tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの「トランプ現象」を考える

2021年01月22日 21時26分15秒 | 文化社会
アメリカの「トランプ現象」を考える
 1月20日、バイデンさんが、新しいアメリカ大統領として無事就任することになりました。
 無事、などという言葉を使うのもおかしいと思いながらも、武装した州兵の警備の様子を見せられれば、平穏に就任式を行うのは大変な事だったのではないかと想像してしまうからです。

 トランプさんは退任のスピーチで、「私たちは、何らかの形で、帰ってくる」(
We will be back in some form)と言っていたという事です。
 これを熱狂的に支持した人達も多かったようです。

 我々の目から見れば、 覇権国の大統領が、自国第一を掲げ、国連とその関連組織も国際関係も蔑ろにして、世界の安定を意識するバランス感覚もなく突っ走るといった行動はどう考えても不適切としか思えません。

 私の知人で、日本で十年ほど仕事をしたのち、アメリカに転職した女性が、トランプさんの大統領就任の直前の年賀状代わりのXmasカードに「アメリカもこれから4年間、世界中から馬鹿にされそうです」と書いてきたのを覚えていますが、まさに馬鹿にされたか、迷惑がられたかの4年間でした。
 
 確かに4年後の大統領選で負けましたから、私もアメリカの良識が発揮されたと、このブログにも書きましたが、アメリカの現実は、我々の認識よりもっとずっと深刻だった様です。

 バイデンさんの勝利も、最後まで僅差の勝負でした。
そして選挙戦にはオマケもついて、トランプさんは、選挙に不正があると言って譲らず、それを無条件で支持する、半数近い選挙民がいたわけです。

 トランプさんは司法の場で勝負といい続け、保守派を多く任命した最高裁まで戦う事を目指しましたが、司法は選挙に不正はないと認め、混乱には一応決着がつたという事でしょう。

 しかし、それですべて収まったわけではありません。
トランプ支持者の数は巨大で、しかも、無条件でトランプ支持を頑なに通しているという、まさに信者のような人たちです。 
 その人たちの国会乱入事件が起き、やっと反省した人達もいたようですが、トランプ支持者はまだ巨大で頑なで、バイデンさんはこれから国民の融和に苦労するだろうと言われています。
 
 第二次大戦後、スイスのジュネーブに本部のあった国際連盟を国際連合に改組し、本部をニューヨークに置き、自由世界をリードし、世界最高の学術、文化、生活を実現して、覇権国の役割を果たしてきたアメリカが、ここにきて急速に変質し、トランプを大統領に選び、「アメリカ・ファースト」のトランプ現象を世界に撒き散らし、それによって巨大な支持層を固め、4年義も再選かといわれるまでに変質したことは、世界史の中でも驚きに値するのではないでしょうか。

 歴史に「もし」はありませんが、「もし」トランプさんが再選され、トランプ現象が更に世界を覆うようになったら、世界はどうなったでしょうか。

 世界の最先進国のアメリカで、こうしたトランプ現象というべき事態が起きたのは何故か、これは、今後全世界、特に自由世界で、徹底して研究されるべき対象ではないかと思われるところです。

 その中で、アメリカと最も親密な同盟国、そしてトランプと最も親密だった日本政府は、このアメリカの経験から、多くの重い課題を学ばなければないでしょう。

そして今後の日米関係にそれをいかに生かし、また、今後の、世界の在り方にかなる貢献がかのうかを、単なるアメリカ追随ではなく、自ら本気で考えていかなければならないのではないでしょうか。

 今の日本政府には、その心構え、そのための知恵があるのでしょうか。なにか心もとないと感じる人は多いのではないでしょうか。