近所の庭で、ピンク色の彼岸花をみた。こんなのもありか? 花弁の形、花の立ち方は、まさに彼岸花、曼珠沙華だ。だが、あの花の、なにか悲劇的に激しい美しさは、やさしくなっている。鮮烈な血の色、赤と、桃色の差は、大きい。
きっとこの木は、古代の樹木の種類だろう。葉が針葉樹でも、広葉樹でもない。なんとなく超古代の雰囲気がある。
エンタテイメント、エンタ、いま日本で日常につかう。この言葉が、日本で一般的になったのは、「ザッツ・エンタテイメント」(1973年)という映画のヒットが大きいのじゃないだろうか。ⅠとⅡと2作ある。アメリカのミュージカル映画のアンソロジーだ。つまり、いいところばかりを編集した楽しい映画だ。
そのタイトルになっている曲、「ザッツ・エンタテイメント That's Entertainment 」は、フレッド・アステア主演のミュージカル映画「バンド・ワゴン」(1953年)のなかで歌われた曲だ。http://www.youtube.com/watch?v=DtUPSvkWf4k&feature=PlayList&p=B24993951121C462&playnext=1&playnext_from=PL&index=6
わたしは、この「バンド・ワゴン」で大好きなダンス・シーンがある。ビートのあるダンスでも、フレッド・アステア得意のタップでもない。とても、静かで、優雅な男と女のダンスだ。バレエでも、社交ダンスでもない、オリジナルなハリウッド映画の男と女のダンスだ。
このダンスは、1984年サラエボ・オリンピック、アイスダンスのジェーン・トービンとクリストファー・デーンの、あの「ボレロ」の、あの感動の美しさとおなじものがある。http://www.youtube.com/watch?v=t2zbbN4OL98
あのふたりのアイスダンスは、人類史で永遠に残る名演技だ。それは、あのふたりが、かんぺきに音楽にのっていたからだ。
トービン&デーンのアイスダンスのすごさは、ふたりはちゃんと音楽を聴いてスケーティングをしている、そのこと。それが、あの美しさ、優雅の演技になる。
今夜は、その映画「バンド・ワゴン」で、わたしが大好きなフレッド・アステアの優雅なダンス、「ダンシング・イン・ザ・ダーク」をみてほしい。http://www.youtube.com/watch?v=7iAWxCxTgoI&feature=related
わたしは、これこそ映画のダンス・シーンの歴史的名場面だ、と思っている。静かなダンスだが、フレッド・アステアの動きのすべてに、スキがない。指の先まで美しい動きだ。マイケル・ジャクソンが、アステアをアイドルにしてたのは納得できる。