Ommo's

古い曲が気になる

「サウンド・オブ・ミュージック」は、実話

2009-11-16 | 日記・エッセイ・コラム

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毎日のように前をとおる稲荷神社。左右両方とも、ほぼ同じ太さのイチョウの木だ。しかし、紅葉の進み具合の違いがわかるだろうか。左の葉は黄色く、右はまだ緑だ。左の黄色い木が、雄株。すでに落ち葉も多く、すかすかになり、枝が露出している。

ところが、右の木は、まだ緑の葉が繁っている。雌株なのだ。びっくりするほどたくさんの実(銀杏 ぎんなん)をつけたあとだが、まだ緑の葉は落ちてない。

イチョウは、雄の木と雌の木が別だ。雄の木は、花粉しかつくらない。雌の木の花まで花粉を飛ばす。そして、雌の木が銀杏(ぎんなん)の実をつける。晩秋になっても、元気がいい方が、雌株なのだ。

                      

「サウンド・オブ・ミュージック」オリジナル・サウンドトラック

ジャズ・ファンがよく知っているジョン・コルトレーンが演奏する「マイ・フェイヴァリット・シングス My Favorite Things」は、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」のなかで歌われる曲だ。1965年(昭和40年)封切りの映画が、日本でも大ヒットした。日本語でペギー葉山が歌う「ドレミの歌」もヒットした。

      映画「サウンド・オブ・ミュージック」で歌われた「マイ・フェイヴァリット・シングス」 http://www.youtube.com/watch?v=irhroQ14Ufo&feature=related

映画の前にブロードウエイのミュージカルがヒットした。初演は、1959年、翌年には、ロンドン、ウエスト・エンドでも上演されてヒットした。

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ブロードウエイの主演は、メリー・マーティンだ。

作詞・作曲は、アメリカ・ミュージカルの最強コンビといわれた、リチャード・ロジャース&オスカー・ハマーシュタイン2世。1960年にオスカー・ハマーシュタイン2世が亡くなるので、この作品がふたりでの最後の作品になった。

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ブロードウエイのマリア役のメリー・マーティン。

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映画のマリア役、ジュリー・アンドリュース。

このミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」は、実話がもとになっている。マリア・トラップが書いた『ザ・ストーリー・オブ・ザ・トラップ・ファミリー・シンガーズ』が原作だ。マリア・トラップは、オーストリアで、子だくさんの金持ち寡夫一家の家庭教師になり、子供たちに音楽を教える。そしてその一家の主人と結婚する。しかし、ナチが台頭して財産は紙切れになり、ナチの迫害を逃れて、破産した夫と12人の子供たちをつれてアメリカに亡命する。肝っ玉母さんなのだ。

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トラップ夫妻。

そして、食べるために家族で合唱団「ザ・トラップ・ファミリー・シンガーズ」をつくり、アメリカじゅうを巡業してまわる。これがうける。ポップスじゃない。バッハのコラールなど賛美歌とヨーロッパのフォーク・ソングがレパートリーだ。ヨーロッパの白人の、素朴な伝統音楽で、アメリカ・ショー・ビジネスの世界で大成功したのだ。マリア・トラップという母さんは、じつにたいしたプロデューサーだ。

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これが、実際のトラップ・ファミリー。小さい子を抱いているのが、マリア・トラップ。歌は、http://www.youtube.com/watch?v=8EdFHBOwMOE

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映画の家族がこれ。上の写真と較べると、現実の世界とお芝居のちがいが、よくあられている。現実に、オーストリアから苦労してアメリカにやってきて、家族のきずなで、移民先のアメリカで平和な生活をつかんだ喜びが写真にあらわれている。逆に、映画のスチールは、役者の演技の虚飾がよくあらわれている。

家族の柱、マリア・トラップは、1987年に82才で亡くなるが、一家は離散することなく、母親の遺志をついで、いま現在、自然のなかで癒されるリゾートを経営している。

    トラップ・ファミリー・ロッジ http://www.trappfamily.com/

                           

ブロードウエイでトラップ・ファミリーをモデルにミュージカルにしたとき、かれらのレパトリーはつかわなかった。賛美歌や古いフォーク・ソングでうけたミュージシャンをテーマにしても、それをまったく使わない。ミュージカルの巨匠コンビ、リチャード・ロジャース&オスカー・ハマーシュタイン2世に依頼して、いかにもミュージカルぽい曲で構成する。これがまたブロードウエイでも、映画でもヒットするのだから、それはそれで正解なのだろう。

「エーデルワイス」という曲がこのミュージカルで歌われ、世界中でよく歌われる。いかにもアルプス地方でむかしから伝統的に歌われていたフォーク・ソングのようだが、このミュージカルのためにリチャード・ロジャース&オスカー・ハマーシュタイン2世のコンビが書いた新しい曲だ。プロの仕事はみごとだ。トラップ・ファミリー・シンガーズのレパートリーでも、古いフォークソングでもない。でも、いまはもう、だれもがアルプス地方の古い歌が原曲だと思って聴いているだろう。http://www.youtube.com/watch?v=sFHujvkacNY

ジョン・コルトレーンは、ミュージカルの曲が好きだったのだろう。My Favorite Things、録音は、1961年。エリック・ドルフィー、マッコイ・タイナー、レジィー・ワークマン、エルビン・ジョーンズというメンバーだ。http://www.youtube.com/watch?v=I_n-gRS_wdI&feature=related

マイ・フェイヴァリット・シングス(+2)