tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

春闘を機会に、政労使の緊密な連携を

2021年01月27日 10時09分03秒 | 労働
春闘を機会に、政労使の緊密な連携を
 マスコミによれば、昨日が2021春闘のキックオフという事ですが、このコロナ禍の条件下で、労使が為すべきことは、例年の春闘とは、だいぶ違ったものになるのでしょう。

 労働側の連合は、一応、定期昇給プラスベアという形の賃金要求は基本方針としては掲げるという事ですが、片方で、現場では、賃金よりも雇用という意見は強いでしょう。リーダー格のトヨタ労連はそれぞれの単組の自主判断尊重という姿勢のようです。

 経営サイドの経団連は、(賃金上昇というモメンタムは維持しながら)一律に賃上げを考えるのは難しいという立場で、基本的には各企業の自主判断に任せるという事でしょうが、コロナ禍がそれぞれの産業・企業に与える影響は、様々ですからそれは当然でしょう。

 一方で、賃金や、雇用の問題に大変熱心なのは政府で、本来使用者負担を原資とする雇用調整補正金に政府も予算を割こうというのでしょうか(その辺の説明はありませんが)、賃金の補填割合を100%にしたり、申請しやすいように支援したり(選挙を意識してでしょうか)大変な気の遣い様です。

 これまでの戦後の日本経済の中でも、不況は何度も繰り返しています、最大の試練は二度にわたる以オイルショックでした。
 そして、そうした折には、労使がいろいろな形で協力し、賃金が大事か、雇用が大事かを論じたり、多くの場合、雇用重視という面では労使一致し、ワークシェアリングの検討や、在籍出向などで、従業員の貸し借り(今回も、自動車産業始まっていますが)、失業なき労働移動が望ましいという立場から産業雇用安定センターの設立など、多様な努力をしてきています。

 そうして歴史を見れば、今回のコロナ不況下においても、政府と労使の緊密な連携の下で、非常事態の中の緊急避難という側面、更には、近い将来くるであろうコロナ後の産業、企業、雇用の在り方などを、十分に論じて、短期だけでなく中長期も見据えつつ、政策制度と産業・労働の現場のすり合わせをし、今後の道を探ることが極めて大切だと考えるところです。

 端的に言って、今、政府は、補正予算でも、コロナ対策と、産業活動の二兎を追っているようですが、現場を担う労使がどう考えているか、先ずコロナ制圧、そして産業活動という選択肢はないのか、こうした問題も、政府と労使の緊密な話し合いがあって初めて、ベストの解が選択できるのではないでしょうか。

 かつて、春闘は、年に一度の労使の大学習集会といわれていました。政府が些か頼りない現在、労使はコロナ克服についても積極的に協力し、産業活動の現場から強力に発言・行動し、政府とともに、より良いコロナ後に向けての協調行動をとるべく努力するときではないでしょうか。