とんでもなく寒くなってきた。(昼でももう、水たまりは凍ったまま、テカテカ、もう来年4月まで解けない)。
日が暮れてから、散歩がてら買い物にでる。完全武装の冬装備だ。二重のニットのネックウォーマー、ニット帽に、ダウン・ジャケット。下は、アウトドア作業用のタイツ、Gパン。(もう少し寒くなると、外に出るときは、ジーンズのズボンを脱いで、タイツの上は、キルティングのオーバーズボンにする。そのほうが空間ができて暖かい)。
これからまた、毎日のような雪かきと、零下20度の冬が、本格的にはじまる、と考えるだけで、なんだか、ひどく気分が滅入る。
そんな夜は、YouTubeで、なでしこジャパンの動画をみる。最高に楽しいのは、やはり、2011年のワールドカップ決勝、対アメリカ戦の歴史に残る名勝負、そして、PK戦だ。わたしは、なんど見ても感動して泣く。
当時、日本のテレビでは決して放映しないし、バカ騒ぎしたワイドショーの話題にもならなかっただろうが、女子サッカーらしい、じつに美しいシーンがある。
(知ってる人は知ってる、ドイツ・ワールドカップの名シーンだ。アメリカのメディアも、この宮間さんのスポーツマンシップを称えていた。日本のテレビ・新聞のマス・メディアは、反日本だから、こういう日本人らしい礼儀正しい行動は、報道しない)。
熊谷選手がPKを決めて、なでしこジャパンが優勝した瞬間、選手たちは抱き合って歓喜にわいた。そのとき、宮間あやさんは、自分のチームではなく、まず、戦った敵、落胆するアメリカ選手のところに行って、健闘をたたえて、ひとりひとりとハグをする。
宮間あやW杯優勝の瞬間 http://www.youtube.com/watch?v=syvFaWIydy4
このすぐあと、宮間さんの行動に返礼するように、アメリカチームの名ストライカー、ワムバック選手が、歓喜のなでしこジャパンのところにやってきて、日本のメンバーたちと握手をする。敗者が、勝者を祝福するわけ。
この戦いは終わった。「わたしらこそ最強だが、あんたらも小さい体でよくやったわ。凄いわよ。今日は負けた。でもね、次は手加減しないわよ。メッタメッタにしてやるわよ!」と、いう感じの握手だと、おもしろいな……………。(たしかに、翌年、ロンドン・オリンピックでアメリカに負けた)。
勝者が敗者の健闘をたたえてハグする。敗者が、勝者の勝利を祝って握手をする。こんな、騎士道、武士道みたいなことが、日本の男子サッカーにもあるのだろう?
サッカーをやって食べていける女子は、世界でも少ない。日本でも、なでしこリーグのチームの選手たちのほとんどは、仕事をしながら、学生をやりながらプレイしている。アメリカやイギリスやドイツに、女子のリーグはあるが、その選手たちがどれほどの収入があるのか知らない。でも、海外でも、リーグは解散しては、またできる、という状態だから、女子サッカーが苦戦しているのは、ヨーロッパもアメリカも、日本とそんなに変わらないだろうな。
日本では、ワールドカップで優勝して話題になるまで、日本女子代表の国内合宿や海外遠征費は、自己負担という過酷な世界だったようだ。親や職場に迷惑をかけている、という負い目をもちながら、ただサッカーが好きだ、という情熱でやっている。それが女子サッカーなんだ。ヨーロッパでもアメリカでも、世界中、ほとんど同じだろう。
もちろん、プロのリーグとして、いくつものチームが生きていくには、興行として商売が成り立たないとイカン。おもしろいから、楽しいから、お客はお金を払って観に来る。お客が集まって、スポンサー企業がコストに合う宣伝だと銭を出して、こうして、プロリーグは、成り立つ。現場に集客力がないと、ダメだ、基本的に。
日本の女子サッカー、なでしこリーグは、スタジアムでライブで見ると、ほんと、おもしろい。中学とか高校でサッカーに熱中したが、今はテレビ観戦だけのサッカー好きが見ると、目から鱗が落ちる。この、汚れたココロが洗われる。
「こんなふうに、一途にサッカーをやったこともあったな、俺も……………」とか、そして、「なんてタフで、巧いんだ、この、小柄な女の人たちは!」と、ひどく感動する。
だから、わたしは、サッカー好きの、お父さん、おじさん、お兄さんたちに、一度是非、なでしこリーグのライブのスタジアムに足をはこんでほしい、と、切に思う。ほんとうに、おもしろいんだよ。
宮間あやさんと川澄奈穂美さんの、ウォームアップ http://www.youtube.com/watch?v=jrD_avc-7jw
ウォームアップも、このふたりは見せてくれる。じつ楽しい。プロだ。キックオフ直前、スタジアムのお客が見てるなかでのウォームアップ。