tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ああ、アフガニスタン

2017年08月23日 14時29分42秒 | 国際関係
ああ、アフガニスタン
 アメリカがアフガニスタンに兵力の増派を決めるようです。オバマ前大統領は、アフガニスタンへのコミットメントは縮小の方針でした。トランプ大統領は、選挙期間中には「アメリカは、世界の警察官は止める」と言っていましたが、それは反故になったようです。

 アフガニスタンは、タリバンに破壊されたバーミヤンの遺跡をはじめ、人類の文化遺産の宝庫で、ソ連が侵攻するまでは、穏健で平和の国だったと思っています。
 私が初めてアフガニスタンの人と会ったのは50年ほど前、ある国際セミナーで、アフガニスタンからの参加者に会った時です。

 彫の深い威厳のある顔をしたその男は、話してみると気の優しい真面目な人でした。
 一生懸命プレゼンテーションをしていましたが、国の制度その物が遅れているので、他の国からの参加者から遅れを指摘されて、威厳のある顔を少し歪めたりしていました。

 あとから、いろいろ国情について話しましたが、寒い冬、暖を取るのに、日本の炬燵とよく似たものがあるなどと聞き、こういう国も、今後、どんどん発展していくんだろうな、など思ったことを覚えています。

 しかしその後のアフガニスタンは主要国の抗争に巻き込まれ、その中でタリバンのような組織も生まれ、最悪の状態になってしまいました。
 テロ組織がなかなか制圧できないから、アメリカは派兵を増やすというのでしょうが、兵力で制圧すれば、本当に平和と安定が来るのでしょうか。

 アメリカが日本を占領し、好戦国日本を、平和な民主主義国家生まれ変わらせたときは、教育や社会制度も含め文化の面が重視されたように思います。
 勿論「 リーダーとフォロワー」で書きましたように、日本は統治しやすい国だったこともあるでしょう。

 しかし、アフガニスタンでも、リーダーの在り方によっては立派なフォロワーを育てることも可能なのではないでしょうか。
 思い出すのは、かつて「 日本は普通の国に堕すのか」でふれたアフガ二スタンで医療や灌漑・農業の進歩のために、正に献身している中村哲さんの言葉です。

 「緑色に復活した農地に、誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか」、「政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。」
 中村さんに対しては政府側は勿論、タリバンさえもが立派なフォロワーになってくれているのでしょう。

 あの威厳のある顔をしたアフガニスタン代表は、私より年上でしたから、もう亡くなったかもしれません。
 ただアフガニスタンの平和と安定を祈るばかりです。