tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経営者とは何か(資本家と経営者)

2014年08月07日 09時27分52秒 | お知らせ
経営者とは何か(資本家と経営者)<2008年8月4日付のリメイク版>
 資本家と経営者は、時に同じ人だったりしますが、その機能や役割は全く別のものです。
 資本主義の初期には、おカネを持っている資本家が企業を経営するというのが一般的だったようです。

 おカネ(資本)を持つと、人間という生物はどうも強欲になり易いようで、資本家は労働者を搾取の対象としてコキ使い、社会正義に反することが多かったようで、その結果、対抗するイデオロギーとしての社会主義や共産主義が生まれました。

 資本主義がそんなに悪いものならば、疾うに失敗し、消滅していたはずですが、70年たって、現実は、共産主義国家が崩壊、あるいは変質(中国の社会主義市場経済など)し、資本主義が一般的という世の中になりました。

 何故でしょうか。それは資本主義自体がより合理的なものに変質してきたからという事でしょう。共産主義が、独裁的、全体主義的ななって行ったのに対して、資本主義はより自由な、より民主的な社会をつくるように変質したからでしょう。

 その大きな要因の1つが「経営者」の登場です。これは常識的には企業において登場したのですが、実は、政治家も、その国の経営者という役割を果さなければ、国民から選ばれないという事になって、大統領や総理大臣は、国の経営を巧くやるのに一生懸命というのが現実ではないでしょうか。

 そういう意味では、資本主義という言葉は、既に今の社会にふさわしくないのでしょう。日本の企業は「人間が最も大切」と言いますし、政治家も資本より選挙民(社会を構成する人々)がより大事という事であれば、社会重視主義とか人間主義と言うべきかもしれません。

 1941年、アメリカではJames Burnhamが「経営者革命」という本を書き、資本家と経営者の分離を予言しました。ドイツでは1910年代、ニックリッシュが(労使の)共同体経営の概念を主唱し、戦後、ギド・フィッシャーが「パートナーシャフト経営」に普及に貢献しました。
 日本では戦後、桜田武が「企業は公器」(桜田武論集)という表現で、経営者は社会のために公器(企業)をあずかる者とその在り方を説いています。

 こうした考え方に共通するのは、「経営者というのは、自分の経営する組織を、社会全体により良く貢献する存在にすることによって、自らの経営する組織と社会全体のより良い発展を図ることをその使命とする」という思想でしょう。
 経営者というプロフェッショナルが生まれたのです。

 これは、資本家の自分の保有する資本を出来るだけ大きくするという目標や考え方とは全く異質なものです。
 
 今、経営、マネジメントというと、ピーター・ドラッカーが有名です。ドラッカーの経営学(組織運営の在り方学)は、学校の運動部のマネージャーにも役立つという本が登場するまでに、「マネジメント」という概念を普及させました。

 最後に余計なことを付け加えますが、ドラッカーは日本の企業経営を研究して、まず日本で有名になり、そこから世界的に有名な経営学者に大成していったとという事をご記憶の方も多いと思います。


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