![Img_4611 Img_4611](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/25/6b44c59f1f76ed706a4c6304a271ac60.jpg)
All Photos by Chishima, J.
(コアホウドリ 以下すべて 2013年7月 北海道厚岸郡浜中町)
(NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第7号(2013年10月発行)掲載の「2013年度霧多布沖合調査(その1)」を分割して掲載、写真を追加 一部を加筆・訂正)
前回同様、海上は深い霧に閉ざされていました。それでもカンムリウミスズメやマンボウといった海水温の高い時期に現れる海の動物たちを観察し、季節が盛夏に向けて着実に移ろいつつあることを感じた航海でもありました。例年この時期にはカタクチイワシやニシンの群れが岸近くまでやって来て、それを追ってハイイロミズナギドリやウトウの大群が見られるものですが、今年はそれらが見られず、全般に鳥は少なめでした。
その中でいつも以上に多く観察されたのがコアホウドリをはじめアホウドリ類で、同様の状況はその後も続いています(8月末現在)。船の進路上に浮いていることも多く、なかなか飛ぼうとせず、時には船とぶつかりそうにさえなります。3kg近い巨体を持つ彼らにとって、水面からの飛び立ちは大変なようです。体が重く、足が体の後方に付いているため助走なしでは飛び立てないのです。一方、一度宙に舞った彼らの動きは軽やかなものです。「小」アホウドリとはいうものの、それはアホウドリと比較しての話。広げると2mにもなる細長い翼は、グライダー並みの高いアスペクト比(翼の細長さの指標)を持ち、一度風を掴めば悠然と大海原を超えてゆきます。滑空時には高度を1m下げる間に20m進むと言われています。コアホウドリの繁殖地は、霧多布から遠く離れたミッドウェイ諸島やメキシコ近海の孤島、小笠原諸島等、北太平洋の低緯度に位置する島々。そこで冬から春に繁殖、それ以外の時期は北太平洋に広く分散し、非繁殖鳥は一年を通じて日本近海で見られます。長寿の鳥としても有名でミッドウェイ諸島では数年前、60歳を超えた鳥が現役で繁殖していて、ちょっとしたニュースにもなりました。
クロアシアホウドリ
![Img_4687 Img_4687](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/04/c431fba0bbf199b1d39f3e9f668234b0.jpg)
霧の中のカンムリウミスズメ3羽
![Img_4842 Img_4842](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/cf/4ebb0814fa72916e9e5554c3486321cb.jpg)
(2013年8月 千嶋 淳)
*本調査は地球環境基金の助成を得て、NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの