Ommo's

古い曲が気になる

石の花

2014-12-05 | 日記・エッセイ・コラム

 石の花

十月の三日月に
飛び立つ雪虫たち
さわやかに冷たい夜を運んだのは
お前たちなのか


そこにある一房のぶどうと黄色いぼんぼり


遠い誕生の日に夢みた影を恋し
無数に飛散るけしの実を追って
風の光る野原をかけつづけ


秋は咲かない時
秋は黙って海を歩く時


記憶の流れた日に
滝に花咲き
石の花咲いて
消えていく

 

 

 

これは、わたしの叔母、石川律子の詩だ。

 

 

 


メタルが好きだ

2014-12-05 | 日記・エッセイ・コラム

 刃物を研いでいると、なぜか、気分が落ちつく。

 以前なんどか書いたが、わたしは、メタルが好きだ。金属が好きなのだ。とくに、鉄が好きだ。

 

 この刃先が少し欠けた切りだし刀は、名古屋で孤独死した叔母、詩人・石川律子の遺品だ。

 亡くなった叔母の書斎を整理して、ノートと生原稿以外、すべて捨てた。しかし、この切り出しだけは、捨てられないな、と、いまも持っている。

 きっと、60年以上も大事に使ったような、ピンクの筆箱(ペンシルケース)に、綺麗に削った鉛筆2本と、ピンクの万年筆、そして、この切り出しと、ちびれた消しゴムがあった。

 わが叔母、石川律子は、帯広高等女学校(帯広三条高校)の女学生のときから、82歳で、名古屋で孤独死するまで、ずっと詩を書いていた。生涯・詩人の女性だった。