tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

キュウリの収穫と消費者物価

2022年06月12日 11時36分48秒 | 環境
今日は日曜日です。退職高齢者には、曜日などはどうでもいいのですが、やっぱり日曜は楽しい方がいいなどと思っていますたら、都下国分寺も朝から晴れて、雨上りの日ざしと爽やかな風で、良い日になりました。

”Sunday morning wake with  the lark”
と歌ってみたり、
今日は日曜楽しき日」と口ずさんだりして、昨日草取りをした庭に出ました。

ミニ菜園の3本のキュウリの株は、順調に大きくなって、数日前から毎日棘の痛いキュウリが1本とれ始め、昨日は2本、今日は3本取れるのです。
その3本を写真にとって並べてみようという事で、結果がこの写真です。

       キュウリ3本揃い踏み


昨日は、1週間前に生協の配達に家内が注文したキュウリが3本来て、そろそろ食べきれなくなるのですが、午後、丁度旅行の土産を持って来訪した長男夫妻に「朝どりキュウリですよ、棘が痛いですよ」と自家生産の2本はお返しに上げて、在庫を減らしました。

我家でキュウリが良く取れるような時は、プロ農家でも沢山取れて、値下がりするようで、スーパーでも1本28円になったなどと言っています。

お天気が、雨も日差しもいい具合で、生鮮食品の価格がが下がり傾向かも知れないななどと思っていますが、先日まで高かった玉葱も好調な産地が出て来てもうあまり高くないようです。

これでは、生鮮食品の値下がりで、消費者物価のインフレ傾向に影響が出て、またマスコミや国会の物価の議論が混乱すると困るけれど、総務省統計局は「生鮮食品を除く総合」、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」をちゃんと発表していますから、きちんと議論をしてくれるでしょうなどと要らぬ心配をしながら、今日はゆっくりしようと思っています。

欧米はインフレ、日本は?

2022年06月11日 22時19分54秒 | 経済
世界的にインフレの時代に入って来たようです。
つい先頃まで物価安定の時代に入ったなどと言われ、MMT 論者などは、赤字財政でもインフレの心配はないなどと言っていました。

所が物価の安定していたアメリカもEUもこのところ急激なインフレ模様です。
5月のアメリカの消費者物価の対前年同月上昇率は8.6%に達したようで、EUも4月同7.5%の上昇という事のようです。

日本も4月からの値上げ宣言を行った企業の製品、サービスがマスコミで大きく取り上げられるなど、インフレムードが高まっています。
恐らくこの夏にかけて、消費者物価の上昇率は高まると言われています。

確かに日本でも世間のムードはインフレで、国会でも政府の対応が出来ていないなどの理由で内閣不信任案が出たりしていますが(これは否決されました)、それでは消費者物価の上昇率はといいますと、まだ発表は4月までですが対前年年同月2.1%、先行指標地われる東京都区部の速報では5月が同2.4%という事です。

ガソリンなどの燃料は勿論、加工食品、調味料、ティッシュ・トイレットペーパー、店屋物、配送サービス等々身の回りのものが軒並み値上がりしているのに、「消費者物価統計って大丈夫なの」などと、最近政府の統計に対する不信感が強まっているようですが、此処は矢張り総務省統計局を信用するよりないでしょう。

それにしても、アメリカやEUと日本の差が大きすぎる事はだれもが異常に感じるところでしょう。

この点については、消費者物価の中身をグループ分けした数字を見れば、かなりはっきりとした原因が見えてきます。

具体的に言いますと、原油やエネルギー全般のように、どの国も(産油国でさえ)結局国際価格で買わなければならないものの値段が上昇した場合は、インフレは大まかに言って世界中どの国でも同じような幅になるはずです。

つまり、世界的にエネルギー価格が上がった、半導体価格が上がった、といった場合には、自由貿易体制を原則とする限り、どこの国でも同じように物価が上がるはずで、そうした物への依存度が似ている先進国では物価上昇率が国別に大きく変わるといったことはないのです。

それなのに、アメリカの消費者物価は8%台の上昇、EUは7%台の上昇、そして日本は2%台の上昇というのはどういう訳でしょうか。

答えは明らかで、国際価格以外の物価の上昇が、それぞれの国で起きていて、その分が消費者物価全体の上昇率に大きく影響しているという事です。
つまり、自家製インフレの大きさが国によって違うという事です。自家製インフレの大きさは「コア指数(後述)」でわかります。

自家製インフレというのは、国内でコストが上がって、物価が上がるという事で、消費者物価を構成するコストは大きく輸入コスト、人件費、利益ですから、答えは明らかで、賃金が上がった分は「賃金インフレ」、利益が増えた分は「便乗値上げインフレ」という事になります。

