tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2018春闘賃上げ率2.54%、8,621円の意味

2018年04月26日 10時32分31秒 | 労働
2018春闘賃上げ率2.54%、8,621円の意味
 昨日、日本経団連は、今年の春闘の賃上げ率の第一次集計を発表しました。賃上げ率、賃上げ額は標記の通りで、安倍首相、経団連が希望していた3%には、残念ながら届きませんでした。

 もともと安倍さんの言う3%というのは腰だめの数字で、「2%インフレを起こすには3%ぐらい賃上げをしなければ」程度の理論的根拠のない数字ですから、現実に出てきた数字の方が経済経営の現状から見た合理的なものと言えるのではないでしょうか。

 企業経営としては、固定費の増になる賃上げよりも、賞与の増額でという所も結構多いようですから、年収という面では、もう少し高いのかもしれません。

 8,621円という金額は、1994年(バブル崩壊で賃上げ額が下がり続ける途中の年)の8,800円に追いつきそうな水準まで来たわけですから、ゆっくりですが回復基調をたどる日本経済(政府経済見通しの30年度実質経済成長率1.8%)から見ても、相応な所ではないでしょうか。

 国民生活から見れば、物価上昇が(現状の)1パーセントほどで、賃上げ率が2.5%の方が、賃上げ率3%で、物価上昇が2%超よりいいに決まっています。
 政府にすれば物価が2%以上あがってくれないと財政再建が出来ない( インフレで借金:国債の負担の実質減狙い)という意図もあると勘繰るところです。

 余談はともかく、賃上げが経済成長に見合って徐々に高まっていくというのが最も健全な経済成長の姿ですから、今春闘でも、労使の賢明な対応に敬意を表したいと思います。

 付け加えますと、この集計は従業員500人以上の上場企業という事ですから、全体的の結果は、今後は経団連の第二次以降の集計、最終的には厚労省の集計が明らかにしてくれると思いますが、基本的には時系列的な動きとして同様な基調であることを願う所です。

 またこの賃上げ(定昇+ベースアップ)の数字はそれぞれの産業・企業による恒例の数字で、正確に客観的な統一基準に従うといったものではありません。つまり、時系列的にはそれなりの意味を持つという形のものです。

 安倍さんの言う 3%賃上げしたら税金を負けますというのも、客観的な「賃上げ」の定義が示されていませんが、あの約束にどのような合理性を持たせるのか、他人事ながら、国民の税金(私の税金も)が使われることになるので心配です。