tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

核兵器禁止条約と日本

2022年06月23日 22時51分36秒 | 国際政治
核兵器を持たない国の思いを集めた核兵器禁止条約第1回締約国会議が昨日終わりました。

批准国50か国で第1回会合という目標が達成され(批准国65か国、署名86か国)、オブザーバー国も含めて開かれた第1回の会合です。

核兵器を保有しない国が描く、核兵器のない人類社会への具体的な道を検討するという意味で、今後ますます重要な意味を持つものになるのではないでしょうか。

日本は核兵器を持たない国です。非核3原則も持っています。しかし、残念ながら、今回の会議にはオブザーバー参加もしない国になり、世界中から広島、長崎の経験を持つのに参加しないのは残念という声があったようです。

しかし同時に、核兵器禁止踏み切れないという意味で、残念という声と共に、一抹の不信感を持たれる立場になったような気がします。

今、世界では、核兵器を持つ国と核兵器は持たないが核兵器を持つ国の傘に入っている国と、核兵器を持たない国の大きく3種の国があるのではないでしょうか。

こうした状況の中で、いわゆる核の抑止力という観点から、現実に核兵器が使用されることはないだろうという考え方が、如何なる役割を果たしているかという問題は極めて微妙なものになってきています。

核保有国が、核兵器は持っているが、他に先んじて使う事はないだろうというのが核の抑止力という考え方の根底にあるものでしょうが、ロシアが今回のウクライナ侵攻の中で、率先使用をも感じさせるような発言をするという現実が出てきました。

これが、単なる脅しなのか、それともプーチンが土壇場になれば現実になるのか、それは今のプーチン自身にすら解らない問題なのかもしれません。
本当は、プーチンに、核兵器は絶対に使うべきでないと考えさせることが必要なのでしょう。(もしプーチンがロシア正教を信じるのであれば「神との契約において」です)

現実の国際情勢が、こうした予測不能な状態にあるのであれば、今人類社会がしなければならないことは何なのでしょうか。

冷静に考えてみれば、かもしれないという事が現実になる可能性を計算に入れつつも、人類社会全体が、そういう事は起きないという信念に向けて行動する以外にはないのではないでしょうか。

幸なことに、世界で唯一の核戦争被爆国の日本は、恨みつらみをいつまでも残す国ではなく、より良い将来に向かう未来志向の考え方に切り替える事のできる国民の国です。
アメリカの原爆投下に関しては、世紀の和解が成立している国なのです(これは稀有の事かもしれません)。

今人類にとって必要なことは、先ず、核兵器は、例え持っても、人間はそれを使う事はないという原則、信念を、すべての人間が確りと持つことではないでしょうか。
全てはそこから始まるように思う所です。もちろん終着駅は核廃絶です。

核兵器が人類に与える、人類社会にあるまじき現実を体験し、そこから再出発している日本の果たすべき役割は大変大きいような気がします。