tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新型コロナ禍で経済はどうなるのか

2020年04月08日 22時47分20秒 | 経済
新型コロナ禍で経済はどうなるのか
 新型コロナ禍で経済の行方、端的に言えば経済の落ち込みが心配されています。さまざまな経済活動の現場で働いている人たちは勿論、経済運営に責任を持つ政府や中央銀行も大変でしょう。

 トランプさんはすでに2兆ドル超の追加予算を組み、今日はさらに25億ドルを所得保障のために追加支出することを議会に要請しました。
 安倍さんは「事業規模」108兆円の経済対策を表明しました。

 しかし一方では、「3密」を避けなければなりませんから、出来るだけ家にいてくださいという要請をしなければなりません。
 多くの人が家にいれば、消費活動は大幅に縮小するでしょう、旅行、エンタメ、スポーツ、集会、飲み会すべて自粛となって家にいるだけですから、消費は基礎的な衣食住だけ、衣にはほとんどカネをかけない、という事になります。

 国を人に例えれば、国が病人になったという事です。外出は勿論、酒もたばこもゴルフもやめて、必要なのは薬と安静ですから生活の経済規模は大幅に縮小です。
 GDPでいえば、何%の減少ではなく何割の減少という事になるのでしょう。そういう状態が1年のうち、何か月も続けば、年間のGDPは、1割ぐらいは容易に下がりう可能性が出てきます。

 病気の時一番かかるのは薬代でしょう。新型コロナ禍でいえば、効果的な薬品、ワクチンの開発でしょう。これに一番カネをかけるのが最も大事でしょう。

 第2の問題は、消費構造が全く変わりますから、業種、職種によって、仕事の量がガラリと変わり(多くは減少)、結果、所得(GDPの分配)の減少に大きな差が出来ることでしょう。
 例えば、同じ飲食店でも、店に客は来ませんが、出前専門のところは、かえって売り上げが伸びるかもしれません。

 外出禁止を要請して政府には、それなら所得の保証をせよという要求が出て、政府は1所帯30万円とか、一社につき200万円とか現金支給といった政策を講じることになります。

 しかし、そうした給付の金額が適切か、支給を公正・公平にできるかというと、当然限界があります。それなら、無利子融資にするという事も現実的な措置です。
 大事なことはこうした多様な給付をできるだけ巧く組み合わせて、病気の間は経済活動が大きく落ち込んでも経済破綻するケースをできるだけ減らすことでしょう。

 第3に重要なことは、新型コロナ禍が終息に向かった時、経済活動の立ち直りをいかに早くスムーズにできるように、安静にしている中でも確り体の各部をメンテしておくことでしょう。

 今、日本ではインフラは出来るだけ正常に保っていこうという政策をとっていますが、これは、だれがどこで決めたか知りませんが、大変大事だと評価出来るのではないでしょうか。

 新型コロナ禍という国単位の病気が、いつまで続くかは誰にも解りません。しかし、必ず回復期は来ます。その時、社会構造(人体の構成)の中に、壊れてしまって健全な活動に支障が出ることが最小になるよう、必要な人材や組織を、出来るだけ破綻させてしまわないような努力を、官は官として、民は民として、十分な理解と連携を維持しつつ協力してやることでしょう。

 おそらく、この世界的混乱が収まった時、日本のパフォーマンスは結果的にみて大変よかったということになるのではないかという予感をtnlaboとしては持っていますが、単なる身びいきでしょうか。 
 その予感の根拠については、また何時か書く機会があればと思っています。

ますます重要になる家計消費指標

2020年04月07日 12時17分57秒 | 経済
ますます重要になる家計消費指標
 新型コロナの猛威は容易には収まらないようです。非常事態宣言で三つの「密」がより厳密に規制されますと、街は静かになり、家計の消費支出も「ひっそり」になるでしょう。家計で消費が増えるのは「マスク」「消毒用アルコール・手洗用洗剤」「水道使用量」ぐらいでしょうか。

 消費がなければ生産も販売も増えません。消費落ち込みは経済の落ち込みに直結です。政府は、経済活動の落ち込みを防ごうと、事業規模100兆円超の政策を打つとのことです。