つまり、アメリカやヨーロッパでは、多分賃金上昇が物価を押し上げ、便乗値上げも起きているだろうといことです。

日本の場合は、海外物価の上昇や円安による輸入物価の上昇をやっと価格転嫁して、転嫁しきれない分は、賃金や利益を減らしているから消費者物価は余り上がらないのです。

これを傍証するのは、食品とエネルギーを除く消費者物価(コア指数)の上昇がアメリカで6%、EUで4%程度(日本は4月で0.8%)になっているという現実です。

2022年5月主要3物価指数の推移

2022年06月10日 14時11分23秒 | 経済
今日、日本銀行から、輸入物価、輸出物価、企業物価の2022年5月分が発表になりました。
国会では、政府の物価対応が駄目という事も含めて、内閣の不信任案が出たり、紛糾していますが、国会という所は国民のためにある所ですから物価を政争の具にするより、与野党ともによく考えて、本当に国民のためになる政策を考えるようにしてほしいと思います。

そのためには、今の物価上昇の要因を政治的にではなく、経済現象として分析し、何が国民のために最もいいのかを議論してほしいと思います。

ところで今のインフレに関して重要な「主要3物価指数の5月速報」が出そろいました。先日消費者物価の東京都区部の5月分、今日輸入物価指数、企業物価指数が出たわけです。輸入物価が上がり始めた2021年1月を基準にした三者のグラフを下に示します。

    輸入物価指数、企業物価指数、消費者物価指数の推移(2021年1月=100)

            資料:日本銀行、総務省

このグラフは、毎月新しい数字の発表ごとに載せて、半年、1年後まで見ていこうとして出しているものです。
今日発表の日銀の輸入物価と企業物価は、今月から基準年が2015年から2020年に変わり、品目のウェイトなども改定になっているので前月載せたものとは多少違いがあるかもしれませんが、グラフ上ではわからない程度でしょう。

マスコミは「企業物価が前月に続き最高」と言っていますが、見て頂きますと、その通りで上昇していません。これで上昇が止まれば結構ですが、輸入物価を見て頂きますと、多少スピードをあげて、上がり続けています。

もともと今のインフレは輸入資源価格などの価格の上昇と、それに最近円安の影響がが重なっているわけですから。輸入物価が上がり続ければ、いずれ企業物価に影響してくることは当然で、企業物価はまた上昇に転じ、消費者物価に影響することは容易に予想されます。

問題は消費者物価ですが、政府が目標にした2%はやっと達成しましたが、2021年4月まで低下傾向だったので、5月でやっと102です。
しかしご覧いただきますように今年の2月からは、微妙ですが、はっきり上昇の動きが見えるようになっています。

4月、5月、6月あたりで、グラフ上でも上昇傾向がはっきり見えてくると思われます。
国会の議論でもそうですが、庶民の関心は当然消費者物価で、国会も当然そうでしょう。インフレのもともとの原因は輸入物価ですから、物価は構造的に考えないと、単に抑えようとしても、補助金を出しても、いわゆるパッチワーク、後追いのつぎはぎ政策では解決するものではありません

因みに、アメリカでで8%も消費者物価が上がって、FRBが金利を引き上げ、円安になっていますが、なんでアメリカでそんなにインフレが酷くなるかという理由は、アメリカのコアコア指数(日本でいえば生鮮食品とエネルギーを除く総合)の上昇が6%にもなっている事からも明らかですが、それはアメリカが自家製インフレをやっているからにほかなりません。

日本のように行儀正しく、便乗値上げや賃金インフレを起こさない国は、外国から見れば、異常に見えるようです。この辺りは、5月の消費者物価(都区部の速報ではなく)の正式な数字が出たとき、これも毎月やることにしている消費者物価指数の分析で、ご説明できればと思っています。


 

「力による現状変更は認められない」を現実に

2022年06月09日 15時12分50秒 | 国際経済

ロシアのウクライナ侵攻問題で、最近よく目にする言葉に「力による現状変更は認められない」があります。

ざっと見てみましても、この通りの言葉が国際法にも国連憲章にも書いてあるわけではないようです。

しかしこの言葉は、今や世界の「まともな」国では多分ほとんど例外なく受け入れられているのではないでしょうか。

今現実にこの言葉を認めない国はロシアであり、また、認めない事を実証しそうな国は中国という事になっているようですが、この2国は国連の常任理事国5か国のうちの2国で、国連の常任理事国は拒否権を持っているので、この言葉を正式なものにしようとしても多分できないでしょう。

