鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

幼鳥ラッシュ

2005-07-29 20:41:28 | 鳥・夏
 少し前まで夜明け前後を中心に森林や原野を賑わせてきた鳥たちの囀りも、かなり静かになった。鳥類の囀りにはさまざまな機能が知られているが、その中でも異性の誘引やなわばりの誇示は重要なものであり、繁殖も後半にさしかかったこの時期にはそれらを積極的に行なう必要のないことによるものだろう。そのかわり、今年新たに誕生した幼鳥の姿を目にする機会が圧倒的に多くなってきた。
 暖地ではキジバトなど季節に関係なく繁殖する種もいる(これは、ハト類がピジョンミルクというタンパク質や脂肪を含んだ液体を雛に与えることができるため、タンパク源を昆虫に依存しなくてもよいためである)が、厳冬期は雪と氷に閉ざされるここ北海道では繁殖は春から夏にかけての一大イベントである。
 オジロワシなど一部の猛禽類はまだ雪深い時期から抱卵に入るが、数も少ない上に日常生活で繁殖の舞台を目にする機会は滅多にない。そういう意味では、新しい生命の誕生をいち早く我々に教えてくれるのは、5月中・下旬のマガモタンチョウ、チドリ類の雛の出現であろう。

マガモの雌と雛(後方の3羽)
anas_platyrhynchos
Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道帯広市

タンチョウの親子
右側の成鳥が足元のまだ幼い雛に給餌している。
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Photo by Chishima,J2005年5月 北海道十勝川下流域


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コチドリの雛
十勝ではイカルチドリよりも渡来・繁殖ステージはやや遅い傾向にある。

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Photo by Chishima,J 2005年6月 北海道中川郡豊頃町

 これら早成性(そうせいせい)と呼ばれる鳥類の雛は、卵から孵化した時点で目が開き、羽毛が生えており、すぐに巣を離れて行動するため、より早い時期から目に付くのである。ただし、同じく早成性のアカエリカイツブリやカイツブリは、十勝では雛が出現するのが7~9月と遅い傾向にある。

草の中から周囲をうかがうオオジシギの親子
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Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道十勝郡浦幌町

雛に給餌するアカエリカイツブリ
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Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道十勝川下流域

 その要因としては天敵による捕食や人間による撹乱などの可能性があるが、よくわかっていない。早成性の雛たちは生まれてすぐ自由に動き回って採餌できる利点の反面、危険との遭遇も少なくないと思われ、カモ類の家族などは日一日と雛の数が減ってゆくことも珍しくない。そういえば、少し前に帯広市内でマガモの雛が一家族丸ごと側溝に落ちる事件があった。あれは偶々人の目に付いて救出されたが、おそらく氷山の一角と思われる。
 早成性の雛とは対照的に、樹上や樹洞で繁殖する多くの小鳥類などの雛は丸裸な上に目も閉じた状態で生まれ、晩成性(ばんせいせい)と呼ばれる。晩成性の雛は羽毛が生え揃って飛べるようになるまでの間、巣で親鳥による世話を受けるので、人目に付くのは巣立ち以降ということになる。この辺りでは6月上旬のシジュウカラやハシブトガラがもっとも早く、スズメやカラス類、次いで中・下旬のノビタキなどが続く。

あどけない顔をしたスズメの雛
DSC_1014
Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道中川郡豊頃町

スズメの親子
巣立ち後もしばらくは親の世話を受けるようで、羽を震わせて餌をねだっていた。
DSC_2369
Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道中川郡豊頃町

ノビタキの巣立ち雛
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Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道中川郡豊頃町

 ノビタキ以外は周年北海道に生息する留鳥であり、やはりより早期から繁殖に従事するのであろう。7月以降は夏鳥も含めて多くの晩成性の種でも巣立ち雛が出るが、同時に葉や下草も茂ってくるのでその姿を見ることは意外と難しい。そんな中でカラ類は例外である。しばしば近縁種と混群を形成して鳴きながら林内を移動するその存在は視覚・聴覚的に目立つだけでなく、外の世界に出たばかりの幼鳥は好奇心に満ちあふれている。唇をすぼめ、鳴き真似をするとすかさず、何羽もの幼鳥がひっきりなしに樹冠からすぐ頭上まで様子見にやって来て、至福の一時を提供してくれるだろう。

シジュウカラの巣立ち雛
胸のネクタイも細く、不完全だ。
parus_major
Photo by Chishima,J 2005年7月 北海道帯広市

(2005年7月27日   千嶋 淳)