 しかし、経済もコロナには勝てませんから、コロナが収ますまでは経済は落ち込むでしょう。しかしそれは致し方ないことで、早くこの異常事態を終息させるために、身を縮め、活動の範囲を小さくして、人類が新型コロナウィルスに太刀打ちができるようになるまで、我慢するしかないのでしょう。

 積極的に我慢して感染の蔓延を防ぎ、早期にワクチンや効果的な薬品を開発して、この難関を克服するために頑張りましょう。

 そのためにその期間経済が低迷することは致し方ないことです。適切に身を縮め、無駄を省いて、新型コロナ後の経済の復元、活発化に備えるべきでしょう。

 このブログでは、これまで、アベノミクスノ中で、なぜか経済成長が遅々としたものになってしまっているのかという問題を。家計消費の側面から見ていこうと「家計調査」の「平均消費性向」をずっと追ってきました。
 どの時点でそれが下降から上向きに変わる転機が来るのか、消費需要の回復が成長経済への鍵になるとみているからです。

 しかし、その望みは、新型コロナウィルスによって、当分絶たれました。しかし、いつかは、それが回復し、経済成長も正常な状態に戻ることを期待しなければなりません。
 その日を目指して、当分続くと思われる、家計消費の異常(おそらく低迷)状態を、これからも、毎月確り観測し状況を分析していきたいと思います。

 前置きが長くなってしまいましたので、3日発表の消費動向調査と今日発表の家計調査から、関連する重要数字を拾っておきたいと思います。
 
消費動向調査の消費者態度指数は、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目について「良い」、「悪い」の5段階評価した回答の集計結果で、消費者の自分の家計についての意識調査です。集計・発表は早く毎月初めには前月の結果が出ます。
 マスコミでも取り上げたように、2月まではだらだら下がってきた消費者態度指数が3月はがっくり下がりました。
 前月比(季節調整値)1月マイナス0.2、2月マイナス0.5が3月マイナス7.4という落ち込みです。

 この落ち込みは当然、家計調査(2月分)の平均消費性向には未だ反映されていません。
 2月の家計調査を見てみますと、2人以上勤労者所帯の平均消費性向は67.4%(残りの32.6%は貯蓄)で前年同月の69.4%に比べて2.0ポイントの低下です。

 平均消費性向は、昨年10月の消費増税による消費の反動減から回復途上でしたが、今年1月の数字が、前月指摘しましたように異常に不振で、2月も何かそれを引きずったままといった感じです。

 3月の消費動向調査の落ち込みは来月発表の家計調査の「平均消費性向」に反映されることになるのでしょう。
これから、どんなことになっていくのか、上述のような視点から、確り見ていきたいと思っています。

原種のチューリップの配色にびっくり

2020年04月05日 18時17分47秒 | 環境
原種のチューリップの配色にびっくり
 昨年は4月の14日に 、我が家の原種の-リップが咲いたことを報告しましたが、今年は、もう3日ほど前から咲いています。

 ずっと以前に家内が友達の家からもらってきて玄関わきのハナミズキの下のところをレンガで囲って植えていたものです。
写真のように原種のチューリップの葉はニラの葉のように細いもので、白っぽい緑です。
  
 今年は春先からレンガの囲いからはみ出す勢いで葉が伸びてきて、これは沢山咲くのかなと思っていましたら、結局咲いた花は4輪でした。
今の改良した品種は一球に必ず1つは花をつけますが、原種はそうはいきません。

 それでも花が綺麗に咲きましたから写真を撮りましたが、一昨日は風が強く、伸びすぎ茎は倒れてしまっていました。
 何とか、支えをして写真を撮りました。お陰で、気が付いたのですが、このチューリップの花弁は、蘂の周りが濃い紫色で、その先は、写真のように真っ白な花弁になっていると思っていました。

 ところが、倒れた花を起こそうとして気が付いたのは、花弁の裏側、蕾の時は外側になるのですが、6弁のうち外側の3弁に深紅の幅広い帯があるという事です。

 そういえば蕾の時は赤い筋が入った花かと思っていたのを思い出しました。
 気が付いて改めてびっくりしたのですが、チューリップの花弁の表と裏が色違いなのです。

 チューリップの歌では
「咲いた、咲いたチューリップの花が、並んだ、並んだ、赤、白、黄色 ・・・」
となっているわけで、花弁は花それぞれに同じ色だと思っていましたが、原種は違っていました。