という事になると、やっぱりこの二国に「それが良い事なのだ」と思ってもらったうえで、この言葉を世界共通のルールとして正式なものにして、今後そうしたとたらブルが起きないようにするしかないのでしょう。
 
ところで、以前にもちょっと書きましたが、ロシアが、というよりプーチンが(世の中は変わっているのに)昔のようにユーラシア大陸の東半分の「皇帝」になりたくて、隣の国の領土をガリガリ齧るようなことをするより、巨大な資源大国として、世界と自由に交易し、平和で裕福な経済大国として繁栄と発展をした方がよほどいいと気づけば、世界は大きく変わるでしょう。

中国も、生産力、技術開発力を活用して好調な経済成長を続け、香港を一国二制度で経済面で大いに活用し、台湾とは同文同種の友好関係で、相互の公益・投資関係を活発にした方が、台湾経済を破壊するより余程順調な発展が可能と理解すれば、インド太平洋は平和と繁栄の海となって、世界は経済的にも社会的にも安定するでしょう。

こういう考え方は、日本では、既に大正時代に石橋湛山が日本について的確に主張していたものです(小日本論)。日本の軍部はそれが解らず、太平洋戦争に突っ込んで、その結果、日本は一度廃墟になりました。
そして戦後まさに小日本国になって、経済的には大成功をおさめています。

こんな経験を持つ日本は、非合理的な思考や行動が蔓延する現在の国際舞台で、「本当に人類が望むのはこういう世界ではないでしょうか」と、一貫して経験に則った発言をして行く役割を担うべきではないでしょうか。

新しい東西対立のはざまで、自らの経験をベースに世界の平和と安定に貢献することも無く、徒に国内の些事に右往左往するのでは、あまりに情けないような気がするのですが、戦後、世界経済の発展をリードした時代の日本人の気概は、今はもう失われてしまったのでしょうか。

何か大変勿体ないような気がするのですが、これも世の移り変わりと諦めてしまっていて良いのでしょうか。

家計消費支出の行方を占う

2022年06月08日 17時04分30秒 | 経済
昨日家計調査の今年の4月分が発表になりました。そろそろ何か変わった動きが出るかなとも思わせるところもあります。

コロナウィルスも、なんとかオミクロンで終わりになってくれるでしょうか。
国内に関する限り新規感染者数はかなりの減少を示してきていますが、問題はインバウンドの受け入れの積極化が予期せぬ影響を持つか持たなくて済むかでしょう。

これまでも毎月書いて来ていますが、家計の消費支出はコロナウィルスの跳梁とほぼ逆相関という形で動いて来ています。

この2年間の消費支出の動きを実額でグラフにしますとこんなことになります。
      消費支出(月額)の推移 (単位:千円)

(勤労者世帯の方が高いのは、平均家族数の違いで、1人当たりにするとほぼ同じ水準です)

少しでも増えていると言えば言えない事はありませんが、グラフの始まりは2020年4月で、最初の緊急事態宣言が出たときです。その前の3月までは、レベルが一段高かったのです。

家計調査の消費支出は伝統的にはボーナス月の6月と12月に消費支出額は増えるという季節変動が常識でしたが、この所はコロナ変動で、緊急事態宣言で下げ、解除で上がるという様子が明らかではないでしょうか。

最近で見ますと昨年8月のデルタ株の猛威が落ち着くにしたがって消費資質が増え、12月はボーナス月と重なってピークでした。しかし今年に入ってオミクロン猖獗で低迷、やっと3月からオミクロン株鎮静の様子見の回復といった動きです。

こう見てきますと、ウクライナ問題の国際的混乱はともかく、コロナウィルス問題は、世界でも終息を予想する動きで、日本政府もインバウンドの枠拡大に踏み切る取ったところに来ていますから、様子は少し変わるのでしょうか。

コロナについての世界主要国の予測が確実なものになってくれば、今後の家計消費の2人以上所帯、同勤労者所帯の消費支出も増え、GDP統計の四半期報の個人消費支出も増え、結果的に(今日のGDP1-3月期二次速報でマイナス成長の幅が少し減りましたが)日本の経済成長もいよいよプラス方向に向かうか、といった見通しも可能になりそうです。

毎月見てきている2人以上勤労者世帯の平均消費性向も4月に至って、前年同月の77.0から78.8に1.8ポイント上がり、低迷していた2月、落ち込んだ3月から再浮上に向かうのではないかと思われるところです。

安易な楽観はいけませんが、家計が少し先行きに明るさを感じているかと思えば、思えないこともなさそうです。

ところが、今度は物価上昇という問題が起きて日本銀行総裁の楽観的発言が問題以なったりしていますが、あまり感情的にならずに、庶民の本音の行動に注目する事が大事かと思うところです。

