tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府と日銀でインフレ率が決まるのか

2012年12月20日 14時14分22秒 | 経済
政府と日銀でインフレ率が決まるのか
 18日、安倍さんは、早速白川さんとの政策協定の話し合いに入りました。もちろん、選挙期間中の「金融緩和」発言が功を奏し、株式市場が急速に活況をとり戻したという実績をさらに確実なものにしようとの思いからで、大変結構なことだと思います。

 おそらく安倍さんとしては「なんだ、こんなに簡単に効果が出るものだったのか」という感じでしょう。確かに驚くほどの効果がありましたね。成功体験は人の気持ちを強くします。

 「こまでは大変巧く行きました」と更なる一歩を踏み出したわけで、これでインフレ目標が1パーセントから、アメリカと同じ2パーセントになれば、もっと良くなるはずだ、国民もみんな喜んでくれるだろうという気持ちだろうと思います。

 政府・日銀の話の内容は解りません。日銀も発言を控えています。しかしこれまでの話の経過から見れば、新政権は、政府と日銀の間で話が付けば、インフレターゲットは何とでもなると思っておられる節があるようにも思われます。

 経済政策という視点から言えば、インフレ率は、財政政策と金融政策で決まるという筋書きになります。今の段階では、まだそれでも結構でしょう。しかし、具体的に、1パーセントか2パーセントとかが問題になるような精密さのインフレを起こそういう事になると、もう少し精緻な理論が必要になると思います。

 それがお分かりの上で、当面今のようなゼスチャーで済ませておられるのかどうかは別として、その辺の問題も先回りをして確り考えておきたいと思います。
 
 第1の問題は、現時点の為替レート、$1=¥84で日本の物価は国際比較して高いのか低いのかです。物価にしても原単位や質の問題もあり、購入者の好みの問題もあり、簡単に国際比較などできるのもではありません。

 しかしそうしたものをすべて総合して「デフレが続く」ようであれば、総合的な物価水準は外国に比べて「高い」と判断すべきでしょう。国際比較で物価が高ければ、国内政策でインフレを起こしても外国から安いものが入って来ますからインフレにはなりません。 
 参考になるのは、プラザ合意を克服して、「いざなぎ越え」が始まった2002年あたりの物価の動きでしょう。十分検討の必要があります。

 第2の問題は、アメリカが簡単に円高の是正を認めるか、国際投機資本はどう反応するかといった問題です。

 アメリカは従来、日本が単独介入などで円高を是正しようとすると、明らかに、不快感を示していました。円高にしておきたい気持ちは見え見えです。日本にアメリカ国債を売らせたくないのも同じ理由でしょう。

 安倍さんは早速訪米しますが、アメリカが何というでしょうか。 当然TPPは絡めてくると思います。 更に第3、第4の問題もあります。