tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「力による現状変更は認められない」を現実に

2022年06月09日 15時12分50秒 | 国際経済

ロシアのウクライナ侵攻問題で、最近よく目にする言葉に「力による現状変更は認められない」があります。

ざっと見てみましても、この通りの言葉が国際法にも国連憲章にも書いてあるわけではないようです。

しかしこの言葉は、今や世界の「まともな」国では多分ほとんど例外なく受け入れられているのではないでしょうか。

今現実にこの言葉を認めない国はロシアであり、また、認めない事を実証しそうな国は中国という事になっているようですが、この2国は国連の常任理事国5か国のうちの2国で、国連の常任理事国は拒否権を持っているので、この言葉を正式なものにしようとしても多分できないでしょう。

という事になると、やっぱりこの二国に「それが良い事なのだ」と思ってもらったうえで、この言葉を世界共通のルールとして正式なものにして、今後そうしたとたらブルが起きないようにするしかないのでしょう。
 
ところで、以前にもちょっと書きましたが、ロシアが、というよりプーチンが(世の中は変わっているのに)昔のようにユーラシア大陸の東半分の「皇帝」になりたくて、隣の国の領土をガリガリ齧るようなことをするより、巨大な資源大国として、世界と自由に交易し、平和で裕福な経済大国として繁栄と発展をした方がよほどいいと気づけば、世界は大きく変わるでしょう。

中国も、生産力、技術開発力を活用して好調な経済成長を続け、香港を一国二制度で経済面で大いに活用し、台湾とは同文同種の友好関係で、相互の公益・投資関係を活発にした方が、台湾経済を破壊するより余程順調な発展が可能と理解すれば、インド太平洋は平和と繁栄の海となって、世界は経済的にも社会的にも安定するでしょう。

こういう考え方は、日本では、既に大正時代に石橋湛山が日本について的確に主張していたものです(小日本論)。日本の軍部はそれが解らず、太平洋戦争に突っ込んで、その結果、日本は一度廃墟になりました。
そして戦後まさに小日本国になって、経済的には大成功をおさめています。

こんな経験を持つ日本は、非合理的な思考や行動が蔓延する現在の国際舞台で、「本当に人類が望むのはこういう世界ではないでしょうか」と、一貫して経験に則った発言をして行く役割を担うべきではないでしょうか。

新しい東西対立のはざまで、自らの経験をベースに世界の平和と安定に貢献することも無く、徒に国内の些事に右往左往するのでは、あまりに情けないような気がするのですが、戦後、世界経済の発展をリードした時代の日本人の気概は、今はもう失われてしまったのでしょうか。

何か大変勿体ないような気がするのですが、これも世の移り変わりと諦めてしまっていて良いのでしょうか。