tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレの原因(その1)

2008年06月11日 14時06分15秒 | 経済
デフレの原因(その1)
 インフレについての日本の経験については割合詳しく触れましたので、今回はデフレの経験についてみて見ましょう。

 デフレは、デフレーション(deflation=収縮)の略で、インフレの反対、物価が全体的、継続的に下がることです。

 失われた10年とか15年とかいわれる1990年代から2000年代の初期にかけて、日本は長期デフレでした。現在でさえ、最新の今年4月の消費者物価指数を見ると、「食料とエネルギーを除く総合」では昨年の4月より0.1パーセント下がっています。上がっているのは輸入インフレ部分で、国内部分はまだデフレ傾向が微かに残っているようです。

 世界の主要国で、この10年20年、デフレだった国はありません。みな多少のインフレです。何故日本だけデフレになったのでしょうか。
 多くの学者はバブルが崩壊して、3つの過剰が生じたからという説明をします。3つの過剰とは、「設備の過剰」、「雇用の過剰」、「債務の過剰」だそうです。債務の過剰はバブルのせいですが、設備や人手の過剰は、設備や人手が増えたからではなく、需要が減った、つまり製品が売れなくなったからです。

 つまり、3つの原因というのは、単なる現象面で、背後にある本当の原因は、国内でも海外でも、日本製品の値段が高くなって競争力を失い、売れなくなったからです。ご記憶の方も多いと思いますが、1990年代、「日本の物価は世界一高い」といわれました。私の持っている当時の日経新聞の切り抜きに「日本、デフレなのに、なお物価高世界一」という見出しがあります。英エコノミスト紙の記事の紹介ですが、これは「デフレなのに世界一」ではなくて、「物価が世界一高いから(グローバリゼーションの国際競争の中で)日本の物価は下がらざるを得ない(デフレにならざるを得ない)」というように読み替えるべきでしょう。

 日本製品は質がいいのですが、あまり高いと売れません。国内でも、衣料品をはじめ、「メードイン・アジア諸国」が普通になって、国産品は苦戦、国内旅行2,3日の代金で、海外旅行なら1週間などというご記憶をお持ちの方も多いと思います。グローバリゼーションの中で、売れるのは輸入品、国内企業は大幅コストトダウン、さもなければ廃業に迫られます。これがデフレ の正体です。

 かつて、「ジャパンアズナンバーワン」といわれたほどパーフォーマンスの良かった日本が、何故、世界一物価高の国になってしまったのでしょうか。もう「理由は先刻承知」という方も居られるでしょう。長くなるので、以下次回にします。


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