 原種にも何十種類もあるようですが、改良種でも、こんなのがあると面白のかななどと思いました。

新型コロナウィルスとマスク狂騒曲

2020年04月04日 15時52分11秒 | 文化社会
新型コロナウィルスとマスク狂騒曲
 新型コロナウィルスのお陰で、世の中はマスク、マスクの声に満ち満ちていますが、我が家では今の所マスク・パニックはありません。

 勿論外出は控えていますし、後期高齢者ですから、定期的に医者に行く、その時もなるべく2か所の医者はハシゴで済ます、薬も帰り道の処方箋薬局、ついでにコンビニと纏めて外出の機会を減らします。 食料品、日用品の調達は週1回の買い出しと、在宅ですむ共同購入です。(それ以外に外出がないわけではありませんが)

 そんな具合で外出は出来るだけ少なくしているので、マスクもそう頻繁に使うわけではありません。しかし 先日も書きましたように 、在庫はいくらもありませんから、使い捨てにすれば忽ちなくなります。

 人に聞けば、行列をして買うのだと言いますし、総理大臣が、全国の全所帯にマスクを2枚づつ配ることを国策として決定する国に住んでいるわけですから、本来ならマスクパニックに巻き込まれて当然です。

 そんな中で私がやっているのは、マスクは大切ですから無駄にしないこと、使い捨てなどはとんでもないという考え方に立つ方法です。
 ではどうしているかといいますと、答えは簡単で、マスクはワイシャツと同じだと考える事です。

 ワイシャツは、クリーニングに出しますが、今は、マスクの方が大事ですから、外出から帰ると、大切なマスクは。ます中性洗剤を入れたお湯か水につけておきます。そして形が崩れないように丁寧に洗います。よくゆすいで、陰干しにします。本当は直射日光に当てるように干した方がいいのかもしれませんが、外に干すと埃がつくのが気になります。
 そして熱めの温度で、アイロンをかけます。不織布のマスクは新品と同じようになります。外出機会も多くないので、現状は2枚のマスクで間に合っています。

 ところで、新型コロナウィルスについては、解らないころがいっぱいあります。手やマスクについたウィルスは、洗えば落ちますが、コートや髪の毛についたウィルスはどのくらい生きているのでしょうか。

 アメリカの専門機関や大学の共同研究チームの研究によれば、ステンレスやポリプロピレンに付着した新型コロナウィルスは72時間も生きているとのことです。飛沫の付着したコートや汚れた手を突っ込んだポケットの中、そして髪の毛から枕に移住したウィルスが、更なる感染源になることはないのでしょうか。

 不織布製と布製のマスクではウィルスの透過力が全く違うという事ですが、総理はなぜ、布製をしているのでしょうか。さらにはマスクをしても効果はほとんどないといった研究もあるとのことですが、本当はどうなのでしょうか。

 最後におかしいなと思うのは、このマスクパニックの中で、私でも思いつくような、マスクのクリーニング・再利用の話が全くないのは、何故かです。
 そう考えてくると、私が、素人の判断で、とんだ間違ったことをやっているのではないかという疑念が付きまといます。
 
 今のところまだ感染していないからいいのですが、やっぱり本当のところを知りたいという気が、ますます強くなってきます。


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今こそ日本型雇用の知恵に学ぶべき(続き)

2020年04月03日 15時40分16秒 | 労働
今こそ日本型雇用の知恵に学ぶべき(続き)
 戦後の日本の雇用は、深刻な失業時代から出発しました。
 全国の主要都市はほとんど灰燼に帰し、軍需工場を中心に生産設備は破壊し尽くされていました。都市機能はマヒ、多くの国民は飢餓の中で帰農、土地を持たなくても食料のある農村へ空襲を避けての疎開のままでした。(我が家もまさにそうでした)

 そこに外地からの大量の帰還兵、引揚者が戻って来ました。もともと国内の企業で働いていた方々ですが、徴兵その他で戦地に展開し、終戦とともに帰国した人達です。
 もちろん、元働いていた工場などは壊滅です。

 日本の企業は、こうした人たちの復職を何とか面倒見るべく努力したのです。戦後の混乱の中で、元わが社の従業員をはじめ「安定した雇用の確保」が人心の安定、社会の安定のために最も必要という意識が、基本だったと思います。