物価については毎月、色々な物価の中身をグラフにして、正確なデータをこのブログで出していますので、今後の予測の材料にも活用頂きたいと思います。

物価問題には冷静な議論を

2022年06月07日 16時35分32秒 | 経済
本当に久しぶりに消費者物価上昇の議論が活発になっています。

1980年代まで、日本経済がまだ元気で、物価はいつも多少は上がっているものといった中で生活しているときには、その時代の物価感覚がありました。

しかし、あまり長い間、物価が上がらない時代が続いたので、この所、物価が上がるという事についての消費者の感覚も、評論家の分析も、国会の先生方の感覚も、何か怪物でも来たような感じでインフレについての議論がされているようです。

今は「悪いインフレ」とか「良いインフレ」とか呼んだりして、何かよく解らないものを見るような、困った事、大変なことといった感情的な感覚が先に出て来るような気がしていますし、新聞では野党が「岸田インフレ」といったなどという、インフレを政争の具にするようなラべリングの材料にする話まで出ています。

インフレ馴れしていないと言えばそれまでかも知れませんが、インフレというのは原因も結果も確り分析された経済の現象で、なぜ起きたか、どうすれば収まるかも理論的には定性的にも、定量的にも十分に解っているものなのです。

この、決してウィルスのように、第6波で収まるのか、第7波が来るのか不安を持って見守るといったものではなく、今の状態ではこの程度でしょう、その影響はこうすれば不公平は小さくうなります、そのためには国民がこういう経済行動をするようにしましょう、と協力して努力する方向もはっきりしているのです。

国会は、こうした理論的に解明されていることをベースに、国民が協力して実行するような国民の行動の望ましい在り方を与野党協力して導き出し、国民にそれを徹底るように行政組織を通じて、政策として展開するのが役割で、与野党が政争の具にすることは何もないはずです。

はっきり言って、今のインフレの原因は、第一は輸入インフレ(海外資源価格等の値上がり)、第二は円安の2つでしょう。(便乗値上げがあればこれは別問題)

輸入インフレについては、国内価格への転嫁をできるだけ正確に実施して、国民全体で負担し、輸入品の値上がりによる日本経済の損失は、日本経済全体で甘受するのです。
その代わり、輸入価格が下がった場合は、その逆を実行するのです。

円安の場合は、輸出産業の為替による利得は輸出産業のすべてのコストの引き上げで日本経済全体に還元し、日本経済としては円安相当分の物価上昇は原則として認める(円安分インフレになることは容認する)という事が最も合理的な対処方法でしょう。
円高の場合は、その逆を実行する。(プラザ合意の時は円高が大幅過ぎ、大失敗でした)

これが基本的な行動原則になるのでしょう。

もちろん全部が上手く行くことはないでしょうが、こうした原則が政府によって明確にされ、国民が安心して、遠慮や押し付け感などはなく、商行為が出来れば、インフレに対する懸念は大きく後退するでしょう。

合理的に解決できることを、徒に政争の具にするようなことで、国会審議の非効率をあたかも政策論争のように見せるのはやめて欲しいものです。

梅雨のはしり、花3題

2022年06月06日 10時44分04秒 | 環境
岸田政権の掲げた「新しい資本主義」と「成長と分配の好循環」が、何か自民党内の議論の中で色褪せてきそうです。

それでは日本経済も我々国民も困るので、何とか確り持ち応えて初志貫徹に進んでくれますようにと願って、何か梅雨のはしりの様な天気の中でも色鮮やかに咲いている身近な花3つの写真を載せました。

先ず、今年はこんなに元気に咲いているのは初めてではないかと思われるほど元気なスカシユリです。



これはもう20年以上前でしょうか、 家内が親しい仲間と佐渡に行って、球根を買ってきたものです。
色と模様は数種類あったというのですが、いま残っているのはこの橙色一色だけです。

一緒に買ってきた仲間の家でも、いま残っているのはこの一色だけだそうですから、これがもともとの色なのでしょう。
毎年3本ほど伸びてくるのですが、今年は写真の1本が特別に元気で、例年一本に数個の花ですが、写真を撮りながら数えてみたら、咲いている花と蕾を合わせて14個という賑やかな株になっています。

もう一つはアルスとロメリアで、これも何種類かあったのですが、いま残っているのは白のぶちだけです。毎年3~4本が育ってきてくれます。



貝母、白雪芥子、釣鐘水仙などが伸び放題に伸びているのですが、それらの花がみんな咲き終わってから、その藪の中から背丈を高く伸ばして元気に咲きます。ただし支柱を立ててやらないと、倒れて花が見えなくなります。


