tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

海外展開で解決できるのか

2012年02月13日 10時26分28秒 | 経済
海外展開で解決できるのか
 アメリカは、日本が円高阻止のために「単独介入」に踏み切ったことに不快感を示したという報道がありました。つまりアメリカはもっと円高ドル安にしてほしいということでしょう。1995年の超円高に際し、協調介入に踏み切ってくれた時とは大違いです。

 こうしたアメリカの意向は陰に陽に、国際投機資本の行動にも影響を与えるでしょう。さらなる円高、$1=¥60~50を予想する人も多いですね。
 予想は結構ですが、$1=¥75を切り上げるような円高で日本はまともにやっていけるのか、真剣に考えてほしいものです。

 トヨタは国内300万台の生産は死守したいと、言ってくれていますが、多くの企業は雪崩を打って海外シフトを考えているようです。貿易収支の赤字化傾向は進み、経常黒字は投資収益頼みになりつつあります。

 海外に工場進出して儲かれば、それでもいいという意見もありましょう。企業収益としてはそれでもいいかもしれませんが、日本経済と雇用、賃金、国内の社会問題を考えた時、それでは、問題解決にならないことは明らかだと思います。

 投資収益と付加価値の問題を考えてみればそれは明らかです。日本人は投資収益で食べているのではりません、付加価値で生きているのです。それはこういうことです。

 一億円のお金があった場合、それを外国債券に投資して2パーセントに回れば年200万円の収入です。これで人一人、1年何とか暮らせるかもしれません。
 一方、その1億円でパン屋をやって、家族3人で働き、1年たって利益がやっと50万円でたとします。国民経済にとってどちらがいいのでしょうか。

 お分かりと思いますが、パン屋の方がずっといいのです。パン屋の場合には50万円の利益のほかに、家族3人の生活費(多分1000万円ぐらいの付加価値)を生み出しているからです。日本経済にとっては収益ではなく、雇用と賃金の源である付加価値(GDP)が大事なのです。

 円高は、企業の海外移転により、この大事な付加価値を海外で発生させ、利益の一部だけを国内に持ってくるという経済のあり方を促進するわけです。
 これでは就職氷河期は続き、賃金は下がり続け、就職できても非正規ばかりが増える、事になります。これを促進するのが円高です。
 アメリカが日本の円高阻止の努力に不快感を示すという意識の底に何があるのかが問題です。


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