 更に、戦後の民主化運動の流れもあり、過激な労働組合運動への対応という指摘もありますが、そうした中で、日本の経営者は、 職員・工員などの身分制度をなくし、全従業員を「社員」として一本化したのです。

 日本経営者団体連盟「日経連」を、戦後の創立からオイルショックの時期までリードした桜田武(日清紡社長・会長)が誇りとしていたことはすでに書きました。
 
 今、非正規社員が雇用者の4割近くを占め、新型コロナ化の中で、多くが初l区を失う中で考えるのは、家計を支える主たる働き手で、正規社員として働きたい人が、「社員(正社員)」としての身分を保証されていれば、社会の安定に大きく役立っているのではないかと考えるところです。

 勿論、経営に非常事態においても、正社員の雇用を確保することは企業にとっては大変なことでしょう。しかし、日本企業は、戦後その努力を労使の責任意識でやって来ています。

 それが崩れたのは、プラザ合意と、リーマン・ショックへの緊急避難、それを政策として進めた政府の雇用政策の結果という事でしょう。
 企業の一部には、正社員化の復元もみられますが、政府は新たな「働き方改革」で雇用の流動化という真逆な政策を推し進めているという現状は極めて問題でしょう。

 今は昔と違い豊かな時代ですから、自由な働き方を望む方も多くなっています。現実に雇用者の2割ぐらいはそうした方がたでしょうか。
 しかし家計を担い、責任を持つ立場の方は企業として正社員として、積極的に雇用安定の努力をするというのが伝統的な日本型雇用管理だったと言えるでしょう。

 経営者も、そうしたっ社会貢献の努力に誇りを持ち、労働組合も、雇用の安定を第一義と考える労使共通の意識が日本経済社会の安定を、政府に頼るだけではなく率先して支え、「労使は社会の安定帯」といわれる労使関係を作ってきたのだと思います。

 今日のニュースでは、アメリカでは今1千万人が雇用を求め、失業率は過去最低水準の3%台から10%を超えるのではないかという状態だそうです。

 何もかも政府に頼るというシステムは、政府の顔は立てますが、結局は政府の無駄も含めて、国民負担になるのです。

 日本型雇用システムは、いわば「治にいて乱を忘れず」の識見を持ち、社会の安定を担う民間の能力を高める知恵を秘めていたのでしょう。

 今の状態は、平成不況の中で、政府も企業も、かつて試練の中で培った日本型雇用の知恵を忘れ、単純に欧米並みを善しとするところから発する部分も大きいということに、改めて気づくべきではないでしょうか。

今こそ日本型雇用の知恵に学ぶべき

2020年04月02日 16時07分58秒 | 労働
今こそ日本型雇用の知恵に学ぶべき
 新型コロナウィルスの猛威が続いています。これから本格的に、実体経済への影響が出て来るのではないでしょうか。

 そのとき何が起きるかは想像に難くありません。最も恐ろしいのは「雇用の削減」が現実になることでしょう。

 雇用は経済活動が活発になるとき発生します。経済活動は人が活発に動き回り、集まり、そこに多様な需要が発生する時、種々の財やサービスが必要となることでその必要(需要)を賄うために活発化するのです。

 新型コロナの影響で、外出や集会が制限され、多くの人が家に籠れば、多様な需要は減り、企業は顧客を失い、売り上げは減少、企業の人を雇用する力は失われます。
 今、それが現実になるつつあり、それがいつまで続くのか先が見えていません。

起きているのは、まず非正規雇用の削減です。同様フリーランサー(自営業)も真っ先に痛手を受けます。
比較的に、守られているのは、公務員(非正規は別)、企業の正規従業員という事になります。
しかし、この新型コロナ禍がさらに長引けば、余裕の少ない企業から正規従業員の削減も当然起きて来るでしょう。(公務員は、原則、懲戒解雇以外はないようですから最も安全です)

 すでに非常事態となりつつある欧米諸国では、日本でいう非正規が一般的で、雇用の削減も比較的容易ですから、そうした失職者に対しての対策が喫緊の課題になり、自宅待機でも相当額に現金給付といった緊急対策に巨額の予算を計上する事態になっています。

