tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

いよいよCNFの時代が来るか

2021年01月07日 20時55分55秒 | 科学技術
いよいよCNFの時代が来るか
 CNFについては、皆様既によくご承知のことと思います。かつてこのブログでも 取り上げましたが、あえてCNFとは何かを繰り返します。

 CNF、セルローズ・ナノ・ファイバーはセルローズをナノレベルまで分解したものでそれを原材料にすると重量は鉄鋼の1/5、強度は鉄鋼の5倍という素材ができ、軽量強靭な構造物から、人の肌に潤いを与える化粧品素材まで多様なものが出来るのだそうです。

セルローズとは、「植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物である。繊維素とも呼ばれる」(ウィキペディアより)、という事で、木質は勿論、藁やサトウキビの搾りかす、天然繊維の古着からもとれるという事です。
 原材料はいたるところにあり、鉄より優れた性能の原材料という事で将来の利用は広範囲で、先ずは自動車のバンパーやボディや、住宅の部材などという事になるのですが、製造コストが高くて、いまは化粧品に配合利用されているほか限られた範囲でしか利用されていませんが、製造コストが安くなれば、鉄鋼やカーボンファイバーにとって代って世の中を変えていくと言われます。

 そのCNFの製造コストを5分の1に下げる技術が東亜合成によって開発されたという報道が今日の日経産業に出ていました。

 それでもまだ高価だろうと思いましたが、少量のCNFを混ぜることによって、樹脂製品の強度は格段に上がり、その分、原材料の使用量は減り、強度は上がり、軽量化が可能になるとのことです。

 詳細は、日経産業その他同社のHPをご覧いただくとして、こうした技術開発が、続々出てくるようになれば、日本の産業、ひいては日本経済も、再び活況を取り戻し、長期の停滞から脱出の可能性が高まるという期待が大きくなるという事でしょう。

 再生可能エネルギー、蓄電技術、蓄電技術にもつながる水素貯蔵技術などなど、世界で見ても、日本の先行する分野は少なくないと思うのですが、日本の近年の技術開発の進捗状況は、何かもう一つ元気がないように感じられます。

 先日は、コロナワクチンの開発で日本が全く出遅れてしまったことを嘆きましたが、これについては昨日の朝日新聞が、業界の問題と政府の政策の両面からの報道をしてくれました。

 こうした日本の近年の技術革新が精彩を欠く根本的な問題は、政府の科学技術政策、研究開発推進に対する態度にどうも気合が入っていないという事にあるのではないかという点については折に触れて書いていますが、そうした中で、今日の日経産業の記事は、明るい未来を予感させるものでした。

 科学技術立国日本のパワーの開花を具現化するような、すばらしい開発のニュースが続くことを期待したいと思う所です。