3つj目は屋内での花です、八重咲きのハイビスカス。暖房をしますから、必ずしも季節は問いませんが、やはりこの時期が多いようです。



蕾から開花までを見ていますと、携帯用の折り畳み傘のように蕾の時より、咲いた花の花弁の方が大きくなり(蕾の時は折り畳んであるのでしょうか)、花は重厚で立派です。ただし、残念ながら1日花で、咲いた翌日には凋んでしまいます。
我家によく来られる人も、1日違いで残念などということが良くあります。蕾が次々出て来るのを楽しみに水やりです。

例年咲くアジサイは、昨年枝を切り込み過ぎたせいか、今年は未だです。
そろそろ梅雨も本番でしょう。
ミニ菜園の、キュウリ、ナス、トマトは大きく育ち、キュウリの収穫は既に始まりました。
いずこも同じでしょうか、お店のキュウリの値段もも安くなってきたようです。

成長と分配の好循環:再論 4、分配における政府の役割

2022年06月05日 11時58分58秒 | 経済
経済は基本的に消費と投資(=貯蓄)で成り立っています。どちらが多すぎても少なすぎても経済成長は上手く行きません。
適切な分配を維持して「均衡成長」を実現するのが理想ですが、自由経済に任せておいては必ずしも適切な分配にはなりません。

そこで、政府が、成長の目標を決めて、その実現のために「将来に向けて」適切な分配を維持するための「再分配」を行います。使う手段は、税制と社会保障で、これが財政政策の基本です。

ここで一番重要なことは「将来志向」という事です。
岸田政権が「新しい資本主義」を掲げ「成長と分配の好循環」と言った時、これは素晴らしい、これで日本は立ち直ると思いました。

資本主義にはアメリカ型の「自由重視」から北欧流の「福祉(平等)重視」まで幅があります。岸田構想はその幅のどのあたりに日本を位置づけるか(新しい資本主義)を国民に示し、そのために必要な再分配(税制と社会保障)の在り方を明らかにする(成長と分配の好循環)ことで、日本経済の将来像の明確化を宣言したと受け取ったわけです。

これは言葉だけが踊るアベノミクスとは大違いと思ったのですが、何か次第にアベノミクスに引き寄せられているという心配がこのシリーズを書かせているのです。

長くならないように、主要な問題点のみ絞って、以下、列挙します。
まず、消費を支える「賃金への分配」については、政府は「再分配」に徹し、格差拡大を阻止、格差縮小を図るための所得税累進税率の見直しが必要になるはずです。消費税問題はそのあとの問題です。春闘介入などは問題外。(賃金制度と福祉政策は別途)

法人税制は、小出しの減税はやめ、国際標準より高めでも、国内投資の総合的な利点を明確に説明すべきでしょう。
国が将来志向であれば、企業における分配も(人への投資、研究開発重視など)将来志向になっていくでしょう。

再分配の原資を税で取りにくいから国債発行で国民から借りて済ますという「便法」の多用は、分配問題に深刻な歪みを齎しています。

アベノマスクや一律10万円給付、その他の給付金は、全て国債で賄われていますが(雇用調整助成金は企業の負担)、これは、国民所得の再分配、日本経済の望ましい成長のための資金を、安易なパッチワーク、選挙のための人気取りで日本の民主主義を「ポピュリズム化」するために活用している面が見え見えです。

岸田政権の掲げた旗印は、こうした場当たり的な政府財政の使途を、日本の将来に役立つ再分配の一環として、財政、税制とのバランスを考えた上で、合目的なものにしていくことではなかったのでしょうか。

こうした不適切を支えている金融面のゼロ金利政策は、同時に、日本の家計の消費行動に異常な貯蓄志向(貯金貧乏)を齎していることにも気付くべきでしょう。
NISAやiDeCoより、かつての厚生年金基金の方が良かったという人は多いでしょう。

これらの問題は皆絡まり合っています。関係省庁が協力して、知恵を出し合い、十分な「摺り合わせ」をして、まず総合的な構想を固める必要があるようです。

邪魔も入るでしょうが、改めて岸田構想への本格的な取り組みを期待するところです。

成長と分配の好循環:再論 3、分配の中身の問題( 続)

2022年06月04日 14時14分39秒 | 経済
前々回は、労働と資本への分配と成長の関係、前回は労働への分配の中身の在り方と成長の関係でした。今回は資本への分配の中身の在り方と成長の関係です。

資本への分配の源泉は基本的に企業の利益です。企業の利益は2013~14年の日銀の異次元金融緩和によって国際競争力の回復に加えて円安差益もあり、随分増えてきました。

