tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

社会保障の負担は誰がすべきか

2012年12月07日 16時30分51秒 | 経済
社会保障の負担は誰がすべきか
 消費税増税問題も絡んで、年金、医療、介護などの社会保障、特に年金を誰がどう負担するのかが論議されています。しかし、残念ながら、負担の本質問題、核心に迫る問題についての論議は、あまり聞かれません。ほとんど国債発行との表面的な関係止まりのテクニカルな話ばかりです。

 殆どの人は「老後」という時間を持ちます。歴史的には、こうした個人のリスクの問題は、元気な時に積み立てる(積立方式)、あるいは親の老後は面倒は子供が見る(賦課方式)という、家族内の問題でした。

 社会保障という概念が生まれ、制度が出来ても最初は基本的には積立方式だったのでしょう。当然積立額は年々大きくなり目立つようになると、政府には給付改善で人気取りをしたいという願望が生まれ、貰う側では給付改善の要求が強まり、なし崩しに内実は賦課方式併用に変化することになるようです。
 
 国が成熟すると、一般的には高齢化が進みますし、賃金水準上昇、ホームメイドインフレも相まって、積立金は次第に先食いされ、遂にはほとんど賦課方式に、そして放置すれば、財政破綻して支給開始年齢の延伸、給付減額、それでも財源不足で、増税、不足分の負担は次世代に先送り、最後は外国の金まで当てにするということになるのでしょう。

 こんなことは当然計算すれば解ることですが、どこの国も給付を先食いした結果、困っているのです。
この辺から対応が大きく違ってきます。大きく給付カットをする(例イギリス)、共通通貨で借金し易くして当面を凌ぐ(例ユーロ圏、但し一部の国で馬脚が現れ大問題)、借金して踏み倒したり、ギャンブルで穴埋めしようとする(例アメリカ)、国内の余裕金を借金(国債発行)して使い将来世代に資産と負債を両建てで残す(例日本)などです。

 こうしてみると、日本などは、まだまだまともな方でしょう。だから日本はまだ健全の方ということで、円高なのでしょう。
 やはり基本的には、長い目で見て自分の国の経済成長で賄うことのできる範囲ことをやるしかないのではないでしょうか。発展途上国の経済発展を支援し、そこからのリターンで一部を賄うこともいいかもしれません。しかしそれはあくまで長期投資・経済発展の利子、配当ということであって、マネーゲームベースであるべきではないでしょう。

 基本的には、日本の社会保障制度を「保障」するのは、日本の経済成長という視点を外した論議をすべきではないように思います。その為にも、社会保障問題(特に年金問題)も、経済成長問題、円レートの問題と共に、まさにドロドロした現実の状況を踏まえて、この際徹底的に、各政党に語ってもらいたいものです。