tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

被爆国日本と核兵器禁止問題

2017年08月07日 10時47分11秒 | 国際関係
被爆国日本と核兵器禁止問題
 昨日は、72年前、世界で初めて広島に原爆が投下された日です。日常生活を営む一般市民の頭上で原爆が炸裂するという、人類にとって最も悲劇的な行為が、「戦争」という狂気の中で実行された日です。

 人類はこの経験から何を学んだのでしょうか。核抑止力という言葉が生まれたように、いったん原爆が使われれば、報復合戦で人類は破滅するという現実を前に、核兵器は「持っていても現実には使えない」という事は確かに学んだでしょう。

 しかし北朝鮮のように、原爆を持つことが国を強くすることだという学び方をした国もあります。
 世界唯一の被爆国日本の中にさえ、「核兵器を持たなければ、本当の独立はない」と主張する人たちが結構存在します。

 日本政府が、核兵器禁止条約に踏み込めないのも、「アメリカの核の傘」と矛盾を考えての事かと思いますが、当初国連安保理の常任理事国だけだった核保有が次第に広がってしまったという現実、そしてそれを事実として追認しているというのが現状でしょう。

 こうした現実の行動の背後には、「もし侵略があったら」「もし戦争になれば」という「もし」があることは確実です。

 つまり、今の世界では、大変残念ながら、「ソフトパワー」は基本的に信頼されていないという事なのでしょう。
「やっぱり現状ではハードパワーを持つ事が必要」という議論は、自衛隊の問題から核の傘、核保有まで、進化していくのでしょう。

 その背後にあるのは、北朝鮮もさることながら、世界の平和を創造するために存在する国連の安全保障理事会の常任理事国自体が「ソフトパワー」への信頼を破壊するような行動を現実にとっているという現実です。

 ロシアのクリミアの併合、ウクライナ東部の紛争が現実であり、中国の南沙諸島進出、そして国際仲裁裁判所の判断を「紙屑」と言い捨てるといった現実があるのです。
 こうした問題を当事国間で解決するという事は、つまるところ戦争しかありません。そして戦争は勝ったものが正義という「ハードパワー」万能の世界です。

 矢張り今の地球市民は、ソフトパワーの支配を願いながら、こうした主要国のハードパワー行使の現実の中で、葛藤に悩んでいるのでしょう。

 この問題を解決できるのは、今ハードパワーを行使している安保理常任理事国が「ソフトパワー」国に転換することでしょう。

 中国、ロシアは、北朝鮮問題では「話し合いで」とソフトパワーを強調していますが、こうしたハードとソフトの使い分けではなく、安保理常任理事国5か国が「ソフトパワー」指向で一致した時、「国際紛争問題は安保理で解決できる」という体制が出来上がり、一国一国が自衛力や核武装に狂奔しなくても良い世界が来るのでしょう。

 二回の世界大戦に懲りた経験から、国連安保理といった立派な仕組みを作りながら、本来の活用は70余年たってもできていない情けない人類社会です。
 早く何とかならないでしょうか。そして、非常任理事国日本も、何か役割を果たせないでしょうか。
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核の問題については
http://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/8ff2f57b154ea64a943d60f0735426e2
http://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/48815c5a2147470596a4dd9504ac93f1
でも同趣旨の事を書きました。