経済学ではこのほかに地代家賃、利子配当といった、いわゆる不労所得(unearned income)がありますが、庶民にとっては地代賃は払う側、金利はゼロ金利、配当は投資家や
親企業や金持ちのもので、日本経済に不足の個人消費にはあまり関係がないようです。

ということで、順に見て行ってみますと。
まず企業利益は確かに増えました。これは企業の利益率が高まっていることからも解ります。
通常、利益が増えればそれが新しい投資(研究開発投資や設備投資)に回って、経済成長の促進になるのですが、この所の日本の場合、ここで問題が在ります。

先ず、研究開発投資が増えていないのです。これは政府の政策に関係がありそうで、次回取り上げるつもりです。

次に、工場新設などの設備投資の多くが、国内で行われず海外で行われているのです。これは海外で人を雇いその国のGDPに貢献しますが、日本のGDPは増えません。
その代わり、海外からの、利子配当収入が増え、第一次所得収支は毎年20兆円ほどの黒字です。

この海外投資の半分が国内で行われていれば、最低でも利子配当の5倍ぐらいの付加価値(GDP)が国内で増えることになり、GDPは50兆円ぐらい増えるはずです。

更に、企業にしてみれば、利子配当収入は、既に外国で賃金を払っていますから、収入があっても日本の労働者にまた賃金を払わなくてもという気にもなるでしょう。

為替差益でもそうです。従業員の働きで出たものではないので、ボーナスを少し増やそうか程度の気持ちになりそうです。月例賃金はなかなか上がりません。

更に企業の活動を消極的にしているのは、政府の経済政策で、特徴的なのは、最初は世界のトップを走っていながら、どんどん遅れていくものが多いですね。

太陽光発電、液晶事業、半導体産業などなど、今では中国、韓国、台湾などに後れを取ってしまっています。
今、日本が力を入れている蓄電池、中でも全個体電池なども、そうした結果にならないように願うところです。

政府主導の事業も、膨大なカネをかけて失敗に終わるものが多いようです。代表は逐一アメリカに報告していたという核燃料サイクルの、「もんじゅ」です。日本では打ち切り、で、今度はアメリカの同様プロジェクトに協力するとのことです。

これは民間ベースですが、国策でもあるはずの、三菱航空機のMRJ ではアメリカが型式証明を出さない事で頓挫です。三菱航空機は解散しました。
政府はしアメリカとどう交渉したのでしょうか。
 
ワクチン開発も後進国レベルに堕ちてしまっていたこともコロナの初期に問題になりました。

結局、ボーイングやファイザーその他から言い値で買うことになっているのではないでしょうか。
こうなってしまう原因は一体何処にあるのでしょうか。

適切な利益を出し、それを新たな投資に回して生産性の向上や新製品の開発に向け、企業を成長させる。そうした企業が多いことで経済が成長する。これが経済成長の原点です。

GDPの分配である利益、国民経済計算では「営業余剰」を、無駄なく有効に活用して初めて成長が可能になります。最近サプライチェーンの問題もあり、国内投資指向の動きもあります。利益→投資の流れが適切に出来ているか、再検討も重要でしょう。

関連して重要なのは、こうした経済主体(生産者、消費者)の動きを、税制などで、コントロールする政府の役割です。次回はその点について見ていきたいと思います。

成長と分配の好循環:再論 2、分配の中身の問題

2022年06月03日 15時12分05秒 | 経済
前回は成長と分配の基本について見てきました。
賃金と利益の分配(労働分配率と資本分配率)
消費と投資の分配(GDPの支出面:所得分配の結果)と分けて見たた場合、賃金や消費でみんな使ってしまわないで、利益や投資の分を増やせばそれだけ成長が高くなるという事でした。

基本は、米や麦の収穫のうち、今年の食用と来年への種籾をどう分けるかという事です。
今回は、食用と種籾に分けたその中身の問題です。種籾を多く残せば、来年の収量は増え、その分、来年の食用も増え、再来年の種籾も増やせます。来年再来年とより豊かになるのが経済成長です

という事で、ここで言う今年の食用とは経済全体では賃金や消費です。国民経済計算でいれば、雇用者報酬の中身で、その分け方の問題です。(種籾は経営では利益であり、経済では貯蓄=投資で、この分は次回に取り上げようと思います)

まず賃金、雇用者報酬について見ますと、ここで問題になるのは、 格差社会との関係です。
年間何億円、何十億円の所得の人は、贅沢をしても、そんなに使い切れません。年間200万円の収入の家庭では、消費を増やしたくても増やせません。

