tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀「展望レポート」の「拡大」が意味するもの

2017年04月28日 11時03分46秒 | 経済
日銀「展望レポート」の「拡大」が意味するもの
 マスコミによれば、日銀が「9年ぶりに『拡大』という言葉を使った」という「展望レポートが出ました。
 先日の 日銀短観も企業の強気を示していましたが、法人企業統計から見た 企業の数字も底堅さを示す様相です。
 勿論トランプ戦略の中で、円レートがどうなるかという問題はありますが、日銀も指摘していますように、円レートの安定を前提にすれば、これから景気は確りした動きが予想されるところでしょう。

 今、主要各国の経済バランスから見て、日本に要請されるのは何と言っても、内需の拡大でしょう。
 日本企業としても、内需の拡大の中で収益を維持し成長を期待できるというのは最も望ましい所でしょう。

 その意味では、今回の「展望レポート」企業に対して一点の明るさをともしたということになるのでしょう。
 しかし、問題点もあるようで、経済拡大の原動力は「企業活動の活発化」、つまり生産サイド、企業サイドにその中心があるようで、それを支えているのは、海外経済が緩やかながら成長を続け、輸出が増加基調にあることに支えられているという見方になっています。

 問題が残るのは、生産の増加で、当面景気が堅調に推移しても、それが輸出の伸びに支えられているのであれば、結果は貿易収支の黒字拡大ということで、日本に対する貿易不均衡の指摘が強まり、円高要請につながるということになりかねません。

 日銀は、インフレ率が2%に達するまでは異次元金融緩和でそれに対抗するということなのでしょうが、国際世論はそう甘くないのではないでしょうか。
 根本解決は、矢張り、輸出けん引ではなく、消費を主体にした、日本経済そのものの拡大(本来の内需拡大)ペースを促進する以外にはないようです。

 日本企業は、内需の伸びない中で海外進出を積極化し、確かに海外投資収益は伸び、GDPよしも GNIがより大きくなっているのが現実で、これは一部巨大な対外投資失敗の減損処理などを孕みつつも、日本経済の筋力の強さを示しています。
 これが経常黒字を大幅にし、さらに円高圧力を強める可能性も高まるでしょう。

 この強さを国内で生かし、GDPそのものの成長率を高める政策が最も要請されているということを、政府も日銀も、もう少し真剣に考えて欲しいような気がします。