tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀はなぜ2%インフレターゲットに固執するのか

2018年04月06日 10時12分53秒 | 経済
日銀はなぜ2%インフレターゲットに固執するのか
 日銀も新体制になって2週間ほどたちましたが、この所あちこちで値上げの動きが目立ちます。今日のニュースでも、チーズの値上げです。日銀は歓迎でしょうか?

 人手不足の影響も大きいようですが、宅配便や引っ越し業界は大変のようです。日曜日の新聞の折り込み広告でパート中心に非正規従業員の時給の動きが見えてきますが、多摩地区では時給1000円以下というのは殆どなくなって来ています、一部の単純業務のようなところで960円が残っている程度です。
  
 非正規の時給が上がるのは大いに結構ですが、そのせいで物価が上がったのでは上がった当人もあまり喜べないでしょう。

 今日はチーズですが、加工食品などでも、値上げの動きが多いようです。ご自分で買い物をされる主婦・主夫の方々は実感しておられるでしょう。
値上げはしないが、量目を少なくして、実質値上げなどという事も結構あるようです。

 春闘賃上げ率も昨年より高くなりそうで、それも結構ですが、賃上げを物価上昇が追いかけてくるようでは実質の生活は良くなりません。
 にも拘らず、日銀は、5年たってもできない2%インフレターゲットを、何としてでもやろうという事でしょうか、ウルトラ金融緩論者を副総裁に就けました。

 もともと日銀は「物価の番人」と言われ、インフレは大嫌いでした。それが円高のせいでデフレの苦しみを味わったためか、今度はインフレ容認になりました。
 デフレは困りますが、(「デフレ3悪」参照)、インフレ率も、出来れば低い方がいいに決まっています。
 アメリカが2%目標なら、日本は1%目標でいいでしょう。

 アメリカはドル安になればすぐ物価が上がる体質です。黒田日銀は日本もそうだと思ったのでしょう。円レートが80円から120円になったのだから、2%インフレなどは忽ち達成の予定だったのでしょう。

 しかし日本国民の生活態度はアメリカと違います。20年余のデフレの苦しさに耐えてきた苦労の経験もあり、カネが入っても無駄遣いせず、堅実な生活を続けます。
 いかにお金をジャブジャブにしても、借金で良い生活をしようなどとは基本的に考えないのです。

 こうした状況の中で人手不足が深刻になり賃金が上がってくると、企業はコストプッシュ状態になりますが、値上がなかなか出来ないので、 スタグフレーションになる可能性が出てきます。

 それだけではありません。アメリカは「強いドル」と言いながら、その実ドル安に固執しているようです。FFレートを引き上げても、円安にならないのが現実です。

 黒田総裁は$1=¥120で2%インフレを目指したのもしれませんが、今は105円~106円で、一時より15円幅の円高です(注)。これはデフレ要因です。生産性の向上は円高に食われてしまう(外国がその分得する)のです。
 このところ日経平均は円レートに極めて敏感で、円高になるとたちまち下げるという動きが目立ちます。 

 思惑が外れても、異次元金融緩和は意地でも続けるとなりますと、その副作用(特に 金融の機能不全:デフレ3悪の1つ)ばかりが目立つことになります。
 それでもまだ意地を張り続けるのでしょうか。これも安倍政権への忖度でしょうか。
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(注)昨日午後、円レートが107円を付けました。今日は107.1円の攻防です。
アメリカの真意(ドル安・円高)が見えるような動きですが、マーケットがアメリカの意向にどこまで忠実か、注目しています。