つまり格差社会では、消費に回るはずの金が使い残される可能性が高いのです。
今の日本でいえば、格差社会化で、使い切れない人と、所得が少なく必要な消費が出来ない家庭が増えて、日本全体として消費不足になります。

皆様ご承知のように、いま日本経済不振の最大の理由は「消費不足」です。アベノミクスでこれがひどくなりました。
格差社会は、どうしても経済が消費不足になり、経済成長にブレーキをかけてしまうことになります。

所得分配の格差をなるべく小さくして、消費が増えれば、この問題は解決するのですが、いま世界の情勢は、アメリカ流能力主義が全盛で、日本のそれに倣っているようです。
先ず、この分配の中身の問題、「格差社会化」を直さないと、分配が成長に繋がりません。

実は、日本の場合、もう一つ深刻な問題が在ります。
それは、日本人の真面目さからくるものです。国民性ということもあるのでしょうか、賃金が少なければ、ローンを平気で使う、家があればそれを担保に借金して贅沢をする。といったお国柄などもあるようですが、日本人は真面目です。少ない賃金の中からでも一生懸命貯金をして将来に備えます。

一生懸命貯金すれば、消費はその分少なくなります。「貯金貧乏」で銀行預金はあるが、生活は貧しいという家庭は多いでしょう。

こうなった理由は、政府が少子高齢化を過剰に喧伝し、国民に将来(老後)不安を煽るからでしょう。

人口の減少や労働力人口の減少は、せいぜい年0.5程度ですから、経済成長が1.5%~2%あれば、1人当たりの豊かさは年々2~2.5%増え、先行きが明るくなれば出生率も上がるというのがフランスやスウェーデンの経験です。

政府の責任は、こうした明るい展望を国民が持つように心掛け、それを実現する政策をしっかり取っていくことでしょう。今の日本にはそれが欠如しているようです。

以上、今回は賃金や雇用者報酬(経済学でいう労働分配)の分配の中身の在り方と経済成長の関係について主要な点を見てきました。
これでは成長しないはずだという点が見えてくるのではないでしょうか。
<蛇足>
今朝の新聞に、元総理の安倍さんが元担当副大臣の越智さんに「アベノミクスを否定するのか」と電話で怒鳴ったという記事がありましたが、このレベルの認識で日本経済の問題が解決するものではないでしょう。

成長と分配の好循環:再論 1

2022年06月02日 16時01分20秒 | 経済
前回、岸田政権の経済ビジョンが、何かアベノミクスに似て来たようだという事を書きました。

8年ほど前、鳴り物入りで登場したアベノミクスも、結局はゼロ成長時代を続けただけ、という事に終わったことを考えれば、新しい資本主義、成長と分配の好循環を掲げた岸田構想も、その先行きが心配になって来てしまうのでは、日本経済も救いがないことになりそうです。

その原因としては、安倍さんがまだ院政を振るっていることもありそうですし、何よりも、政権の構想を肉付けする役割を担う関係省庁のスタッフの能力不足ではないかというのが心配されるところです。

このブログでもすでに「新しい資本主義に命を吹き込め」、「成長と分配の好循環」:4つの課題」で、指摘しましたように、こうしたスローガンの具体化のために必要と思われることを指摘して来ました。

しかし残念ながら、それがアベノミクスの踏襲のような姿になって来るのではないかと懸念されるような状況になって来そうという事ですから、改めて此処で岸田政権の経済政策の「核心」ともいうべき「成長と分配の好循環」について、あるべき方向の再論をする次第です。

成長と循環の関係について、鶏と卵の関係など言っていたのでは何の進歩もありません。
成長の役割は、分配を増やす源泉だという事です。分配はその在り方(企業では労使の分配、国民経済では消費と投資の分配)で、これは将来の成長を決める重要な要因です。

勿論、成長は多様な要因で変動します、農業や漁業では天候や潮の流れで成長は起きたり起きなかったりします。成長があれば、それは、今日の生活を豊かにする消費と、将来のための投資の両方を増加させる可能性を提供します。

問題はどちらにどれだけ分配するかです。今日の生活への分配を大きくすると、キリギリス型になり、冬になると蟻のところに物乞いに行くことになります(イソップ童話)。
現在をつつましくして、将来のために資本として蓄積しますと成長が高まる可能性が大きくなります(経済成長率が高い国は、労働分配率が低い)。

中世の時代は、何100年も成長のない時代が続きました。豊作の時もあったはずです。しかしそういう年は王様も領民も、楽しんで、翌年はまた例年と同じことを繰り返すだけだったのでしょう。