 アメリカ政府は、新型コロナ禍に対して2兆ドル(日本の国家予算の2年分)の支出を決めましたし、デンマークではこの対策にGDPの13%を使うとのことです。
 アメリカの2兆ドルは、もともと赤字国ですから借金の増加になるのでしょうし、デンマークの政府負担も、いずれ国民負担の増加で賄われるのでしょう。

 もちろん新型コロナ禍のような異常事態は、最終的には政府の責任で対処しなければならない問題ですが、現実の雇用問題という場になりますと、雇用主である企業も、相応の役割を果たすべきで、恐らくそれが社会の安定に大きな役割を果たすのではないかと思われます。

現状も含め、常に社会の安定の基盤として必要な「雇用の安定」として考えれば、労使、特に経営者(雇用主)の果たす役割が何時の時代も大変重要ではないかと思う所です。

 今回の場合も政府から雇用調整助成金の活用方針が出されています。この財源は、雇用保険料(労使折半)に上乗せして企業だけが一定料率で支払っているものです。

 こうしたものも、経営者が雇用について出来るだけの配慮をするといった日本的な雇用観から生まれたものと思いますが、あるべき雇用制度、雇用慣行といった点についても、戦後の日本の経営者は、「雇用が第一義」とう言葉のもとに、独特の知恵を働かせてきたように思います。

 今、働き方改革の中で、政府はこうした歴史はすっかり忘れて「雇用流動化」こそが目指すべき方向と考えているようですが、今日のような「雇用非常事態」の中で、改めて、戦後の日本の経営者が目指した「日本的雇用の在り方」の知恵を学んでもいいのではないと思う所です。長くなるので、以下次回にします。

日銀短観(2020年3月調査)瞥見

2020年04月01日 23時40分12秒 | 経済
日銀短観(2020年3月調査)瞥見
 今日、今年3月時点の日銀の「全国日銀短期経済観測」、通称「短観」が発表されました。

 すでにニュースなどで、「宿泊・飲食サービス」マイナス59などという衝撃的な数字が報道されていますが、新型コロナウィルスが人類を襲うという異常な状態の中での数字ですから、まともな経済現象ではありません。数字も異常です。

 今回の数字は、経済分析という立場から見るといったものではなく、この危機的状況が経済のどの部分にどんな影響を与えているか、各業種の企業は今後をどう見ているかといった現状認識としてみるべきものという事でしょうか。

 昨年の今日、このブログでは昨年3月時点の「短観」を取り上げています。タイトルは「上期は下押し、下期は強気」でした。
 しかし実体経済は下期にかけても下降気味で、期待された消費需要は低迷のままでした。
 そこへ、今年に入ってからの新型コロナです。

 ここでの数字はすべてDI(良いという企業の割合から悪いという企業の割合を引いた数字)で、最近と先行き(3か月程度)が示されています。

 企業規模別の数字を見ますと
製造業で、大企業-8、中堅企業-8、中小企業-15で中小企業の悪さが目立ちます。
非製造業では、大企業8、中堅企業0、中小企業-1で些か楽観的です。
ただ、最近といっても調査したのは3月初めでしょうから、その後の新型コロナ禍の深刻化を考えれば、例えば今日時点では一層の悪化でしょう。

業種別には製造業では、造船重機-29、非鉄金属-26、金属製品-19、自動車と繊維-17、鉄鋼-15などが目立ちます(これは大企業で中堅・中小はさらに悪い)。
なかでプラスなのは、紙パルプと食料品だけです(象徴的ですね)。

非製造業では、建設、不動産、リース、通信、情報サービスなど大幅プラスの回答もありますが、上記の「宿泊・飲食サービス」の-59がまず影響を受けたようです(これらも大企業で、「宿泊・飲食サービス」の中堅企業は-69という酷さです。

先行きについてみますと、押しなべて、さらに悪化という数字で、この時点でも、新型コロナ禍の一層の深刻化を予想する企業が多いことを示しています。

統計は過去の数字ですから、致し方ないことですが、今はまさに非常時、経済も経営の今後の見通しは、「新型コロナ禍」が一体何時、山を越えることが出来るのかにかかってしまっているというのが本音でしょう。

それにしても、この苦しい中で、期待が集まるのは、まず医薬品業界でしょうか。
画期的新薬やワクチンの開発が期待されるところです。