように見えることに因るものか。本種やクロトウゾクカモメは英語ではskuaだが、米語ではjaegerである。英語と米語で鳥名が異なる例は少なくない。
ユーラシアおよび北アメリカの北極圏で繁殖する。非繁殖期には南下し、南半球まで渡るものが多いようだが、銚子沖あたりでミツユビカモメの群れを襲いながら越冬する個体も少なからずいる。道東太平洋では春と秋の渡り時期に出現し、春は5月中・下旬から6月上旬、秋は7月下旬から11月下旬に見られる。沖合で見られることが多いが、日によっては河口や海岸、岬からも観察される(特に秋)。通常は1~数羽で行動するが、台風等による時化の時には大群で漁港や海岸に飛来し、台風直後の十勝海岸で1000羽以上を観察したこともある。
![Photo_2 Photo_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/99/0044edc08cdce57dacae99ffddd612aa.jpg)
翼開長は110~127cmで、ウミネコ(126-128cm)に近い。ただし、胴体や翼が太いためか、しばしば大型カモメ類のような印象を受ける。一連の写真はすべて同一個体。スプーン状の尾羽が顕著で一見成鳥夏羽のようだが、下雨覆の縞模様が明瞭であり、若い鳥と思われる。初列風切下面の基部は白斑を形成する。嘴はクロトウゾクカモメやシロハラトウゾクカモメより太く、ごつい印象を与える。先端部は黒く、基部は淡紅色を帯びる。オオトウゾクカモメの嘴はさらに太く、基部まで黒色である。
![Photo_3 Photo_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/57/045e2217617eac4e10529094a67eddb5.jpg)
![Photo_4 Photo_4](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/15/bb7d7a3f05f1fb1c9474d77953b2603b.jpg)
嘴だけでなく、体や翼も他の近縁種より太めなため、上側の写真のように太く見えることが多いが、角度によっては下側の写真のように翼先が尖ってスリムな印象を与えることもある。翼上面は初列風切の羽軸が白い以外は一様な黒褐色。初列風切羽軸の白色は遠目でもよく目立つが、オオトウゾクカモメのような白斑は形成しない。顔は頭頂部がキャップ状に黒褐色で、頬から前頚にかけてクリーム色、胸には暗色の帯が目立つ。
(2012年8月27日 千嶋 淳)