tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日銀短観(2020年3月調査)瞥見

2020年04月01日 23時40分12秒 | 経済
日銀短観(2020年3月調査)瞥見
 今日、今年3月時点の日銀の「全国日銀短期経済観測」、通称「短観」が発表されました。

 すでにニュースなどで、「宿泊・飲食サービス」マイナス59などという衝撃的な数字が報道されていますが、新型コロナウィルスが人類を襲うという異常な状態の中での数字ですから、まともな経済現象ではありません。数字も異常です。

 今回の数字は、経済分析という立場から見るといったものではなく、この危機的状況が経済のどの部分にどんな影響を与えているか、各業種の企業は今後をどう見ているかといった現状認識としてみるべきものという事でしょうか。

 昨年の今日、このブログでは昨年3月時点の「短観」を取り上げています。タイトルは「上期は下押し、下期は強気」でした。
 しかし実体経済は下期にかけても下降気味で、期待された消費需要は低迷のままでした。
 そこへ、今年に入ってからの新型コロナです。

 ここでの数字はすべてDI(良いという企業の割合から悪いという企業の割合を引いた数字)で、最近と先行き(3か月程度)が示されています。

 企業規模別の数字を見ますと
製造業で、大企業-8、中堅企業-8、中小企業-15で中小企業の悪さが目立ちます。
非製造業では、大企業8、中堅企業0、中小企業-1で些か楽観的です。
ただ、最近といっても調査したのは3月初めでしょうから、その後の新型コロナ禍の深刻化を考えれば、例えば今日時点では一層の悪化でしょう。

業種別には製造業では、造船重機-29、非鉄金属-26、金属製品-19、自動車と繊維-17、鉄鋼-15などが目立ちます(これは大企業で中堅・中小はさらに悪い)。
なかでプラスなのは、紙パルプと食料品だけです(象徴的ですね)。

非製造業では、建設、不動産、リース、通信、情報サービスなど大幅プラスの回答もありますが、上記の「宿泊・飲食サービス」の-59がまず影響を受けたようです(これらも大企業で、「宿泊・飲食サービス」の中堅企業は-69という酷さです。

先行きについてみますと、押しなべて、さらに悪化という数字で、この時点でも、新型コロナ禍の一層の深刻化を予想する企業が多いことを示しています。

統計は過去の数字ですから、致し方ないことですが、今はまさに非常時、経済も経営の今後の見通しは、「新型コロナ禍」が一体何時、山を越えることが出来るのかにかかってしまっているというのが本音でしょう。

それにしても、この苦しい中で、期待が集まるのは、まず医薬品業界でしょうか。
画期的新薬やワクチンの開発が期待されるところです。

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