tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日米会談:通商問題は平行線

2018年04月19日 11時45分45秒 | 国際経済
日米会談:通商問題は平行線
 今回の日米会談の日本にとっての目的は何だったのかと考えてみますと、アメリカの対北朝鮮政策に全面的に賛同するという事を駄目押し的にトランプ大統領に伝える事と、安倍総理はトランプ大統領の盟友であることの再確認という事だったのでしょう。
 
そして、それをベースにして安倍=トランプ関係を一層親密にし、その上で、日米通商問題におけるアメリカの圧力を少しでも和らげること、さらに出来得れば、安倍総理の力ではどうにもならない拉致問題について、何らかのお力添えをトランプ大統領に頼むことだったように見えてきます。
 
 そして、先ず、拉致問題については幸いにして、トランプ大統領の快諾を得ました。マスコミにとっても予想以上の成果だったと受け取られたのでしょう。多くのマスコミは大きく報道しました。

 残ったのは通商問題です。
 通商問題については、安倍総理は、開かれた自由貿易主義がベストと発言して、トランプ大統領の反応を探りましたが、トランプ大統領はTPPなどの多国間協定には基本的に反対で、2国間の交渉で協定(マスコミは2国間FTAと言ったりしていますが少し違うように思います)に持ち込むのが最もいい方法という主張を繰り返し、結局は平行線だったようです。

 盟友関係も損得勘定の壁は破れないという事でしょうか。現実の動きは今後のライトハウザー通商部代表と茂木経済産業大臣の日米交渉に持ち込まれるという事になるのでしょう。

 日米通商交渉には歴史があります。日本の経済力向上、アメリカ産業の停滞という構図の中で、日米繊維交渉から始まり、牛肉・オレンジ、鉄鋼、テレビ、自動車、半導体と、日本経済は日米交渉で苦労してきました。

 その間アメリカは、変動相場制移行、ドルの切り下げ、プラザ合意(円高政策)、リーマンショックによるドル安、など多様な競争力回復策を展開し、またシェ―ルオイル・ガス開発で、世界トップクラスの産油国になりながら、未だ貿易赤字は深刻な状態です。

 この問題の背後には、いわゆる産業の競争力もさることながら、アメリカの自国の生産力以上に消費する経済体質、日本のGDP(GNI)を使い残して貯蓄に励む経済体質(キリギリス体質のアメリカ、アリ体質の日本:イソップ寓話)という決定的な違いがあるのです。

 アメリカの「 キリギリス体質」は直らないでしょう。また、直すと、世界中が対米輸出減少で困るでしょう。
 ならば日本としては「 アリ体質」と改善し、国民が消費拡大するような政策をとらない限り、根本解決はないでしょう。

 このブログでは何年にもわたり繰り返して述べていますが、この所ますますひどくなった「将来不安による消費の抑制、貯蓄性向の顕著な増加」に対する抜本対策を取らない限り、問題は何時までも繰り返されるのでしょう。