ハクセキレイの学名

2005-07-27 09:46:55 | 鳥の学名
2005年5月26日 北海道根室市
DSC_0009
Photo by Chishima,J
成鳥夏羽オス

スズメ目セキレイ科 Motacilla alba
Motacilla・・・セキレイ属。小さな(尾)を動かすものの意。
 moveo動かす、motax属格 motacis たえず動かす+-illa縮小詞女性形
 cillaは学名では尾の意味として使われるようになる。
alba・・・albusが白の意で、女性形でalba

  分布・生息環境
北海道、十勝では夏鳥で3月中旬に渡来。一部留鳥で繁殖する。

ユーラシア大陸に広く分布。冬はアフリカ大陸、インド、東南アジアに渡って過ごすものがある。
日本では北海道・本州で繁殖し、本州中部以南で越冬する。

河川中・下流沿い、平野部の住宅地、農耕地から山地のダムなど開けた環境に生息する。

十勝の川の生き物達より

2005年5月20日 北海道河西郡中札内村 
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Photo by Chishima,J
成鳥夏羽メス
 成鳥の夏羽では、オスの背中は黒いが、メスの背中は灰色で全体的に淡い。

2005年6月18日 北海道広尾郡大樹町
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Photo by Chishima,J
くちばしには昆虫をくわえています

同日 北海道中川郡豊頃町
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Photo by Chishima,J
リラックスして羽づくろいに夢中です

なつこ


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霧の北太平洋にフルマカモメの乱舞して…

2005-07-23 08:03:19 | 海鳥
2005年7月14、15日
苫小牧-八戸航路往復

鳥:コアホウドリ クロアシアホウドリ フルマカモメ オオミズナギドリ アカアシミズナギドリ ハイイロミズナギドリ ハシボソミズナギドリ ハイイロウミツバメ ハイイロヒレアシシギ アカエリヒレアシシギ トウゾクカモメ オオセグロカモメ ウミネコ ウミスズメ ウトウ
海獣:カマイルカ イシイルカ キタオットセイ

 久しぶりの夏の航路だったが、日頃の行いが余程悪いのか、行程の半分くらいは濃霧に閉ざされていた。少し前に仙台からの航路で同じ海域を観察した友人は、ミナミオナガミズナギドリツノメドリを観察しているので淡い期待を抱いていたがそれも適わず、これだけ観察できただけでも未だありがたいと自分を慰めてみる。一泊した八戸の居酒屋で食べた刺身(どんこなめろう、青柳など)も美味しかったことだし。

霧の中のクロアシアホウドリ
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Photo by Chishima,J
神秘的ではあるが…

ハシボソミズナギドリ①
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Photo by Chishima,J
群れ


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ハシボソミズナギドリ②
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Photo by Chishima,J
船の接近で慌てて飛び立とうとするも中々

 優占種は.、ハシボソミズナギドリフルマカモメ、次いでぐっと減ってオオミズナギドリハイイロミズナギドリクロアシアホウドリという感じだった。

海上のクロアシアホウドリ
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Photo by Chishima,J
翼をたたんでもやはり存在感のある鳥

 今回に限らず、6、7月の三陸~北海道沖ではフルマカモメの多さに目を見張る。しかし、考えてみると南半球の夏(すなわちこちらの冬)に繁殖を終えて北半球の寒帯・亜寒帯域に策餌のため飛来するハシボソ・ハイイロミズナギドリや日本近海に繁殖地の多いオオミズナギドリとは異なり、典型的な北洋のミズナギドリ(名前はカモメだがれっきとしたミズナギドリ類)である本種がなぜ、本来繁殖の時期である初夏にこれだけの数いるのだろうか?ちなみに、日本からもっとも近い繁殖地は中部以北の千島列島やオホーツク海北部であり、直線距離にしても500~1000キロは離れている。

オオミズナギドリ
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Photo by Chishima,J
日本近海では最優占種ながら、世界的には準日本固有種

考えられる一つの可能性は、繁殖期に日本近海でみられるフルマカモメは、若鳥などの非繁殖鳥から成っているというものである。海鳥は一般に寿命が長く、また成長も緩やかで、小鳥などにように生まれた翌年から繁殖に従事するようなことは少ない。ヨーロッパのフルマカモメにおいては、繁殖開始年齢は6~12歳、平均で9.2歳であることが知られている。したがって、この年齢に達しない若い個体は特に繁殖地に帰る必要も無いから、日本近海でぶらぶらしていることもありそうなものである。

