tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

これからも消費者物価にご留意を

2017年08月25日 11時36分58秒 | 経済
これからも消費者物価にご留意を
 黒田日銀は、2パーセント・インフレ目標を先伸ばししながら、未だに固執していますが、日本の中央銀行である日本銀行の方針というよりも、色褪せたアベノミクスを忖度して無理しているように感じられて仕方ありません。

 今朝、総務庁統計局から先月分(2017年7月分)の消費者物価が発表されました。マスコミの見出しは「消費者物価7か月連続上昇」などとなっていて、確かにその通りですが、説明では「物価上昇力は弱い」となっているようです。

 という事で、中身を少し見てみました。いずれもトレンドを見るという事で「対前年同月比」の数字です。

 総合0.4%、生鮮食品を除く総合0.4%ですから、生鮮食品の乱高下の影響は特になかったということでしょう。
 生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.1%と低いですから、エネルギー価格が消費者物価を押し上げたことが分かります。エネルギー海外依存の日本ですから、これは国際価格次第で、上がる時は世界中上げりますから、日本固有の問題ではありません。

 もう少し中に入ってみますと食料0.8%、生鮮食品0.5%ですから、加工食品などの値上がりの方が大きいようです。加工食品は原材料が上がったとか、人件費が上がったとかで、値上げしているものが確かに見られます。

 10大費目の中で上がっているのは光熱・水道3.5%、被服0.2%、教育0.4%などで、下がっているのは、住居-0.2%、家具・家事用品-0.8%、交通通信-0.1%などです。 

 光熱水道の上昇は光熱の方で、電気代4.9%、エネルギー価格上昇の影響でしょう、被服のプラスは品物より被服関連サービス0.9%の影響が大です。教育はいつも上がっている費目です。授業料、教材、補習教育すべて上がっています。ほとんどは人件費でしょう。

 下がっている住居では家賃は-0.3、設備修繕は0.2のプラス、家具家事用品では室内装備品-4.6と値下がりですが、ここに含まれる家事サービスは0.1%でプラス、交通通信では自動車等関係費は1.4%と上昇ですが、通信関連が-3.1%と下がっているのが大きいようです。

 こうして見て来ますと、エネルギー価格などは国際価格に影響され、物品については輸入品、海外製品が多いもの、国際競争が激しいものは上がりにくく、確実に上がっているのは国内の人件費コストが大きいものという事が解ります。

 本来これはごく自然なことで、日本でもGDPの7割近くは人件費ですから、どこの国でも、人件費が上がれば、国産品の値段は上がるのです。
 安倍政権は毎春賃上げを言い、日銀は2%インフレ目標というのは、賃金と物価を両方上げようという事なのです。

 賃金が2%上がっても、物価が2%上がれば、生活水準は同じ事ですから、賃金が物価以上に上がって、その差は生産性の向上でカバーされるというのがあるべき姿でしょう。
 消費税などが入るとまた面倒になりますね、これも理論的整理が必要です。