tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

残業はダメ、副業は奨励、世の中いろいろ

2018年04月09日 09時36分15秒 | 労働
残業はダメ、副業は奨励、世の中いろいろ
 安倍内閣は、自由な働き方の一環として、副業を奨励しようとしているようです。
 自由な働き方もそうですが、副業も同様で、それが成果をもたらすようにするのは、「法律や制度ではなく」、働く本人の意識や心構えによるところが大なのです。

 おカネのためというのであれば、副業より残業の方がずっと優れています。副業なら、余程特殊技能のある人でない限り、非正規で低い賃金になりますが、残業の場合は最低でも現在の賃金の25%以上の時給になります。

 「長時間労働」といえば、残業でも副業でも同じです。残業は過労死につながるような見方になっている昨今ですが、現実には、殆どのサラリーマンは、馴れた職場で、親しい仲間と協力し合って残業をして、増えた収入で家族を喜ばせて来ているのです。

 原則残業がないヨーロッパ諸国では、副業が流行っているようです。イタリアの公務員などは、二重就業で有名でしたが、かつてドイツのコール首相が来日した時、労働時間問題で、日本のある記者が、「ドイツは労働時間が短いと言いますが、セカンド・ジョブを持つ人が多いようですが?」と質問したところ、渋い表情で「ドイツ人は勤勉だからそういう事もあるでしょう」と答えたという話を聞いたこともあります。

 副業を認める理由として、多様な経験や交流が出来る、知識も広がる、起業に繋がって可能性が広がるなど、良いことばかりが並べられているようですが、そんなことは副業をしなくても、本人が希望し、企業が、外部の研修会(Off-JT)に出せば、その同窓会なども含めて活発に出来ます。

 自分の趣味や、退職後の生活に生かすといった視点も紹介されていますが、それこそ政府に言われなくても、誰でも自分で考えていることではないでしょうか。

 残業時間短縮で、収入を補うためにといった場合は、副業に付いた先がブラック企業という事もあるでしょう。
 働き方改革推進の説明でも、マスコミの報道でも、何か日本の企業はブラック企業ばかりといった感じを受けますが、副業先は皆良い企業なのでしょうか。

 いわゆる「高度プロフェッショナル」のような優れた人たちには多分良い副業先があるでしょう。しかし「高プロ」の方々には残業時間は適用されませんし、もし副業を得れば、高度技術の漏洩などの問題が発生する可能性が気になります。

 私自身も現役の時は、結構副業をやっていました。翻訳から始まって、依頼原稿、本も書きました。講師料も入りました。
 今もこうやって、ブログを書いていますが、基本的には趣味です。労働とは思っていません。法律や制度とは無縁の世界です。

 何か今の政府のやっていることは、説明は巧いようですが、一貫性が無く、時に頓珍漢で、思い付きや外国の真似といったものの羅列のような気がしてなりません。
 いったい誰が発想しているのか、発想している本人に理由を聞いてみたい気がします。