近世になって、蒸気機関をはじめ技術革新が起き、資本を蓄積して技術革新に乗れば、会社も経済の成長することが解り、資本家が生まれて、労働者を搾取し、資本への分配を増やせばもっと成長出来ると考えました。

しかしその結果は、一方では労働者の不満が社会主義、共産主義思想を生み、革命に繋がり、もう一方では生産は増えても消費が伸びず、需要が増えないので世界不況が起きるというのが現実ですた。

こうした歴史の経験は、分配が適切でないと、経済はSDGs(持続的成長目標)を達成できないということを示しています。

ここまでは基本的な成長と分配の関係についてです。
これだけ見ても、いま日本に必要なのは「適切な」成長政策と分配政策の組み合わせを、どう考えるのが良いかという問題への視点がかなり見えてきます。
つまり、常に分配を適切に考えないと成長のチャンスがあっても成長につながらないという事です。

現在の日本経済の場合は、もう少し複雑な面もありますので、その点も含めて次回に続けます。

岸田構想、アベノミクス化の様相

2022年06月01日 16時58分10秒 | 経済
新しい資本主義、成長と分配の好循環で分厚い中間層を復活させようといった「これは何かありそうだ」と感じられる岸田構想が打ち出され、これで低迷ばかりのアベノミクスから抜け出せるかと国民に期待感を持たせた岸田内閣です。

その誠実な態度、物言いから支持率も上がって来ている岸田内閣ですが、この所の動きを見ていますと、なにか次第に精彩を欠いて来ているように思われます。

政府の経済政策の根幹をなす財政の問題について、5月31日の経済財政諮問会議の動きを見ますと、結局財政再建を目標に掲げる岸田構想は消え、財政再建は目標だが、2025年に基礎収支の均衡といった具体的目標はなくなったようです。

補正予算でも予備費が増え、アベノミクスがやってきた財政で景気を支えるという形に変えるようです。
アベノミクスの3本の矢、円安の実現、財政の出動、民間活力、の現在をみますと、円安は「悪い円安」になり、財政出動は突出して世界トップクラスの財政累積赤字の国となりましたが、それらはまったく民間活力につながっていないのです。

その結果は、相変わらずのゼロ成長の近傍を上下するだけの日本経済という現状となっている事はご承知の通りです。

結局、岸田構想も、アベノミクスの失態の二の舞になるのであれば、一体政権交代は何だったのか、何が変わるのか、と改めて問わねばなりません。

そうなっていく理由が何処にあるのか、やっぱり自民党は安倍一強が続いているのかという、自民党内の政治勢力の状況によるのか、それとも、「新しい資本主義」、「成長と分配の好循環」という岸田構想に中身が追い付いてこなかったからなのか、改めて原因は何処にあるのかという事になるのでしょう。

この原因については、マスコミ報道などから、また結果の状況から判断すれば、その両方の相乗効果という事のように感じられます。

もう少しはっきり言えば、「新しい資本主義」、「成長と分配の好循環」は素晴らしくいい発想ですし、これらに良い肉づけが出来れば、「アベノミクスって一体なんだったの」と国民が振り返って呆れるような、よい経済社会政策になる可能性があった(今でもある)はずのものでしょう。

残念ながら、政策スタッフに、こうした岸田構想を現実の政策に展開するための広汎の知識、内容の本格的な洞察や理解、具体策につなげる知恵と技術と能力などが大きく不足していたという事になるのではないかと思われます。

この30年の長期経済不振の中で、政治家は勿論、経済官僚も、ダイナミックな経済活動の適切な理解や国を経営するという経営学のノーハウを積み上げるチャンスを持てなかったのかと思われてなりません。

その結果、実体経済を健全なものに作り変えるはずの岸田構想に対しては、中身が解らない、中身がないのではないかといった批判が生まれて来ているようです。

総理も、何かないか考えられた結果、2000兆円の個人貯蓄の大半を占める貯蓄を投資に振り向ける「貯蓄から投資へ」という意見を取り上げ、「資産倍増計画」といった誤解を生むメッセージを拾ってしまったのではないでしょうか。

ロンドンのシティーでの「岸田に投資を」は、日本人として些か恥ずかしく感じました。
高度成長期なら兎も角、30年も成長しない日本に投資する事には大変勇気がいります。

正直言って、NISAやiDeCoで資産が増えても、それは本当の豊かさではありません。岸田構想の中の「成長と分配の好循環」で、実体経済が成長拡大し、その結果個人所得も個人資産が増えるというのが、本来の所得・資産倍増計画の在り方でしょう。

経済成長しない国で所得・資産倍増などを考えれば、その結果は多分、格差社会化の促進になって、結果はさらに悪くなるのではないでしょうか。