フルマカモメ(暗色型)
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Photo by Chishima,J
ミズナギドリ類の割には丸く短い翼とふっくらした体

フルマカモメ(明色型)
DSC_0550
Photo by Chishima,J
北太平洋では北部で明色型、南部で暗色型が卓越するので、日本近海では比較的珍しい

もう一つの可能性は、千島列島などで繁殖する個体が、策餌のためにこれらの海域を訪れていることである。繁殖中にそんな遠くまでまさかと思われるかもしれないが、ミズナギドリの仲間は繁殖期間中、数日に一度程度しか繁殖地の島には戻らない。電波発信機を装着された、伊豆諸島で繁殖するオオミズナギドリは、子育て中ですら600~1000キロ離れた三陸沖や北海道南部沿岸への定期的な策餌回遊を繰り返したという。また、確認されてはいないものの、南半球で繁殖するハシボソミズナギドリは、繁殖海域から2000キロのナンキョクオキアミの分布域まで、定期的な回遊飛行を行なっている可能性が指摘されている。こうしたことを考えると千島列島あたりで繁殖する個体が、ふらっと北海道や東北の沖まで餌を食べに来るというのもあながち的外れではないのかなという気がする。三陸沖は北からの親潮と南からの黒潮が混合し、世界的な漁場としても名高い海域である。

カマイルカの一群
DSC_0338
Photo by Chishima,J
夏には北海道近海で普通。奥の鳥群はウトウ

キタオットセイの幼獣
DSC_0422
Photo by Chishima,J
アシカ科の特徴である耳介が写っている

* 引用文献は、文章の流れ上またスペースの関係で省略します。

(2005年7月18日 千嶋 淳)


チゴハヤブサの学名

2005-07-20 14:17:42 | 鳥の学名
2004年8月30日 帯広畜産大学野生動物管理学研究室
P1000019
Photo by Natsuko

タカ目ハヤブサ科チゴハヤブサ Falco subbuteo
falco・・・ハヤブサ。falcisは鎌の意。爪の形から
subbuteo・・・ハヤブサ(buteo)に近い(sub)ことから
(buteoは現在ノスリの属名である。)

  分布・生息環境
 十勝には夏鳥として渡来し、平地の疎林などで繁殖する。
 
 アフリカ大陸の北岸とユーラシア大陸の亜寒帯から温帯に広く繁殖地を持つ。
夏鳥であるが暖地ではごく少数が越冬。
北海道と東北地方北部で少数が繁殖し、冬はインド北部から中国南部に渡る。一部本州中部以南にとどまるものもいる。
北海道には夏鳥として4月下旬~5月上旬に全域に渡来し、繁殖する。
十勝の川の生き物達より

2004年8月15日 同上
subbuteo
Photo by Natsuko
顔の黒いひげ状の班が、そして胸の縦じまがよく目立っています。成鳥になると下腹は赤茶色に変わります。


2004年8月5日 同上
P1000020
Photo by Natsuko
上の写真と同一個体。
傷病鳥獣としてヒナの時に運び込まれたばかりの時です。

7月16日の雨中日記も参考に

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休日の過ごし方

2005-07-18 20:35:45 | 日記・エッセイ・コラム
(たまには鳥以外のことでも・・・)
 
 ここ数日の帯広はとってもとっても暑いです。
そこで私の愛犬ラブ(ラブラドール・レトリバー)を連れて札内川に行きました!

はしゃぐラブ
DSCN0022
Photo by Natsuko
 しかしはしゃいでいたのは最初だけで、すぐにばててしまいました。
今年で10才、もう歳ですね。

遺影?ラブと花
lab
Photo by Natsuko
毎年遺影を撮りに川に来たいものです

ちっしーとラブ
DSCN0032
Photo by Natsuko
 ちっしー、川に足を付けて涼んでいました。
ラブはちっしーが川に入ると逃げます。いじめられるからです。
川から出ると近づきます(笑)

じゃがいも畑
poato
Photo by Natsuko

 じゃがいもの花はきれいですね~。むらささきや白がありますが、種類はなんなのでしょう?

my LIFE
life2
Photo by Natsuko
 きっとLIFEはこんな砂利道を走りたくはないでしょう・・・
酷使してます。まだまだがんばってもらわないと!

ノコギリソウ(?)DSCN0013
Photo by Natsuko
 エゾノコギリソウかも?
>↑セイヨウノコギリソウでした!
 休日も今日で終わり、明日からはまた仕事です。
朝の3時半出発予定・・・早く寝ます☆ミ

なつこ


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